続いての特別インタビューは、来春発売予定のコーエーの新作「太閤立志伝IV」。戦国時代の立身出世を大胆にゲーム化したシリーズの最新作だ。主人公が一気に600名まで増え、カードバトル形式のゲームシステムを採用したことがIVの大きな特長だが、それ以外にもミニゲームに賭博、多種多様な主命の数々などなど、ゲームの隅々まで機能強化が図られている。インタビューでは、そのあたりの細かい事情まで聞くことができ、内容の濃いものに仕上がっている。どうぞ隅から隅までごゆっくりお楽しみください。
IVの醍醐味! カードバトルの魅力に迫る
木下藤吉郎、のちの天下人豊臣秀吉の若かりし頃の姿だ。メッセージウィンドウの右端にサルを発見! IIIにもいたなキミは。 |
編集部中村 今回はプレイできる武将が総勢600名もいるということですが
開発プロデューサー ゲームの大筋そのものは前作からそれほど劇的に変化したわけではないのですが、仕える大名や、武将を増やしました。全国に点在する大名家に自由に仕官したり、いつでも辞めてまたイチから出直すことができます
編 自由度がさらに高まった感じですね
開 太閤立身伝シリーズはもともと自由度の高いゲームですけど、今回はそこからさらに選択の幅を広げてみました
編 最初のプレイでは従来の作品と同じように秀吉でクリアを目指すわけですよね
開 そうです。主命の実行中などにいろいろな武将たちと出会って、親交を深めていくわけですが、その過程で「主人公カード」を入手できることがあります。そうすると、次回からは主人公を変えてプレイできるようになります
編 主人公カードは2度目以降の別武将でのプレイでも集められるわけですか?
開 誰でもできます。さすがに600枚すべてを秀吉のみで集めるのは無理ですが、最初のプレイで200~300枚見つけることは十分可能です
編 600名の中にはどういった武将が含まれるのでしょう。基本的に「信長の野望」に登場する有名武将たちが「太閤」でプレイできるという認識でいいのですか?
開 そうですね。一応「武将」ということになってますけど、史実で商人的な意味合いの強い人物ですとか、行動家的な人物も武将に含めています
編 たとえば?
開 茶人の千利休、忍者の百地三太夫、剣豪の宮本武蔵などです
編 以前、コーエーさんがゲームサーバの調査実験をするために開発した「異界戦国史」というカードバトル形式のゲームがありましたが、太閤のカードバトルはどんな内容になるのでしょうか
これが個人戦のカードバトルの模様。主人公は宮本武蔵。彼が所持している特殊カード「二刀流」は抜群の効果が期待できる。 |
開 異界戦国史とは違います。あれはカードをお店から買ったりして集めてデッキを組んで行う本格的なシステムでしたが、太閤では、先攻後攻を決めて、攻撃カードを出し合って体力がなくなるまで続けていく単純明快なシステムです。合戦と個人戦では少しやり方が異なりますけど、個人戦で言えば、同時に3枚までカードを出して、その優劣によってどちらかが攻撃できるというシステムを採用しています
編 では、戦術性という意味ではそんなに難易度は高くなく、持ってるカードの強さが勝負を決めると?
開 そうですね。ただ、カードを持てる枚数も剣術技能によって変わってきます。この画面では7枚表示されてますけど、これは剣術技能が最高の状態です。剣術技能が無い場合は4枚しか手札を持てません。カードの質とキャラの能力の両方が重要です
編 なるほど。とすると、主人公カード以外に、これらの特殊カードの収集も重要なわけですね。ちなみにカードの種類はどれぐらい?
これが主人公カード。この辺の一流武将の主人公カードを集めるのは難しそうだぞ。 |
開 主人公カードを含めて約800種類です。主人公カードは、主人公を変えても残りますが、そのほかの戦闘で使用するカードはすべて無くなり、主人公カードと、武将が最初から持っている特定のカードも所持した状態から始まります。プレイごとに強いカードを探す必要があります
編 そうすると、カード集めを目的にプレイしている人が困るのでは?
開 いえ、別にアルバム機能がありますので、1度入手したカードはアルバムで見ることができます
編 カードはどのようにして集めるんですか?
冒頭の藤吉郎の画面の続きで、名所カード「天の橋立カード」を入手したところ。 |
開 鍛錬を行ったり、敵と戦ったり、主命の実行中に入手したり、マップの移動中など、さまざまな契機を用意しています
編 では、お店で買ったり売ったりするようなことは?
開 カードは概念的なものなので、売買はできません。ゲームを進めていけば順当に手に入るものから、積極的に狙っていかないと入手できないものまでいろいろ用意してあります
編 たとえば、この「二刀流カード」などは宮本武蔵を倒さないと入手できないんでしょうね
開 倒すことは前提ですが、それだけでは入手できません
編 うわー、なんだか大変そうだ。じゃあ、二刀流カードは一生縁のない武将もたくさんいそうですね
開 そうですね。ですから、カードのコンプリートを狙う場合は、できるだけカード収集の能力に長けた優秀な武将でプレイすることが好ましいわけです
編 ちなみに個人戦に負けるとどうなるんですか?
開 死にます。死ぬと当然ながらゲームオーバーです
編 えー! それではカードバトルといえども文字どおりの真剣勝負ですね
開 そうです。武力が弱いキャラは個人戦をやったらとても身が持ちません。逆に武力に自信のある人は、辻斬りまがいの武者修行でカードやお金を稼ぐことができます。死んでしまうとゲームオーバーですが
編 意外にシビアですね。ちなみに宮本武蔵に勝てる武将はいるんですか?
開 彼は強い武将の中でもまだ弱い方です。一番強いのは剣聖上泉信綱でしょうか。いま調整しているところですが、とても彼には勝てる気がしませんね(笑)
編 さては特殊カードを使ってくるわけですね。そのカード欲しいー! で、戦闘中に「こらぁ勝てない」という状況になったら途中で逃げたりできるんですか?
開 逃げることはできます。が、失敗すれば斬られます。それで体力がなくなればやはりゲームオーバーです(笑)。特殊カードの中で絶対逃げられるカードというのがあるので、それさえあれば安心です
編 この個人戦画面のカードバトルの進め方を教えていただけますか?
開 3枚の攻撃カードを両者が同時に出します。3枚の数値の合計が強いほうが攻撃権を獲得できます。敵を攻撃する際のダメージは「武将の攻撃力」が適用されます。中には「金剛力」「竜煙」のように、攻撃カードではなく、場に出して攻撃カードの強さを修正する類のカードも存在します
編 「Magic: The Gathering」でいう「エンチャント(場)」のような?
開 そのとおりです。ただ、このカードを出すタイミングは攻撃カードと同時で、攻撃カードの代わりに出します。効果を発揮するのは次のターンからになります。Magic:The Gatheringももちろん研究しましたが、太閤ではデッキを作るような面倒くさい作業は省いて、なおかつデッキ戦に近い戦略性も持たせるようにしています
編 個人戦のカードバトルばっかり楽しむ人もいるでしょうね
開 そうなれば私としても嬉しいです。武将によりけりでしょうけど。個人戦はお話にならない武将もたくさんいますので