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三國志VIII ファーストインプレッション

三國志VIII ファーストインプレッション

2001年05月14日 17時51分更新

文● culi

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「戦法」の訓練にいそしんでおけば
戦争の勝敗を左右できるか?

戦法伝授
若き孫権、兄孫策から「乱射」を学ぶの図。新戦法は親しい武将から学ぶことができる。訓練で戦法のレベルを上げておけば、成功率が高まる。戦争中に戦法を実行すると所定の「戦法ポイント」を消費するので、たとえ「戦法マスター」のような武将でも大技連発はできない。
 戦争に関係するシステムの中で、前作からかなり変わったのが、武将の「特技」から戦闘関係のスキルが「戦法」として独立したこと。「突撃」(成功すると通常の1.8倍の損害を与える)、「奇襲」(攻撃の損害に加えて敵を「恐慌」状態にする)など個々の戦法は、兵舎で「訓練」を積めば熟練度壱から四までレベルアップも可能だ。武力や知力が高い、いわゆる戦闘要員系の武将は、毎月の個人フェイズで「担当する内政」「他武将との交流」「自己能力の鍛練」に加えて、有事に備えた「戦法の訓練」も忘れずに実行しておくべきなのだ。こうして修得した戦法のうち、戦争時の自分の兵科(歩兵、騎兵、弩兵など)に対応したものを実行できる。

 戦場のマップは、前作の正方形の戦場から横長スクロール型に変更されている。これには理由があって、前作では野戦と攻城戦が完全に分離されていたのに対し、VIIIの戦争は同一のマップ上でシームレスに行われるようになったためだ。今回も、地域性豊かなさまざまなマップが用意されているが、いずれも攻撃ルートの半ばに防御側の「砦」が存在する。砦の付近に表示されている「補給限界線」を超えて進撃した攻撃側の部隊は、毎ターン士気が下がってしまうので、砦を放置したままで進撃はしないほうがよい(砦を破壊すれば補給限界線は無効になる)。



戦場マップ(左半分)
上下に並んでしまったが、秣陵から廬江へ攻め込んだときの戦場マップ(2画面分ある)。
戦場マップ(右半分)
左右にスクロールすると、目標の城が見える。上の画面で侵攻ルートの半ばにあるのが「砦」。

 戦争の流れは、敵部隊の攻撃時に戦法が使える点を除くと前作から大きくは変わっていない。
 出陣すると最初に「軍議」となり、攻防それぞれが「戦術」や「策略」「罠」を選ぶ。前作の「作戦」が攻略ルートの設定だったのと違い、戦術は、たとえば攻撃側なら「速攻」「罠探」など選んだ戦術に応じて、機動力や士気、防御力などにボーナスやマイナス修正が付くというものだ。
 あとは、マップの端から反対の端にある都城へ向けてひたすら兵を進める(防御側はそれを阻む)だけだ。敵の正規軍部隊を0にする(「寝返り」や「退却」で0になってもよい)か、城の防御を0にすれば攻撃側の勝利。仮に総大将が捕らえられたとしても、敵の士気は上がるものの、それだけで即敗北にはならない。
 結果的にVIIIの戦争では、中央の砦付近と目標の「城」付近で攻防が繰り広げられるパターンが多い。前作ではプレイヤーが作戦設定した攻略ルートの駆け引きも軽視できなかったのに対して、VIIIの戦争は、戦法の活用という1点に絞り込まれたシステムになっている。これも三國志シリーズの特徴だった、プレイヤーの用兵よりも武将のキャラクターを重視した『演義』的な演出に回帰しているように思われる。

出陣
評定での「出陣」(上)と、戦場に立ち戦争前の「軍議」(下)の画面。
軍議
上の出陣シーンをよく見てほしい。内政で「生産-支給」した装備によって武将が選択できる兵科が決まる前作のシステムから一転、VIIIでは、都市の技術を一定以上に上げたりイベントなどで新兵科が開発されていれば、出陣時に追加資金を支払うだけで誰でも自由に兵科が選択できるシステムに簡略化されている。

 実際に何度か戦争を体験してみると、確かに高レベルの戦法を持つ武将の有効性が分かってくる。通常攻撃より戦法が成功したときのほうが敵の損害が増えるだけでなく、「混乱させる」「複数の敵に一度で損害を与える」といった追加効果がジワジワと効いてくるのだ。反面、一騎討ちに相手が応じてくる確率が、前作より低くなったようにも感じられた(これは今後のバランス調整で変わるかも)。前作では、一部の有名武将にとって一騎打ちが「究極兵器」(笑)だったことを思えば、これは穏当な改善かもしれない。

戦法選択
孫権の戦法選択。兵科が騎兵なので、「突撃」「奇襲」などが選べる。まだ修得していない戦法や、「戦法ポイント」が足りない戦法は選択できない。

VIIからVIIIになり、
インターフェイスはどう変わった?

 実際のプレイで常に気になるインターフェイスと操作性についても報告しておこう。
 前作と同様にVIIIも、ゲームの起動時にフル画面表示とウィンドウ表示のどちらかを選択できる。しかし、前作がメインウィンドウの中に全国マップとコマンド一覧を配置する画面レイアウトだったのに対し、VIIIでは、マップ、各種情報などは必要に応じて子ウィンドウ(それも無機質なWindows標準のダイアログボックスではなく、綺麗に飾られた独自ウィンドウ)を開いて表示するスタイルに変わっている。昨今は1280×1024ドット以上のデスクトップ表示ができる環境の人も少なくないだろうから、前作のようなフル画面表示での利便性を優先した仕様に変えて、「情報は子ウィンドウで見てください」というコンセプトへ変更したことは、ある意味英断かもしれない。ただ、できるなら細かい操作性についてはもう一段階向上させてほしかった。たとえば、複数の子ウィンドウを開いたままでメインウィンドウにアクセスでき、ウィンドウの位置も連続したプレイの間は記憶されているのはとても便利なのだが、こうして見やすい場所に移動した子ウィンドウが、ターンが変わると全部消えてしまう(ターンごとに開き直さなければならない)のはいただけないところだ。

戦法選択
1600×1200ドットのデスクトップで各ウィンドウを開いた状態。こうして並べてみると、各ウィンドウの大小のバラつきなども気になる。雰囲気たっぷりに描き込んだデザインはさすがの出来栄えだが、使い勝手のほうもさらに追求してほしい。

 最後にPCゲーマーとして、歴代の三國志ファンとして今回感じた意見を述べておきたい。三國志シリーズのようなSLGが根本的に抱えている問題、「ゲームの肥大化に伴うプレイの冗長化をどう改善するか」について、そろそろ真剣に検討してもいい時期ではないだろうか。少なくとも、三度のメシを食べるより三國志が好きか、売るほどヒマがある学生さんでもなければ、何人もの武将でエンディングまでたどり着くのが不可能に近いというのは、いかにPCゲームがゲーム専用機には真似できない“重厚長大さ”を売りものにしているとしても、健全なゲームの姿ではないだろう。
 その意味で、VIIIで中国東南部の都市が削減されたことや、戦略コマンドの分離、戦争のシームレス化といった変更はプレイ時間の短縮に役立つだろうし、新たに導入された「個人目標」(目標はランダムで、「賢才の捜索」などを依頼される)や「連合」(ある大勢力に対して複数の小勢力が同時に対峙する)ルールは、ゲーム全般を通して緊張感を維持する取り組みとして評価できる。当然ながら、シングルプレイの楽しみとしてCPUの思考アルゴリズムの向上のための努力も続けてもらいたい(武将配置が君主の存在する都市に偏って、守れるはずの都市を攻め取られるケースもまだまだ多い)。1年間たっぷり楽しめるタイトルにするためには、こういった方向性への進化(改善)も次回作へのひとつのステップになるのではないだろうか。
 ――もうひとつ。ゲームシステムにはまったく関係ないのだが、前作にあった「アイテムコレクション」と「名勝古跡一覧」表示は、次の「三國志IX」(その前のVIIIパワーアップキットならもっと嬉しい!)でぜひ復活させてください(笑)。

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