マイクロソフト(株)は26日、Windows 2000 Serverファミリーの最上位版であるサーバーOS『Microsoft Windows 2000 Datacenter Server』日本語版、およびWindows 2000 Datacenter Server専用プログラム“Windows Datacenterプログラム”を発表した。
発表会場には、パートナー企業6社のサーバー製品が並んだ |
専用プログラムで99.9%稼動を保証するサービスを提供
Windows 2000 Datacenter Serverは、エンタープライズシステム向けにスケーラビリティーを向上、8CPUから最大32CPUまで対応、最大64GBの物理メモリーをサポートしている。4ノードクラスタリングにも対応。
稼動させるアプリケーションごとに必要なCPU数を割り当てることが可能なプロセスコントロール機能を搭載する。また、システムエリアネットワーク機能により、3階層で構築された複数のシステムを光ファイバーなどの高速通信で接続、サーバー間の通信を高速化できる。
Windows Datacenterプログラムは、同社とパートナー企業が共同で、大規模システムの構築/運営に必要なハードウェア/ソフトウェア、サービスを提供する専用プログラム。同プログラムは、Windows 2000 Datacenter Server、ハードウェア認定プログラム“Datacenter HCT(Hardware Compatibility Test)”、Windows 2000 Datacenter Server専用サポートセンター“MCSC(Microsoft Certified Support Center) for Datacenter”で構成されている。
“Datacenter HCT”は、コンピューター本体、ストレージ、ネットワーク機器などシステム構築に必要なハードウェアすべてを、1システムとして接続し、14日間の負荷テストを行なうプログラム。同社の設定した基準をクリアしたシステムは、認定ハードウェアとして同社ウェブサイト上で公開される。
“MCSC for Datacenter”は、システム運営/保守/サポートを24時間365日体制で行なうサポートセンター。サポート窓口を一本化するため、同社サポートセンターの中に、パートナー企業と同社のエキスパートが共同で運用するラボを設け、システム稼動保証サービスや、問題発生から回答までの時間を明確化するレスポンスタイム保証サービス、障害の発生場所で問題解決にあたるオンサイトサービス、システム変更管理サービスを提供する。99.9%以上の稼動率を保証し、高い信頼性/可用性を実現するという。また、同社製品のソースコードを、ラボの中でパートナー向けに開示する。
Datacenter Serverはパートナー企業6社を通じて提供
Windows 2000 Datacenter Serverのパッケージ販売は行なわれず、Windows Datacenterプログラムでのみ提供される。Windows Datacenterプログラムを提供するパートナー企業は、コンパックコンピュータ(株)、日本アイ・ビー・エム(株)、日本電気(株)、日本ユニシス(株)、(株)日立製作所、富士通(株)の6社。
本日都内ホテルで行なわれた発表会で、同社の代表取締役社長である阿多親市氏は、「インターネット市場の急激な拡大に対応するため、エンタープライズシステムが拡大化、大規模なデータウェアハウジングを揃える必要がある。基幹システムとインターネットの融合も重要だ。そのため、低コストで柔軟性の高いシステムが必要となる。Windows 2000 Datacenter Serverは、このようなニーズに応えるもの」
マイクロソフトの阿多社長 |
「エンタープライズ市場では、信頼できるハード/ソフトウェアの提供はもちろん、システムの設計段階からのコンサルティングサポートなど、システム構築から運用まで統合的にサポートする必要がある。そのため、Windows Datacenterプログラムというパートナー企業と共同のサポート体制を整えた。フルタイムのサポート、問題の即時解決、Windows 2000 Datacenter Serverのテクノロジーという3つをまとめたものだ。Windows 2000 Datacenter Serverは、Windows Datacenterプログラムとセットでユーザーに提供する」と説明した。
同社がパートナー企業6社に販売経路を限って製品を提供するのは初めてのことで、これまでの製品販売経路とまったく異なるものとなる。同社は、現時点でハードウェア/ソフトウェアを販売するに当たり十分なサポート体制があるとして上記の6社を選択したとし、他のサーバー製品を扱う企業については、サポート体制が整った時点でDatacenter Serverプログラムに参加してもらうとしている。
パートナー企業各社は、今後Windows 2000 Datacenter Serverを組み込んだサーバー製品を順次出荷していく。価格は各社の製品/サービス構成によってことなるが、サーバー込みで8CPUモデルが2000万~3000万円、16CPUモデルが7000万~8000万円、32CPUモデルが1億5000万~1億6000万円程度になるという。
パートナー企業6社の対応
コンパックコンピュータは、Windows 2000 Datacenter Server対応のサーバー新製品を10月6日に発表するという。「サーバー新製品に保証サービスを付け、高い信頼性とパフォーマンスを提供する」(河合聰副社長)
日本IBMは、Windows 2000 Datacenter Serverをベースとしたミッションクリティカルなシステムを構築するための拠点“Datacenter Serverサポートセンター”をオープンしたと発表した。また、サーバー製品『Netfinity 8500R』や『IBM NUMA-Q2000』にWindows 2000 Datacenter Serverを導入したモデルを近々発表するという。「年間99.9%の稼動を保証するサポートサービスを提供する」(堀田一芙常務取締役)
NECは、Windows 2000 Serverリリース後から、同社PCサーバー製品のWindows NTからWindows 2000への切り替えを進めており、現在50%がWindows 2000に対応、今年度末には全体の80%がWindows 2000に切り替わる予定という。「ハードウェアとWindows 2000 Datacenter Serverを組み合わせ、ミッションクリティカル分野のユーザーにシステム構築を展開していく。Windows 2000 Datacenter Serverを採用することで、クライアントからハイエンドサーバーまでをWindowsで統一でき、システム構築が低コストで容易に実現できる」(小林一彦執行役員常務)
日本ユニシスは、サーバー製品『Unisys e-@ction Enterprise Server ES7000』のWindows 2000 Datacenter Server対応モデルを発表、10月に出荷を開始する。「Windows 2000 Datacenter Serverは、3月8日付けでマイクロソフトとユニシスが発表した包括提携の重要なベースとなる。ES7000はDatacenter Serverを10月から正式にサポートし、ユーザー企業2社がDatacenter Serverでの本番稼動に入る」(鷲尾武取締役)
日立製作所は、サーバー製品『HA8000』シリーズでWindows 2000 Datacenter Serverをサポートする。「Windows 2000 Datacenter Serverはミッションクリティカルな大規模システム構築が可能。UNIXサーバーと競合しながら伸びていくだろう。当社の継続的なシステム運用の実績をもとに、Windowsをベースとした新たな市場の創造にチャレンジしていく」(加藤孝雄上席常務)
富士通は、Windows 2000 Daatcenter Serverに対応したサーバー『PRIMERGY N800』を発表、2001年第1四半期に出荷を開始する。「システム開発段階からの高い信頼性とシステム構築を提供するため、9月21日付けでマイクロソフトと提携した。両社のエキスパートを動員し、コンサルタントからシステム構築、アフターサポートまで統合的に提供する」(杉田忠靖専務取締役)
阿多社長と、パートナー企業各社の代表者6名 |