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リコー、“DVD+RW”ドライブ『MP5120A』を発表

2001年08月23日 17時12分更新

文● 編集部 田口敏之

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(株)リコーは23日、DVD-ROM/Videoプレーヤーとの再生互換性を持ち、追記・編集も可能な“DVD+RW”規格を採用し、CD-RWにも対応した“DVD+RW/CD-RW”スーパーコンビネーションドライブ『MP5120A』を発表した。ATAPI対応の内蔵型ドライブで、発売は9月下旬の予定。価格はオープンだが、予想実売価格は6万円前後。同時に、専用のDVD+RWメディアも発売する。こちらの予想実売価格は、1500円前後。

DVD+RWドライブ『MP5120A』
DVD+RWドライブ『MP5120A』

既存ドライブとの再生互換性を実現

これまでに登場した記録型DVDの規格は、データの記録かビデオの記録のどちらかにかたよっており、必ずしも使い勝手がいいとは言えなかった。“DVD-RAM”規格は既存のDVD-ROMドライブやDVDビデオプレーヤーとの互換性に乏しく、“DVD-R”規格のメディアは、DVDプレーヤーなどで読み出せるが、1度しか書き込みが行なえなかった。

その欠点を解決するために策定されたのが“DVD-RW”だ。DVD-RWでは、DVD-Rと互換性がある追記モードと、CD-RWと同等の機能を持つ書き換えモードの2種類のモードを用意した。追記モードでは書き換えが行なえないが、民生用プレーヤーとの互換性を持たせるために、CD-ROM/DVD-ROMと同じファイルシステムを採用している。“DVD-RAM”と“DVD-RW”は、業界団体の“DVDフォーラム”が規格を策定した。

お詫び:記事の掲載時に、上の段落で“DVD-RW”が従来のDVDフォーマットとの互換性に問題がある旨の誤った記述がありました。ここに訂正して、お詫びいたします。(2001年8月24日)

ここで新たに登場したのが、DVDフォーラムとは別に“DVD+RW Alliance”(※1)が策定した“DVD+RW”規格である。DVD+RWメディアは、CD-RWと同じ“相変化記録”によって記録する。これは繰り返し書き換えが可能な方式である。そしてデータ容量からトラックピッチ、データ変調方式などの仕様がDVD-ROMディスク、もしくはDVD-Videoディスクと同じになっているうえに、論理的な互換性すなわち、ファイルシステムとしての互換性も確保していることに最大の特徴がある。

またDVD+RWメディアの記録溝の蛇行(ウォブル)は、CD精度の約5.8倍。したがって書き込み時に高精度な位置決めが可能となっており、以前記録したデータに対して1μm以内の精度で追記する“ロスレスリンキング”を実現し、一度書き込んだディスクに対して、追記・編集を可能としている。

※1 このDVD+RW Allianceは、リコー、ソニー(株)、仏トムソン マルチメディア社、米ヒューレット・パッカード社、三菱化学(株)、ヤマハ(株)、(株)リコー、オランダのロイヤル フィリップス エレクトロニクス社と、米デルコンピュータ社の8社で構成される。ヒューレット・パッカードは今年の秋に、DVD+RWドライブを搭載したパソコンを発売する予定

従来の記録型DVDドライブの欠点を排除する各機能

今回登場したDVD-RW/CD-RWスーパーコンボドライブ『MP5120A』は、CD-RW&DVD-ROMのコンボドライブで培ったノウハウを活かして、DVD+RWへの書き換え機能の搭載を実現したという。

新開発のピックアップは、CD用とDVD用それぞれのレーザーダイオード(LD)を1つのピックアップに搭載した“2LD・1レンズ”方式のピックアップのDVD用LDを高出力化し、DVDへの書き込みに対応。さらに、ピックアップやシーク、サーボなどの制御を行なう、“アナログフロントエンドプロセッサーLSI”と、エンコード/デコードなどを制御する“デジタルコントローラーLSI”を新開発し、2.4倍速の書き込み時の安定化を図っている。また、ステッピングモーターの精度を高め、トラックピッチが狭いDVD+RWでも精度の高いシークを可能としたうえに、動作音の低減も実現しているという。さらに、ディスクの反りや傾きをセンサーで検出し、DVDの記録・再生時に、ディスク面に対してレーザーが常に垂直に照射されるよう角度を補正する“ラジアルチルト補正機構”を搭載している。防塵設計と低発熱設計によるファンレス構造によって、長時間の安定した動作を可能に したという。

CD-R/RWの書き込みに対しては、バッファーアンダーランエラーを事前に予測し、自動的に回避する同社の独自技術“JustLink”も備えている。

書き込み時の機能としては、従来のようにDVD-ROM作成のためのダミーデータを書きこまず、実データのみを書きこむ“高速DVD-ROM作成”が行なえるほか、ランダムアクセス時に、書き込みに必要な部分だけを約1分強ほどでフォーマットし、残りの部分は、書き込み・読み出しを行なっていない時に、“デアイシンク(De-icing)”(※2)技術によってドライブ自体がフォーマットを行なう“バックグラウンドフォーマット”機能を備えている。これによって、従来90分以上かかるフォーマットの時間を意識せずに利用できるとしている。

※2 未記録部分を解凍(De-icing)するイメージで命名された。データゾーン中の全てのデータブロックに“00”のデータを記録する。バックグラウンドフォーマット実行中は、このデアイシングが進行している

また、フォーマットが終了していなくてもディスクの取り出しが行なえる“テンポラリーリードアウト”機能を備える。フォーマットの一時中断部分に“00”データによる“Temporary Lead-out”を記録しておくこの機能によって、途中で取り出したディスクでもDVD-ROMドライブで読み出すことができる。また、このリードアウト部分は、フォーマット再開時にはデアイシングされるか、ユーザーデータで上書きされることになる。

DVD+RWドライブ専用のメディアであるDVD+RWディスクは、データ用とビデオ用の2種類を発売する。容量は4.7GB。CD-RWにおいて実績があるという同社オリジナルの4元系(Ag-In-Sb-Te)相変化記録材料を採用し、1~2.4倍速のどの速度においても、安定した書き込みが行なえるという。1000回以上の書き換えが可能で、加速試験により、100年以上のデータ保存性能を実現したという。また、ビデオ用は、近々各社が発売を予定しているDVD+RWビデオレコーダーに使用するメディアで、価格には私的録画保証金が含まれているという。

DVD+RWメディア(データ用)
DVD+RWメディア(データ用)
DVD+RWディスク(データ用)価格は1500円前後
DVD+RWディスク(データ用)。価格は1500円前後

CD-RWと同様の使い心地を提供し、普及を目指す

リコーによれば、DVD+RWドライブ『MP5120A』を開発した背景には「1回だけしか焼くことのできなかったCD-Rが、何回でも追記可能なCD-RWになったような進化の過程を記録型DVDドライブに追わせるのではなく、最初から、進化したCD-RWと同様の使い勝手を、ユーザーに提供しなくてはならない」という考えがあったという。

付属ソフトと主な仕様

8本の付属ソフト8本については、以下の通り。

  • 『MyDVD』…オリジナルDVDが作成できる、DVD-Videoオーサリングソフト。AV機器から直接DVD+RWディスクに録画できる、Direct-to-DVD機能搭載(※3)。将来的に、アップグレードによってDVD-Videoへの追記が可能となる。対応OSは、Windows 98/Me/2000/XP。Windows 95/NT 4.0(SP5)には未対応。米ソニックソルーションズ社製
  • 『MotionDV STUDIO』……デジタルムービー編集ソフト。対応OSはWindows98/Me/XP。Windows 95/2000/NT 4.0(SP5)には未対応。松下電器産業(株)製
  • 『B's Recorder GOLD』……DVD-ROM/CD-ROM/音楽CDを作るためのソフト。互換性の高いフォーマットでの書き込みにより、作成したディスクはWindows 95を含む、ほとんどのOSでそのまま読み出しが可能。対応OSはWindows 95/98/Me/NT 4.0(SP5)/2000/XP。(株)ビー・エイチ・エー製。
  • 『B's CLiP』……DVD/CDの“バックグラウンドフォーマット”機能に対応。CD-RWのパケットライトで採用されているUDF1.5で記録するため、Windows2000/XPでは、リーダーソフトなしで読み出し可能(ほかのOSは、リーダーソフトのインストールで読み出し可能)。対応OSはWindows 95/98/Me/NT 4.0(SP5)/2000/XP。(株)ビー・エイチ・エー製。
  • 『WinDVD』……DVD-Video再生ソフト。対応OSはWindows 95/98/Me/NT 4.0(SP5)/2000/XP。米インタービデオ社製
  • 『DIGICLIP』……デジタルカメラやスキャナーで読み込んだ画像を整理して閲覧できるソフト。また、画像処理を行なうこともできる。対応OSはWindows 95/98/Me/NT 4.0(SP5)/2000。XPでの動作は未確認。リコー製
  • 『earjam Internet Music Player』……音楽再生・書き込み・編集ソフト。MP3やWindows Media Player形式などのフォーマットの音楽ファイルを 再生したり、CDやHDD、またはネットワーク上に書きこむことができる。対応OSはWindows 95/98/Me/NT 4.0(SP5)/2000。XPには未対応。イージーシステムズジャパン(株)社製
  • 『ムービークリップ集』……著作権フリーで使用できるムービークリップ集。フリーウェア
※3 Direct-to-DVD機能を利用するためには、Pentium 4-1.4GHz以上の環境が必要

『MP5120A』の主な仕様は以下の通り。

  • 型式……内蔵タイプ
  • インターフェース……ATAPI
  • データバッファーメモリー……2MB
  • データ転送速度……毎秒最大33MB(Ultra DMA mode2)
  • 書き込み対応メディア……DVD+RW、CD-R、CD-RW、High Speed CD-RW
  • 書き込み速度……“DVD+RW”2.4倍、“CD-R”2/4/8/12倍、“CD-RW”2/4/10(※4)倍
  • 読み出し速度……“DVD+ROM/RW”最大8倍、“CD-ROM/R/RW”最大32倍
  • 書き込み形式……“DVD+RW”Random Access Write・Sequential Write、“CD-R/RW”Disc At Once・Session At Once(※5)・Track At Once・Multi-Session・Packet Write
  • 書き込みフォーマット……DVD:DVD-ROM、DVD-Video、Random Access Write CD:CD-DA、CD-ROM、CD-ROM XA、CD-Extra、CD-I(※6)、Mixed-ModeCD、VideoCD、PhotoCD(※7)、CD-TEXT、Bootable CD
  • ローディング方式……トレーローディング
  • 設置方法……横/縦
  • 電源……DC5V/12V
  • 消費電力……16W
  • 寸法……幅146.0×奥行き196.5×高さ41.3mm
  • 重量……1.2kg以下
※3 CD-RWの10倍速書き込みは、High Speed CD-RWメディアでのみ可能

※5 添付のソフトは、これらの書き込み方式には対応していない

動作環境

インターフェース:Enhanced IDE(Primary Slave、Secondary Master、またはSlaveに空きがあること)。

【DVD+RW書き込み時】

  • 対応OS:Windows 95/98/Me/NT4.0/2000 Professional
  • CPU:Pentium II-400MHzプロセッサー以上(CPU:Pentium III-800MHzプロセッサー以上推奨)
  • RAM:128MB以上(256MB以上推奨)
  • HDD:空き容量750MB以上(5GB以上推奨)

【DVD-Video再生時】

  • 対応OS:Windows 95(OSR2.0以降)/98/Me/NT 4.0(SP5以降)/2000 Professional
  • CPU:Pentium II-450MHzプロセッサー以上(DVD再生支援機能を搭載したグラフィックチップを使用している場合はPentiumII-300MHz以上)

【CD-R/RW書き込み時】

  • 対応OS:Windows 95(OSR2.0以降)/98/Me/NT 4.0(SP5以降)/2000 Professional
  • ハードウェア:IBM PC/AT互換機、NEC PC98-NXシリーズ(PC-9821シリーズには対応せず)ただしハーフハイト用空きスロット、および+12V/+5Vの電源端子の空きがあること
  • CPU:Pentium-166MHzプロセッサ以上(JustLink使用時)
  • RAM:64MB以上
  • HDD:空き容量100MB以上(オンザフライ書き込み/JustLink使用時)

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