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マイクロソフト(株) : 磯貝 直之氏

Windows 2000チーム徹底インタビュー (その4) Office 2000は、企業アプリケーションのプラットフォームである~Office 2000 Developer~

2000年11月30日 00時00分更新

文● 聞き手、構成:MSDN Magazine編集部

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[編集部] ここで、Windows 2000との組み合わせについてお聞きします。Office 2000はWindows 2000の上での利用を前提として開発されたものなのでしょうか。また、Windows 2000に依存する機能を使っている部分はありますか。
[磯貝] Windows 2000+Office 2000の環境で利用可能な何かの機能が、ほかのOS+Office 2000で使え なくなるといったことはありません。また、Windows 2000に依存する機能を使っている部分はありませんが、UIの部分ではインストーラが「Windows Installer」を利用しています。「Windows Installer」をOS側でサポートするのはWindows 2000が最初です。

 ちなみに、Internet Explorerとの組み合わせは、「Internet Explorer 4.01 Service Pack1」以上の環境を推奨しています。Internet Explorerもプラットフ ォームの1つであるとMicrosoftは認識しており、当然プラットフォームに依存した形でアプリケーションは動作します。そういった意味では、Office 2000はInternet Explorerの機能をかなり利用していると言えます。ですから、最低Internet Explorer 4.01 Service Pack1以上、しかし、中にはInternet Explorer 5.0の機能に依存している部分もありますから、Office 2000の機能をフルに利用するには、「Internet Explorer 5.x」が必要となります。Internet Explorer 5.0の機能に依存している具体的な機能としては、「Office Webコンポーネント」や「Office Server Extensions(IIS上でOfficeのドキュメントをベースとしたオンラインディスカッションを行なう機能)」が挙げられます。

[編集部] Internet Explorer 5.0に依存している機能に関連して、昨年から話題になっているOfficeのオンラインバージョンとでも言いましょうか「Office 2000 Online」(仮称)、そして次期バージョンの「Office 10」(開発コード名)についてお聞かせください。
[磯貝] 日本と米国を単純に比較できない問題として、インフラの問題があります。米国と同じタイミングで、同じ方法を使って「Office Online」を提供した場合、果たして日本のユーザーに対して、実際に満足できるものを提供できるのかが、見極めきれていないとしか申し上げられません。具体的にどのような企業と提携して、どのような時期に、どのような料金体系で提供するかといった細かい部分については、まだ完全には煮詰まっていないのが現状なのです。

 また、「Office 10」と開発コードで呼ばれている次期バージョンですが、現在動いているとは言っても、あくまで初期の段階のものであり、まだプランニングの段階なのです。具体的にどのような機能が実装されるのかは、まだまだ申し上げられるような段階ではありません。リリース時期などについても、かなり先としか申し上げられません。

 その準備(移行)段階として、Officeというプラットフォームと、Webというプラットフォームを組み合わせた形の1つとして、「WebベースでOfficeのコンポーネントを使ったワークフローソリューション」を作ろうという動きがあります。それが「Office 2000 Developer」で提供している「Access Workflow Designer for SQL Server」です。

 「Access Workflow Designer」を利用すると、Office 2000の持っているWebコンポーネントとInternet Explorer 5.x、そして「Access Workflow Designer」が持っているワークフローを処理するためのCOMコンポーネントを使って、これらを組み合わせて、WebとOfficeを統合したソリューションを展開していくことができます。それと並行する形で「Exchange 2000 Server」にもワークフローが実装されています。Exchangeでは「Web Store」という形で、Webベースのストレージを実装していくので、ExchangeのクライアントとなるOffice、またはWeb Storeを使えばOfficeからではなくWebクライアントからのアクセスが可能となるので、ここでもWebとOfficeを連携したソリューションというものが出てくるでしょう。

 ここでちょっと「ワークフロー」を実現するためのソフトウェア環境について考えてみましょう。「Access Workflow Designer」がある一方で、ほかにもExchange 2000 Server側でもワークフローの実装が可能です。これはワークフローを実装する形態により区別されます。大規模な人数でワークフローを実装したい場合には、メッセージングベースでExchangeを使ってワークフローを行なう。何かフローが発生すればメールが自動的に飛んできてそれを確認することができる。しかし、Exchangeというのは企業レベルでの管理というものが多くなってしまいます。つまり、部屋に3人の人間がいて、その場所ですぐにワークフローを実現したい場合には難しい面があるわけです。こういった場合には、Exchange Serverをベースとするよりも、SQL Serverをベースにする。SQL Serverは、企業レベルの管理というよりも、部門レベルで管理しているケースがかなりあるので、そこをプラットフォームとして、小人数で迅速にワークフローが実現できます。こういったケースのために「Access Workflow Designer」が用意されていて、棲み分けができているわけです。AccessとSQL Serverという連携によるワークフローには、ここに理由があるわけです。

 我々は「Office 2000は、企業アプリケーションのプラットフォームである」と認識しています。ですから、企業などでOffice 2000がクライアントにインストールされているのが前提という環境であれば、第1のパスとしては「Office 2000 Developer」を選んでいただきたいのです。しかし、Office 2000では、当然のことながらVBAが基本になってしまいます。パフォーマンスの問題などで、どうしてもWebアプリケーションへの移行やC++を使ってサーバ側コンポーネントを開発したいといった要求の幅が広がってきた段階で、「MSDNユニバーサルサブスクリプション」といった第2のパスへ進んでいただきたいと思います。

 これからの方向性としては、Visual Studioにしても、次期バージョンの特徴としては、当然のことながら「Webアプリケーション機能の強化」が挙げられます。また、当然クライアントサイドには、Officeというプラットフォームを置いて、さまざまなソリューションを展開していく。そして、インターネットというインフラと、クライアントサイドのOfficeを組み合わせて、さまざまなことができるようになっていくでしょう。ぜひ、Office 2000をプラットフォームとしてアプリケーションを開発していただいて、そのパワーを実感していただきたいと思います。

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