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VIA、今年後半には1GHzを超える『VIA C3』を出荷

2001年03月29日 21時21分更新

文● 編集部 佐々木千之

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台湾のVIA Technologies社は29日、都内で記者発表会を開催し、先日CeBITで発表した新CPU『VIA C3』やDDRメモリーをサポートしたチップセットについて説明した。今年後半には1GHz以上のC3を投入することなどを明らかにした。VIAは同日午後、“VIA DDR Chipset & CPU Seminar”を開催しており、これに先立って記者発表会で概要が示された。

VIA C3は今年下半期に1GHzへ

VIA C3は、25日(ドイツ時間)に“CeBIT 2001”会場で発表されたCPUで、以前“Samuel2(サミュエル ツー)”というコードネームで呼ばれていたもの。128KBの1次キャッシュ、64KBの2次キャッシュをオンダイに搭載し、0.15μmプロセス技術で製造される。CeleronやDuronと比較して消費電力が少ないことが特徴で、バリューPCやタブレット型パソコン、セットトップボックスなどをターゲットとしたCPU。

テッド・リー氏
セールス&マーケティング部門バイスプレジデントのテッド・リー氏がC3について説明を行なった

VIA C3についての説明は、同社セールス&マーケティング部門のバイスプレジデント、テッド・リー(Ted Lee)氏が行なった。CeBIT 2001での発表と同様の内容で、ベンチマークのグラフなども同じものが示されたにとどまった。ただし、Q&Aセッションにおいて、記者からの質問に答える形でいくつかの情報が明らかとなった。

リー氏によると、C3は今年下半期には動作クロック1GHzに達し、年末の時点ではC3プロセッサー(Cyrix IIIを含む)の生産のうち、3割は1GHz超製品で占められる見込み。また、下半期のいずれかの時点でコードネーム“Ezra(エズラ)”という、0.15μmプロセス技術で製造される次世代CPUを投入する計画。Ezraの市場投入時の動作クロックは900MHz以上としている。このEzraは、これまでVIA Technologiesが公開していた情報では、Samuel 2と同じアーキテクチャーで、プロセスをシュリンク(小さく)したものとされていたが、リー氏は「Ezraではパイプラインの構造を変える」とコメントした。

また、現在のC3はCeleronなどと同じ“Socket 370”用だが、モバイルパソコン向けにEBGA(Enhanced Ball Grid Array)およびmPGA(micro Pin Grid Array)パッケージの製品も投入するという。mPGAではインテルのモバイルCPUとピン互換となるが、BIOSなどで対応する必要があるため、差し替えて使えるというものではないとしている。また、モバイル向けC3においては、SpeedStepやPowerNow!のように、アプリケーションの状況に応じて駆動周波数とコア電圧を変化させる“LongHaul(ロングハウル)”ユーティリティーを用意することも明らかにされた。

チップセットに関しては新情報無し

またDDR SDRAMをサポートしたチップセットに関してプロダクトマーケティング部シニアディレクターのチーウェイ・リン(Che-Wei Lin)氏が説明したが、すでに発表済みの『VIA Appolo Pro266』『VIA Appolo KT266』についてアーキテクチャーの概要を示すにとどまった。

チーウェイ・リン氏
VIA Technologies、プロダクトマーケティング部シニアディレクターのチーウェイ・リン氏
Appolo KT266
VIA Appolo KT266の概要図
VIAのチップセットの市場予測
VIAのチップセットの市場予測

また、セミナーに協賛するメモリーメーカーやマザーボードメーカーがDDR SDRAMモジュールやVIAのチップセットを搭載したマザーボードなどを展示した。

DDR333(PC2700)モジュール
台湾のApacer Technology社はDDR333(PC2700)モジュールを展示
DDR-IIメモリーモジュールサンプル
韓国のサムスン・エレクトロニクス社が展示していた、DDR-IIメモリーモジュールサンプル。DDR-IIは同じくロックにおいてDDRのさらに倍のデータ転送速度を実現する次世代メモリー規格
『GA-6RXDW』
台湾ギガバイトテクノロジー社のApollo KT266搭載のマザーボード『GA-6RXDW』Socket 370デュアルソケットタイプ
静音PC
台湾ASUSTeK Computer社が展示していた、C3-650MHzを搭載した静音PC

今回はグラフィックスチップ関連の展示はなかったが、日本におけるVIAの現地法人、日本エス・スリー・グラフィックス(株)によると、DDR Chipset & CPU Seminarということでグラフィックスチップの展示や資料配付は控えたが、決してグラフィックス事業を縮小するような計画はない。日本ではCPUやチップセットよりもむしろグラフィックスチップ事業に力を入れていく」としている。

日本のパソコンメーカーには、CPU、チップセットともになかなか食い込むのが難しいという事情があるようだ。VIAは毎年のこのようなセミナーを開催しているが、次回にはグラフィックスチップに関する情報も提供されそうだ。

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