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コンパック、AlphaServerに1GHz機を発表――Alphaプロセッサー開発は継続

2001年07月11日 16時35分更新

文● 編集部 佐々木千之

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コンパックコンピュータ(株)は10日、都内で記者発表会を開催し、『Compaq AlphaServer GS』に、動作周波数1001MHzのAlphaプロセッサー『Alpha 21264(EV68)』(※1)を搭載したモデルを発表した。6月25日(米国時間)にItaniumへの移行を発表したAlphaServerだが、2008年までは販売を継続、その後もサポートは続けるとしている。

※1 Alphaプロセッサーは、'92年に発表したRISCプロセッサーで、アーキテクチャーごとにつけられる名前とコードネームを持つ。『Alpha 21264(EV68)』では、“Alpha 21264”が正式な名前で、“EV68”はコードネーム。名前の数字の3桁目“2”と、コードネームの2桁目“6”がプロセッサーの世代を表わしている。21264は64bitのAlphaプロセッサーとして3代目にあたるプロセッサー。これまでの64bit Alphaプロセッサーとしては、21064(EV4)および21164(EV5)がある。なお、コードネームの数字の1桁目は製造プロセスルールの世代を表わしており、EV68の“8”は0.18μmプロセスを示している。またプロセスルールを明確にするため、正式名称の数字にアルファベットが加えられた表記になることもあり、21264(EV68)を“21264B”と表記する場合もある。

『Compaq AlphaServer GS320』
『Compaq AlphaServer GS320』。筐体の色を、これまでのAlphaServer共通の“トップガン・ブルー”から、“カーボン・ブラック”に変更した

初の1GHz超RISCプロセッサーを搭載したAlphaServer GS

AlphaServer GSは2000年5月に、731MHzの21264A(EV67)を搭載して発表した、エンタープライズ向けのハイエンドサーバー。21264A-731MHz(2次キャッシュ4MB)を21264B-1001MHz(2次キャッシュ8MB)に変更した場合、性能が40~70%向上するとしている。今回の新製品発表にあわせて、64bit UNIX OS『Tru64(トゥルーロクヨン) UNIX V5.1A』、クラスターソフトウェア『TruCluster V5.1A』も発表した。Tru64 V5.1Aでは、システムを動作させたままCPUボードの交換や追加が行なえるOLAR(Online Addition and Replacement)機能、処理能力の異なるプロセッサーの混在環境に対応した。TruCluster V5.1Aにおいてはファイルシステム(CFS:Cluster File System)の改良でパフォーマンスが向上したほか、これまで専用インターフェースのみサポートしていたインターコネクト(サーバー同士を接続するネットワーク)で、Ethernetをサポートしたとしている。AlphaServer GS用OSとしてはTru64 UNIXのほか、『OpenVMS V7.3』も用意する。OpenVMS V7.3は、Tru64 UNIX V5.1A同様にOLAR機能に対応したとしている。また、Linuxの開発キットも提供する予定。

Alpha 21264B-1001MHz搭載AlphaServer GSシリーズの特徴
Alpha 21264B-1001MHz搭載AlphaServer GSシリーズの特徴
従来モデルとの性能比較表
AlphaServer GSの、21264A(EV67)-731MHz搭載モデルと21264B(EV68)-1001MHz搭載モデルの性能比較

今回発表したAlphaServer GSシリーズは、21264B-1001GHzを最大8基搭載可能な『AlphaServer GS80』、最大16基搭載可能な『同 GS160』、最大32基搭載可能な『同 GS320』の3モデルで、いずれも8月中旬に出荷予定。価格はプロセッサー1基、メモリー1GB、HDD 9.1GB、Tru64 UNIX V5.1A(無制限ユーザーライセンス)またはOpenVMS V7.3という最小構成時、GS80が4985万5000円、GS160が4985万5000円、GS320が1億1185万5000円。

Oracle9iと今回の新AlphaServer GSシリーズの組み合わせはTPC-Cベンチマークにおいて最高性能を達成したという
Oracle9iと今回の新AlphaServer GSシリーズの組み合わせで、データベースの標準ベンチマーク“TPC-C”において最高性能を達成したとしている

AlphaはEV7まで開発継続、EV8開発陣はインテルへ

発表会では、コンパックコンピュータのエンタープライズビジネス統括本部エンタープライズ製品本部本部長の市原隆保氏が、AlphaServer GSの製品説明を行なった後、6月25日の、米インテル社との次世代64bitエンタープライズサーバーの開発と戦略的技術提携に関する合意について、時間をかけて説明した。

オラクルの保科実氏とコンパックの市原隆保氏
日本オラクル(株)の執行役員製品本部長の保科実氏(左)、コンパックコンピュータのエンタープライズビジネス統括本部エンタープライズ製品本部本部長の市原隆保氏(右)

市原氏が示した合意の概要は以下の通り。

  • コンパックは64bitエンタープライズサーバーをインテルのItaniumプロセッサーファミリー(IPF)に統一する準備を2004年までに完了する。
  • コンパックはAlphaプロセッサー技術とリソースをインテルに提供する。
  • コンパックのAlphaプロセッサー技術と、インテルのプロセッサー設計技術、大量生産技術の融合により、プライスパフォーマンスの極めて高いシステムを実現する。

市原氏はこの提携の目的として、'92年の発表以来10年間64bitアーキテクチャーをリードしてきたコンパックと、パソコン向け32bitプロセッサーで市場をリードし、今後急速に進むと考えられるサーバー向け64bitプロセッサーでもリーダーシップをとりたいインテルが手を組み、共同で次世代64bitプロセッサーを開発することで、今後の64bitプロセッサーにおけるリードを維持することを挙げた。一部の報道による“数億ドルの開発費負担を避けるため”との意見は否定し、「顧客に対して将来にわたる確実な製品ロードマップをはっきりとさせたかった」とした。そして、コンパックとしての具体的な行動計画についても明らかにした。主なポイントを以下に示す。

  • 64bit対応OSであるTru64 UNIXと、OpenVMS、NonStop Kernel(※2)を、次世代IPFに対応するべく作業を開始し、2004年にリリースする。
  • 今後3年間、AlphaServerの開発を継続する。販売は2008年まで行なう。
  • AlphaServer販売終了後少なくとも5年間のサポートを行なう。
  • AlphaプロセッサーはEV68(21264B)に続いてEV7(21364)の開発を継続する。EV8(21464?)の開発は打ち切る。
  • AlphaServerからIPFベースのサーバーへの移行環境を2003年に提供開始する。
  • AlphaServer上のTru64 UNIX、OpenVMSのサービス、サポートを継続して行なう。
  • インテルと共同で、AlphaServer向けのアプリケーションを持つISVの、次世代IPFベースサーバーへのポーティングを推進する。
  • インテルと共同で、並列化テクノロジーセンターを設立する。
※2 ミッションクリティカルな業務向けの高可用性システム『Compaq NonStop Himalaya』で使われているOS。もともと米タンデムコンピューターズ社が開発したもの。タンデムとコンパックは'97年に合併した。

AlphaServerは2004年で開発終了となるが、Alphaプロセッサーの開発は続けるため、2004年以降はプロセッサーのアップグレードは行なわれることになる。米コンパックコンピュータ社、ハイパフォーマンスサーバ マーケティング&ビジネス開発担当副社長ドナルド・ジェンキンス(Donald Jenkins)氏によると、21364(EV7)の開発と並行して、21264(EV6)の改良も続け、さらに高クロックの製品や2次キャッシュメモリー容量を16MBに増やした製品を予定しているという。

米コンパックコンピュータのドナルド・ジェンキンス副社長
米コンパックコンピュータ社、ハイパフォーマンスサーバ マーケティング&ビジネス開発担当副社長ドナルド・ジェンキンス(Donald Jenkins)氏

AlphaServerの販売終了後5年間というサポート期間も、「エンタープライズ向けとして5年間は短いということは理解しており、10年、15年にわたるサポートは自信を持って提供できると考えている」という。AlphaServer向けOSの開発は販売停止まで続ける。コンパックでは、現在提供する『NonStop Himalaya』(MIPSプロセッサー)、AlphaServer、IAベースサーバーの3つの異なるプロセッサーベースのサーバーを、IPFベースサーバーに統合する計画で、“AlphaServerからの移行環境”は、このIPFベースサーバーを示している。なお、コンパックのクラスターシステムにおいてはAlphaとItaniumを混在させた環境もサポートするとしている。

インテルと共同設立する並列化テクノロジーセンターは、コンパックの持つクラスター技術を使った、AlphaServerを多数接続するスーパーコンピューターを、IPFベースサーバーにおいても実現するための技術開発を行なうもの。

市原氏が示した、Alphaプロセッサーと、Tru64 UNIXのロードマップ
市原氏が示した、Alphaプロセッサーと、Tru64 UNIXのロードマップ

なお、コンパックのいう次世代IPFとは、現在のItanium(Merced:コードネーム)、次世代Itanium(McKinley:コードネーム)の、さらに次の世代のItaniumコアのプロセッサーを指している。市原氏によると、開発を中止したコンパックのEV8の技術陣は、インテルに移りこの次世代IPFの開発に協力する。EV8に搭載する予定であったプロセッサーベースのマルチスレッド実行機能などが、次世代IPFの上で実現するという。EV7関連の技術者は、開発終了後にインテルに移る予定。またコンパイラー技術者は、ハードウェア技術者に先駆けて移籍するとしている。次世代IPFは2004年以降になるというが、具体的な時期については明らかにしていない。命令セットなどが現Itaniumから大きく拡張されるほか、「経済原理が導入されるような廉価で64bitプロセッサーが提供できる」(市原氏)としている。

Itaniumに注入されるAlphaの技術

現Itaniumの開発は、インテルと米ヒューレット・パッカード社が行なったが、開発表明後、再三にわたりリリースが延期されるなど、かなり難航した。それと比べると、次世代IPFの設計開発にかけられる時間は「2年程度」(市原氏)と短い。この点について市原氏は、「ヒューレット・パッカードは、インテルと共同開発を始めた時点で64bitプロセッサーの経験がなかった。我々は10年にわたって開発を続けており、その経験を踏まえた見通しだ」という。

また次世代IPFはインテルから、コンパックだけでなくヒューレット・パッカードや、IBM、デルコンピュータおよび日本企業など、ほかのメーカーにも供給されることになるが、64bit Serverの設計技術やクラスター技術、(OpenVMSやNonStop Kernelなど)複数のOSのサポートなどで差別化できるとしている。

市原氏は「次世代プロセッサーの開発には膨大な費用がかかる。Alphaプロセッサーの開発を続て、最高の性能ものができたとしてもかなり高価なものになる。いくら高くても買ってくれるという顧客はわずかしかいない」としている。コンパックはインテルと組むことでプロセッサーの価格を下げ、他方でAlphaServer、NonStop Himalaya、IAサーバーを統合することでシステム価格を下げて、64bitサーバーの市場拡大を狙う。IA-32ベースのビジネスでは、コンパックの強みであったサーバーにおいてもデルコンピュータに追い上げられていることも、この決断の一因と考えられる。“名より実を取る”ことを狙ったコンパックの決断の結果は、64bitサーバーが主流となるという2005年以降に明らかになる。

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