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【PDC 2001レポート Vol.1】ゲイツ会長“XML Web Services”構想を発表

2001年10月25日 11時05分更新

文● 塩田紳二

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22日から26日(米国時間)まで、米国ロサンゼルス市で米マイクソフト社が主催する“Professional Developers Conference 2001(PDC 2001)”が開催される。PDCは、マイクロソフト製品ベースの開発者向けコンファレンス。ただし、Windowsについては、別途“WinDEV”というWindows開発者向けのコンファレンスがあるため、今やほとんどのテーマが“.NET(ドットネット)”についてである。

23日のキーノートに登場したビル・ゲイツ会長
23日のキーノートに登場したビル・ゲイツ会長

コンファレンス初日の23日(22日にはわずかのセッションしかない)に行なわれたキーノートスピーチは、ビル・ゲイツ(Bill Gates)会長兼チーフ・ソフトウェア・アーキテクト。最初は恒例になりつつあるビデオ上映である。今回は、ゲイツとCEOのバルマー(Ballmer)が仕事をサボって“Smart Market”に行くというもの。その中では、ゲイツが今着ているのと同じセーターをクリーニングに出して、さらにクリーニングが終わった同じセーターを受け取るというシーン(ビルゲイツはかつて一年中同じ格好をしていると言われたことがあった)があり、ここはかなりウケていた。そのほか、特売のMS-DOSの本を買ったり、スーパーのレジで割引クーポンを出したり(ビルゲイツは世界一の金持ちだが、ケチというウワサがある)と、まあ、全体がギャグ仕立てであった。

ビル・ゲイツのスピーチでは、XML Web Servicesをインターネット革命の次の波として位置づけていた
ビル・ゲイツのスピーチでは、XML Web Servicesをインターネット革命の次の波として位置づけていた

さて、スピーチの内容は、“.NET”なのだが、前半は一般的な話(.NETで便利な世の中になるとか。業界中がウェブサービスに注目しているとか)。具体的な製品関連のアナウンスとしては、いままで“Hailstorm(ヘイルストーム)”と呼ばれていた“.NET My Services”の仕様の公開、『.NET Framework/Visual Studio .NET』の製品候補版(RC版)のプレビューが開始されたこと、そのほかいくつかの.NET関連のSDKのプレビューが行なわれること等である。

また、現在の“XML Web Service”(Microsoftは、他社のウェブサービスと区別するために自社のものをXML Web Serviceと呼ぶことにした)をさらに汎用的に使えるようにした“Global XML Web Service”の構想を発表した。これは、“WS-Security”、“WS-License”、“WS-Routing”、“WS-Referral”の4つの仕様から構成されるもの。

.NET関連のロードマップ。VisualStudio .NET』など主要な製品が来年出荷される予定。また、2003年以降に次期WindowsであるLonghornが予定されている
.NET関連のロードマップ。VisualStudio .NET』など主要な製品が来年出荷される予定。また、2003年以降に次期WindowsであるLonghornが予定されている

スピーチの中では将来の製品計画に触れる部分もあり、ここでは、次期Windowsのコードネームとして“LongHorn(ロングホーン)”が登場している。その登場は2003年以降とだけなっており、詳細は不明ながら、従来言われていた.NET完全対応の次期Windows(XPの後継)は“Blackcomb(ブラックコム)”ではなくLongHornであることが確定したわけだ。

タブレットPCは、次世代のLaptopだという(なんかLaptopって日本では死語って感じだけど)。最初の出荷は来年(2002年)の後半だという
タブレットPCは、次世代のLaptopだという(なんかLaptopって日本では死語って感じだけど)。最初の出荷は来年(2002年)の後半だという

そのほか、かねてより何度もデモが行なわれていた“タブレットPC”だが、今回はかなり本物に近いと思われるデモ機が登場した。出荷は2002年の下期でOSはWindows XPの上位互換バージョンで.NETをフルサポートするものになるという。ただ、このデモを見ていたら、かつてのPenコンピューティングブームのときに盛んにデモされていた“Windows for Pen Computing”のプロトタイプを思い出してしまった。このとき、Penを使った『INKノートテイカー』などの先進的なアプリケーションがデモされたのだが、それが今回のタブレットPCのデモとかなり似ている。実際にWindows for Pen Computingは出荷はされたのだが、そのころにはPenコンピューティングブームは去っており(米Go社など、Penコンピューティングマシンのベンチャー企業はほとんど全滅状態)、結局Pen入力だけができるWindowsになっており、Pen対応のアプリケーションはほとんど出荷されなかった。

PDCに合わせ、いくつかの製品の出荷やプレビュー版が公開されることになっている。また、25日にはWindows XPの出荷発表会がニューヨークで行なわれる予定
PDCに合わせ、いくつかの製品の出荷やプレビュー版が公開されることになっている。また、25日にはWindows XPの出荷発表会がニューヨークで行なわれる予定

さて、.NETだが、昨日(米国時間22日)にプレス向けに行なわれたブリーフィングでは、他社のウェブサービス、米サン・マイクロシステムズ社の“J2EE”や米IBM社の“WebSphere”との性能比較についての話があった。マイクロソフトがライバルと考えているのはサン、IBM、米アメリカ・オンライン(AOL)社、米オラクル社の4社らしい。そのうち、ウェブサービスを実現しつつあるのはサン(6月の開発者向けコンファレンス“JavaOne”でウェブサービスへの対応を発表)、IBM(WebSphereでウェブサービスをサポート)であり、この2社の製品との性能比較を行なった。

サンが公開したJ2EEによるウェブサービスのサンプル(Petshop)を.NET上に移植し、それを平均のページ応答時間で比較したもの。ユーザー数がふえても.NETはあまり応答時間が変わらないという
サンが公開したJ2EEによるウェブサービスのサンプル(Petshop)を.NET上に移植し、それを平均のページ応答時間で比較したもの。ユーザー数がふえても.NETはあまり応答時間が変わらないという

これは、そのブリーフィングのときに感じた個人的な印象なのだが、なんだかマイクロソフトは、これほどにウェブサービスがブームになるとは予想はしていなかったのではなかろうか? 確かにSOAP(Simple Object Access Protocol)などを標準化し、XMLなどの標準を使うことで、他社を巻き込んでのビジネスが可能とは思っていただろうが、今はウェブサービスが一般名詞化しつつあるほどにさまざまな動きがある。だからこそ、マイクロソフトは自社のウェブサービスを区別させるためにXML Web Servicesという名称にしたのだろう。性能比較は、そんな他社を牽制するためのもので、いままでマイクロソフトが脅威を感じた製品に対してよく行なってきた方法である。

会場となった“Los Angles Convention Center”。敷地内にスポーツアリーナもある巨大なコンベンションセンター
会場となった“Los Angles Convention Center”。敷地内にスポーツアリーナもある巨大なコンベンションセンター

開発環境である『Visual Studio .NET』と、WindowsでいえばMFC/ATL(Active Template Library)、にあたる.NET FrameworkがRC版となったことで、いよいよウェブサービスが本格的に動き始める。今回のPDCは、その始まりに置かれたイベントなのである。

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