このページの本文へ

MS、東大との共同研究による話し言葉でのサポート情報検索サービスを開始

2001年07月25日 16時04分更新

文● 編集部 桑本美鈴

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

マイクロソフト(株)は25日、同社と東京大学が共同で研究している自然言語処理プロジェクト“Strelitzia(ストレリチア)”の研究成果第1弾として、“話し言葉によるサポート技術情報検索”サービス(以下、話し言葉検索)を8月1日に提供すると発表した。

MS東取締役
プロジェクトについて説明を行なうマイクロソフトの東取締役

Strelitziaは、同社のデジタルデバイドに対する取り組みのひとつとして東大と共同研究している日本独自の産学プロジェクト。技術としては、マイクロソフトアジアリミテッドのプロフェッショナルサポート本部の“自然言語検索エンジン”、米マイクロソフト社Natural Language Groupの“形態素解析/表記ゆれ技術”、同Speech.NETの“音声情報処理”、東京大学中川裕志教授の“情報検索/専門用語抽出技術”、同大学黒橋禎夫助教授の“構文解析技術”が利用されている。

同プロジェクトでは、上記の技術を用いて、サポート辞書やナレッジベース、検索履歴といった複数のデータベースをひとつのデータベースに見立て、自然言語検索によりインターネットや携帯端末、音声などでデータベースを利用できるようにする研究が進められており、今回発表されたのは、そのうちの話し言葉による検索システム。

話し言葉検索は、ウェブサイトを利用したサポートサービスである“オンラインサポート”でのサポート技術情報の検索サービスのひとつとして提供される。

従来のオンラインサポートはキーワード検索のみの対応であったため、例えばMicrosoft Wordの段組機能について情報を知りたい場合は“段組”という用語を入力しなければならず、専門用語を知らないユーザーにとっては利用しづらいものだった。

話し言葉検索は、専門用語を知らなくても自然文による検索が可能で、入力した文に適応すると思われるサポート情報がヒット率順(適切な内容順)に一覧表示される。例えば、“ワードで文章を上下に分けて入力する方法を教えて”と入力すれば、段組に関するサポート情報が表示される。この場合、ワード→Word(同義語)/ワ-ド(表記ゆれ)、文章→文/文節/文書/センテンス、入力→インプット/記入、上下→段組/左右、といった同義語や表記ゆれにも対応するという。

話し言葉検索画面
オンラインサポート画面での話し言葉によるサポート技術情報検索の様子。段組について“ワードで文章を上下に分けて入力する方法を教えて”と入力して検索
検索結果画面
ヒット率順に検索結果が表示される

この話し言葉検索は今後も改良を続け、オンラインサポートを利用するユーザーが検索で使う言葉をデータベースに取り込み、ユーザーが何を検索したかったのかを分析し、その言葉を辞書に追加登録していくという。

なお、話し言葉による検索は可能となるが、検索結果として表示されるサポート情報は従来のオンラインサポートで表示される内容と同じもので、専門用語が多く初心者には分かりづらい。そのため同社は、同プロジェクトの研究成果第2弾として、情報内で分からない用語があればその場で辞書を引ける“専門用語辞書”サービスを11月に開始するという。

また、同プロジェクトではその他の研究も同時に進められており、2002年2月には対話処理によるヘルプシステムサービスも開始、その後も携帯端末用の専門用語辞書やサポート情報サービス、音声による情報サービスなどを展開する予定という。

マイクロソフト取締役経営戦略担当の東貴彦氏は、「パソコン利用者層が拡大したため、サポートの在りかたを抜本的に見直す必要がある。今後は24時間どこからでも利用でき、誰もが使いやすく、ユーザーのさまざまな要求に応える新しいサポートモデルを目指す。今回のプロジェクトはマイクロソフトと東京大学の自然技術処理の融合であり、デジタルデバイドの解消を目指した取り組み」としている。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン