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【インタビュー】雑談が作るネットコミュニケーションの形――“オルトアール総合雑談中心”船田 巧氏

2001年08月28日 14時54分更新

文● 編集部 田口敏之

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オルトアール“営業中”

オルトアールは4月に、その名も“オルトアール総合雑談中心”という本になっている。内容は各MLで話していた雑談や、船田氏やスタパ齋藤氏のコラム、サイバー写真集団“写団Z”の写真など盛りだくさんの内容となっており、ここからオルトアールを知ってウェブにやってきたユーザーも少なからずいるという。船田氏は、ビジネスとしてオルトアールをどう考えているのだろうか。

[編集部] オルトアール本ができた経緯を教えてください
[船田氏] 2つ理由があって。まずサイトが1銭も売り上げていないので、売り上げを立てなければいけない。あるのは膨大なテキストだけなんですよ。写真もありますけれども。で、原稿をお金に替える現実的な唯一の方法は、本にして売るということですよね。それを知り合いの編集者に頼んだら、試しにやってみようということになりまして。

理由のもう1つは記念ですよね。サイトに書いていくと、雑誌以上に消えていってしまう感じがあるじゃないですか。だから、たくさん書いたね。また次も書こうというようなモチベーションにつながっていきますよね。前書きと後書き以外は、全部サイトに載っているテキストなんですよ。すごい量を切りましたけどね。8割方近くを捨てています。
[編集部] 売り上げについてですが、今後課金サイトにすることはあるのでしょうか?
[船田氏] できるものならさせてみろと(笑)。させていただけるなら、すぐにでもしますけどね。実際、ユーザーの方から、お金を払ってでも読みたいという意見はたまにくるのですが。でも今のオルトアールの仕組みを有料化するとして、僕がユーザーの立場だったら、ちょっと……という感じがあります。今後、敷居の低い課金の仕組みみたいなものが出てきて、“ほぼ日”(※1)あたりが課金を始めたら、やってもいいかなと思いますけれども。
※1 “ほぼ日刊イトイ新聞”(http://www.1101.com)。糸井重里氏が主催するウェブマガジン。「よく比較されます。勝っているとは思うのですが。PVは負けてるけど」と船田氏

[編集部] ではオルトアールは、どうやってビジネスとして成り立たせていくのですか?
[船田氏] オルトアールのサイトを構築するノウハウや、ソフトウェア資産、ML5や開放区みたいなプログラムをたくさん組んで毎日運用することで、ある程度資産はできたので、今度はそれをお金に変えなければいけないんですよ。

すごく“ベタ”な言い方なんですけれども、『オルトアールを金に替えたらいくらの価値があるのか』ということです。コンテンツそのものを売るというよりも、オルトアールのような空間をプロデュースする価値を世の中に認めていただいて、主力にしなければいけないと。

サイトが直接毎日何万円を売り上げるということは、今は考えていないですよ。実験した結果を、別の領域に適用する時にお金に替える。だからオルトアールは、実験でいいんだと思います。
[編集部] そのために、これまでにどういった動きをされたのですか?
[船田氏] ちょっとだけやった実例としては、パルコの“p-speed.com”という携帯サイトで行なった実験があります。パルコって、細かい小さなお店がたくさん入っていますよね。そこに開放区の仕組みを入れて、店員さんの携帯で、今日の特売はこれですよ、と書き込んでいくような使い方をしてみたんです。
[編集部] そこから得られたものはありましたか?
[船田氏] 単なる機能だけでは似たようなものがほかにあるので、サイト全体のプロデュースを考えていかないといけないなと思いました。断片的な情報だけでは楽しくないので。総合的に、サイトのプロデュースみたいなところをしたいなあと思って営業中です。“営業中”って書いておいてください(笑)
アスペクト刊『オルトアール総合雑談中心』1400円。ISBN4-7572-0840-5アスペクト刊『オルトアール総合雑談中心』1400円。ISBN4-7572-0840-5

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