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IT系企業が次々参入! ――動く巨大広告塔・ラッピングバス

2001年09月01日 00時45分更新

文● 編集部 田口敏之

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(株)コズモメディアは、“ビルボード”と呼ばれる大型屋外広告を中心に、受注・製作を行なっている。ラッピングバスが最初に注目された、1998年の長野オリンピックの際にも、アメリカの同業他社との協力によって、会場関係者等を運送用するラッピングバスを製作した。ASCII24編集部は、コズモメディア代表取締役社長である丸尾正之氏にインタビューを行ない、ラッピングバスの現状と展開についてお話をうかがった。

株式会社コズモメディア代表取締役社長・丸尾正之氏、連絡先:03-3436-0711
株式会社コズモメディア代表取締役社長・丸尾正之氏、連絡先:03-3436-0711
[ASCII24編集部(以下編集部)] ラッピングバスの起源と、クライアントの傾向の推移は?
[株式会社コズモメディア代表取締役社長・丸尾正之氏(以下丸尾氏)] ラッピングバス自体は、アトランタオリンピックの際に、オリンピックのスポンサーが、会場関係者の輸送用のバスをラッピングしたのが始まりです。その後、長野冬季オリンピックでも使いたいということで、当社に声がかかりました。

1年ぐらいラッピングバス広告を展開している間に、広告媒体としのて一般の認知を得ることができました。そして東京都交通局でもラッピングバスを走らせたいという話になったのですが、その是非の議論があって、きっちり認可を受けるのに、2年近くかかりました。

急速に一般化しはじめたのは、2000年ぐらいからですね。最初は、アウトドアメディアの効果がよく分っている外資系、たとえばIBMですとかコンパックですとかが、いち早く広告を入れてきていたのですが、最近ではクライアントの傾向も大きく変わってきました。エンタテインメント系・アパレル系の他に、学習塾や、果ては選挙管理委員会まで入ってきています。
都営バス広告のサンプルカタログ都営バス広告のサンプルカタログ
[編集部] 一台当たりの費用はどれぐらいかかるのか?
[丸尾氏] 広告費としては、年間約300万円です。これに、制作費が平均100万円程度かかります。屋外広告の価格としては安いほうなのですが、これ以前のバスの広告として一般的な、車体についている小さい看板の広告の10倍近い値段です。ですから、それまで広告として入っていた、地元の小さな商店などには手が出なくなってしまい、その代わりに、大手資本などが入って来ています。
[編集部] バスの運行ルートによって値段は違うのか。また、人気のあるルートはどこか。
[丸尾氏] フルラップ広告ならルートは自由ですから関係はありませんが、都営バスでは、やはり人気のあるルートの値段はそれなりになります。都営バスで一番の人気ルートは、“都01”という、渋谷から新橋を結ぶルートです。また隠れた人気を持っているのが“池86”という、渋谷から池袋にかけてのルート。この2つがゴールデンコンビになっています。あとは、銀座を通るルートや、錦糸町から東京駅八重洲口を結ぶルートなども人気があります。
[編集部] ラッピングバスの製作の過程は?
[丸尾氏] まず、バスの計測をするところから始まります。実は、これが最も大事なのですが、バスは一台一台違うものなのです。年式が少しでもずれると、たとえばクーラーの吹き出し口の形と位置が違うことなどがあります。弊社ではその計測の方法に独自のメソッドを持っていて、特許も取得しています。

テンプレート。同じように見えるが一つ一つのバスには非常に細かい違いがあり、膨大な数のテンプレートが必要になるという
テンプレート。同じように見えるが、一つ一つのバスには非常に細かい違いがあり、膨大な数のテンプレートが必要になるという
それから、計測結果をもとにテンプレートという白図を作成して、それにあわせてデザイナーが広告をデザインします。そして、実際にバスに貼るシートと同じものにプリントアウトして校正します。それが校了・責了となりましたら、実物を出力しまして、車体に貼っていく作業になります。フルラップバスですと1日がかりになってしまいますが、通常のバスですと、3~5時間ぐらいで完成になります。
色校正。実際に使われるシートに印刷し、発色等も見る
色校正。実際に使われるシートに印刷し、発色等も見る
[編集部] 1カ月にどれぐらい受注があるものなのか?
[丸尾氏] 不定期なものなのでまちまちですが、フルラップ広告ですと、今月は30台ほど入りました。

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