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第9回ロボットサロン開催――会として具体的な提言を

2001年06月28日 12時06分更新

文● 編集部 中西祥智

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ロボットについて自由に討議する第9回ロボットサロンが、自民党本部で27日に開催された。参加者は、官僚や大学教授から、研究者、メーカーの担当者、マスコミ関係者まで多岐にわたる。

第9回ロボットサロン
第9回ロボットサロン

村井仁防災担当国務大臣は、防衛庁の調達官だったころの話を披露し、「何かニーズが無いと、技術開発が進まない」と語った。その上で、たとえば震災時に人では入れないような瓦礫の下で、救助作業を行なうロボットが実現することを期待しており、会に対して防災という観点から問題提起をしてほしいと要望した。その問題提起に対しては、政府としても敏感に反応していくという。

村井仁防災担当国務大臣村井仁防災担当国務大臣

その一方、森政弘ロボフェスタ中央委員会会長は、そのような有目的の技術開発と同様に無目的の技術開発も重要だと主張した。有目的の開発では目的達成時点までという終わりが見えており、無目的での開発も技術革新につながるとした。

森政弘ロボフェスタ中央委員会会長森政弘ロボフェスタ中央委員会会長

また、経済産業省のロボット関連施策についての説明も行なわれた。経済産業省製造産業局産業機械課課長補佐の金子修一氏は、世界中で稼動している産業用ロボットの過半数は日本製で、そのことが日本がロボット大国と言われる所以だとしつつも、一方で産業用にニーズが偏っていることが、それ以外のロボット産業が育たない理由にもなっていることを説明した。

経済産業省製造産業局産業機械課 金子修一課長補佐経済産業省製造産業局産業機械課 金子修一課長補佐

そして、今後は家庭用、医療や福祉分野などでのロボットの実用化を加速する施策を行なうとしている。具体的には、現在まで、あるいは現在も進行中の技術開発プロジェクトは直接的に実用製品に結びつくものではないが、今後は実用的な製品開発にむけたプロジェクトを推進するという。

また、ロボットの普及へ向けた周囲の環境整備について金子氏は、電動車椅子が車道を走ると道路交通法違反になることなどを例としてあげ、法整備も含めた環境作りも行なっていくとした。

会では、挨拶にたった村井大臣が、約15年前に階段1段を登るのに数十秒かかるロボットを見て、役に立たないと思ったことを話すと、東北大学の中野栄二教授が「それを作ったのは私です」と答えて会場が笑いに包まれる一幕もあった。

談笑する村井大臣と中野教授
村井大臣「あんなロボットは役に立たないと……」中野教授「それを作ったのは私です」

このほかには、神奈川県のイン博プロジェクトや科学技術館のロボットについてのアイデア展への協力なども訴えられた。

ロボットサロン会長小野晋也衆議院議員ロボットサロン会長小野晋也衆議院議員

ロボットサロン会長の小野晋也衆議院議員(自由民主党文教科学部会長)は「会を始めた1年半前にはAIBOもASIMOもなかった。ロボットサロンもいよいよこれからが本番」(※1)だとし、会として具体的な提言をまとめる時期が来たことを示唆した。

※1 第1回ロボットサロンが開催されたのは1999年の11月11日、ソニー(株)が『AIBO』を発表したのは1999年5月11日、本田技研工業(株)が『ASIMO』を発表したのは2000年11月20日、その前身である『P3』が完成したのは1997年9月。

小泉総理
自民党本部内のあらゆる場所に、小泉総理のポスターが貼られていた。森前首相の時は、ここまであちこちにポスターが貼られていることはなかった

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