Audigyで何が変わるのか
パッケージによって付属品に差はあるものの、Audigyカード自体の性能に違いはない。3モデルに共通するAudigyカードの特徴は、次の3つのポイントに集約される。
- 音にこだわった新設計基板
- EAX Advanced HDをサポート
- 「SB1394」インターフェイスの搭載
すべて金メッキされたブラケット上の端子。左から、同軸デジタル出力兼センター/サブウーファ出力、ライン入力、マイク入力、フロントスピーカ出力、リアスピーカ出力、SB1394端子。 |
デジタル入力は24bit/96kHzをサポートし、デジタル出力は最大24bitで44.1/48/96kHzを選んで出力できる。アナログソースのデジタル録音は、16bit/48kHzまで対応。デジタルソースのアナログ出力は、24bit/96kHzまで対応している。DACの(アナログ)出力は5.1ch(6ch)分が用意されていて、DVD-Videoのドルビーデジタル5.1ch信号をデコードしてアナログ5.1ch音声として出力したり、デジタルのままビットストリーム出力して、AVアンプなどに入力することも可能だ。
また、独steinbergが提唱するASIO(Audio Stream In/Out)ドライバをサポートしている。「CubasisVST」のようなオーディオ対応シーケンスソフトでマルチトラックレコーディングなどをするときに、ASIOドライバがない場合は、デバイスの遅延によって同期精度が低くなってしまうが、AudigyにはASIOドライバが用意され、録音/再生の遅延がほとんど発生しない(ASIO 2.0は非対応)。
Audigy拡張カードのブラケット。外付けAudigy Driveとの専用接続ケーブルは途中でMIDI/ゲームポートが分配されている。このカード上の1394端子は、Audigy Drive背面の1394端子と接続される。 |
まず1つめは、「エンバイロメンタル モーフィング」。たとえば、広い野原から狭いトンネルに入るときのように発音環境が変化するシーンで、残響が唐突に切り替わらないように徐々に移り変わらせる効果を持っている。2つめは「エンバイロメンタル パニング」で、電車が通り過ぎたりトンネルが近づいてきたりというように、現在と異なる音響環境が接近したり離れたりする場合の位置関係を表現できる。3つめの「エンバイロメンタル リフレクション」は、音が壁や天井にぶつかったときの反響とエコーを再現し、反響が徐々に小さくなって消えていく様子がシミュレートできる。最後は「エンバイロメンタル フィルタリング」で、ハイパスフィルタを使って屋内と屋外での音の鳴り方の違いを再現する。
以上のエフェクトは主に対応ゲームソフトで効果を発揮するものだが、通常の音楽再生時に利用できるエフェクトも4系統用意されている。「ホール」「教会」「オペラハウス」などの異なる音響空間をシミュレートするエフェクトはもちろん、ピッチを変えずに音の速さだけを変化させる「タイムスケーリング」や、アナログレコードからの録音時に起こりがちなヒスノイズやポップノイズを除去する「オーディオクリーンアップ」。あらゆるステレオソースに対して、周波数(低域/中域/高域)ごとにサラウンド感を強調し、クラブサウンドのような効果を出す「DREAM(Dynamic Repositioning of Enhanced Audio&Music)」などだ。これらのエフェクトは、マルチメディアファイル再生ソフト「PlayCenter 3」で試すことができる。
TI製のIEEE1394チップ「TSB41AB2」。最大400Mbpsの1394ポートを2ポートまで装備できる。 |
同社は今後、HDD内蔵MP3プレーヤ「NOMAD Jukebox」の1394バージョンなど、SB1394端子を活用するデバイスを発売していくと述べており、Audigyのバンドルソフトにも、1394ポート同士を接続してファイル転送などを行うEthernetエミュレータ「FireNet」や、ビデオ編集ソフト「Ulead VideoStudio 4.0 SE Basic」(Platinum以上に同梱)など活用を促すものが含まれている。