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【INTERVIEW】「インフラ管理の5つの質問に答えてあげるようになって急成長した」――ペレグリンのリッパー社長にきく

2000年06月20日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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ペレグリンシステムズ(株)は、'99年に米ペレグリンシステムズ社の日本法人として設立された会社。同社は、日本ではまだ馴染みが薄いインフラリソース管理(IRM)のアプリケーションソフトを提供している。

ascii24編集部では、インフラリソース管理とはどういったものなのか、企業にとってどういったメリットをあるのかを中心に同社の戦略などを、代表取締役社長であるグレゴリー・リッパー(Gregory Lipper)氏にお話を伺った。

ペレグリンのリッパー社長
ペレグリンのリッパー社長



――まずペレグリンについて、簡単に教えてください

リッパー「'81年に米国で設立された会社です。'96年までは、問題管理、在庫管理、問題解決といったヘルプデスク向けの製品を提供する会社でした」

「ユーザーのニーズに応じて対応する内容を広げていくうちに、ユーザーが望んでいるのはヘルプデスクではなく、インフラストラクチャーの管理なのだということに気づいたのです。人、物、金、知識のトータルライフサイクルを管理してほしいのだと。そのときに、インフラ管理の戦略へ切り替えました」

「現在、全世界で社員数が約1600名ぐらい。昨年の売上げが約250億円です。3年間でなぜこれだけ成長できたかというと、ユーザーの5つの質問に答えてあげるアプリケーションを提供できたからです」

ユーザーの5つの質問に答えてあげるアプリケーション

――5つの質問とは何でしょうか?

リッパー「まず、社内に何を持っているのか。1台ずつ何があるのか、それにはどのようなアプリケーションや機器が含まれているのか。次に、それはどこにあるのか。どこにあるのかということはもちろん、どのハブに繋がっているのかということも含みます」

「3つ目にそれはきちんと動いているのか。どういったトラブルがあるのか、それは故障しているのか、故障に対応するにはどういったプロセスがあるのか。パフォーマンスが期待通りのレベルにあるのかどうか。4つ目は、実際にその資産を持つにはどれぐらいのコストがかかったのか。購入金額やその後の保守、引越し費用など」

「5つ目に、購入目的を達成しているのかどうか? 期待通りに動いているのか。スペックが足りているのか、次の導入でも同じレベルでいいのか、それとも違う物を買うのか。これらを人、金、物、知識に対して答えるアプリケーションおよびツールを提供する企業になったら爆発的に成長していきました」

「インフラストラクチャーの管理は、購入依頼をする日から処分する日までのライフサイクルを管理します。そのライフサイクルの中で、調達管理、リース管理、問題管理など、それぞれアプリケーションがあるのですが、それぞれが同じデータを利用しています。これは、アプリケーションが変わっても、情報の統合性と正確性が確保されているということを表しています」

――ライフサイクルはどういったソフトウェア群で管理しているのでしょうか?

「企業内ヘルプデスク向けの管理には『ServiceCenter』。
資産の財政的なライフサイクルを管理するのが『AssetCenter』。建物を管理するのが『FacilityCenter』。車やバス、トラックには『FleetAnywhere』があります」

「ほかに『InfraTools』というツールも提供しています。これにはRemote ControlやDesktop Discovery、Network Discoveryといったツールが含まれています」

「5つの質問に答えるために、これらのアプリケーションを使っていますが、同じデータを利用していますので、1つのアプリケーションのように使うことができます」

――ASPに利用できますか?

「ServiceCenterとFleetAnywhereが、ASPに利用できます。ServiceCenterのASP版は、“e.ServiceCenter”と言います。
米国では1社が提供していますが、日本ではまだ提供していません」

存在しない3000台分のPCに保守費用を支払っていたケースも

――これらのアプリケーションを入れて、メリットがある企業はどういった企業でしょうか? 逆にどういった企業がライフサイクルの管理に興味を持っているのでしょうか?

リッパー「インフラ管理の目的は1つだけです。それは、インフラのパフォーマンスを向上させること、すなわちコストを削減することです」

「対象は大手企業に限らないのですが、一番早く投資を回収できるのは、やはり大手企業です。なぜなら、大手企業はインフラストラクチャーが大きいので、5パーセントでも削減できれば、すぐに投資したコストの元が取れてしまうわけです」

「中小企業向けの製品も9月に発売します。中小企業の場合、もちろん投資回収も必要なのですが、それよりもまず、持っているインフラをいかに効果的に使って、少ないものからいかに多くの仕事が出来るかという目的があります。製品はそこにフォーカスしています」

「例を示しますと、あるユーザーがAssetCenterを入れました。そしてすぐに、会社に存在していないのに保守費用を払い続けていたPCが3000台以上あることに気づきました」

「もう1つ。通信コストを管理したいという目的でインフラ管理のソリューションを入れた企業では、もう会社をやめているのに有効になっているコーリングカード(アメリカでは社員に持たせる)が1000枚以上ありました。また、使っていないのにレンタル代を払っていた回線が、何百本とありました。こういった簡単なミスを見つけられることが1つのメリットです」

「企業にどういうメリットがあるかというと、まずどういう問題があるかを先に聞かなければいけません。まず先にどの問題を解決していくのか。その問題を解決するには、どのアプリケーションを入れればよいのか。そして次にこのアプリケーション、さらに次のこのアプリケーションと入れていくのです。同じデータを利用していますので、段階ごとに成長していきやすいシステムになっています」

大企業向けだけでなく、中小企業向けの管理ソフトも発売

――9月に中小企業向けに発売されるというのは、どういったアプリケーションですか?

リッパー「InfraCenter for Workgroups、ICWという製品です。AssetCenterと同じ製品なのですが、ヘルプデスクの機能がバンドルされています。そのほか、PCの情報を自動的に収集するツールDesktop Discoveryもバンドルされています。この製品のターゲットは、PCの台数でいうと500台から2500台までの企業です」

――2500台以上になると従来の製品をということですか?

「そうです。AssetCenterやServiceCenter、InfraCenterが、エンタープライズ向けの製品で、中小企業向けの製品がICWということです。ICWに関しては、100パーセント間接営業でやります」

――具体的に販売パートナーは決まっていますか?

「話が進んでいるところはありますが、今のところ決まっているところはありません」

「特に、中小企業へ太いパイプを持っている企業と話し合っています。エンタープライズ向けと中小企業向けで、同じチャネルを使うことが望ましくないケースもありますから、分けることも考えなければいけません」

――InfraCenterというのは何ですか?

「ICWと同じ発想で、資産管理とヘルプデスク、ツールの機能がバンドルされている製品です。ICWより大きな企業向けのもので、これは将来ASPで使えるようになっています。日本での発売については、まだ未定です」

日本は米国の次に重要な戦略拠点

――日本での導入実績というのは、どれぐらいありますか?

「15社程度です。多くの外資系企業が、日本でも使っていますが、それは数には含まれません」

――その15社は上場企業でしょうか?

「そうです」

――どういった業種ですか?

「今年のターゲットは、金融、通信、製造です。現在のユーザーは、製造や製薬、流通などです」

「これらの企業の共通点は1つだけです。ITをツールとしてではなく、武器として行なっている企業なのです。ITインフラストラクチャーの効率によって、成功するか失敗するか、そこまで決まります」

――ペレグリンにとって日本市場はどういう位置付けですか?

「欧州全体と同じぐらいです。戦略的に言えば、米国の次に重要な国です。大手企業では、情報技術を多く使っており、各国にオフィスや工場を持っています。日本には、そのような会社が数多くあります」

「日本の企業は、インフラ管理のコンセプトを必要としています。認識は低いかもしれませんが、利益を増やしたければ、インフラストラクチャーのコストを10パーセントだけ削減すればよいのです。そうすれば、直接的に利益の増加につながります」

「日本の会社も、インターネットタイムで動かなければいけない時代になってきました。事業を起こしたり、組織を変更したり、新しい製品を出したり、買収したり、合併したりしなければいけない時期になってきています。自分のインフラストラクチャーを管理できていなければ、決定しても早く動けません」

――早く動くためのツールとも言えるわけですか?

「物理的な動き、例えば引越しが簡単にできることも1つなのです。もう1つは、組織的な変更。営業1部から3部を1つの部にするとか、逆に分割するとか。それぞれのリースや保守、人間の派遣契約をどうすればよいのか、その事業をやるにはどれだけのインフラが必要なのか。これらを早く実行できます」

日本の事業展開では、パートナーシップが重要と認識

リッパー「現在、売上げの40パーセントが米国、40パーセントが欧州、それ以外の地域が残りの20パーセントとなっています。これを30パーセントずつぐらいにしようという計画があります。そのとき、日本の割合は15パーセントです」

――現在は何パーセントぐらいですか?

「昨年が1パーセント弱です」

――15パーセントにするために取り組んでいることはありますか?

「日本は、米国より間接営業の比率が高くなると思います。日本では、多くのパートナーと手を組んで展開しないといろいろな企業に入り込めません」

「米国であれば、CIOやCFO、COOなどをターゲットしてアプローチすればよいのですが、日本では足りません。常務以上の役員にアピールしながら、情報システムグループや購買部、管理部など、実際に問題と毎日戦っている人にアピールし、その人の上司にレポートしてもらわなければなりません。この2つのアプローチが必要です」

「アメリカではCFOが必要と理解したら、CIOに対してこれをやりなさいと言います。日本の大手企業には、そういった仕組みはありません。同時にあちこちにアピールしなければなりません。そのためにもパートナーが必要です」

「プロセスからコンサルティングするパートナー、システム構築、サポート、アウトソーシング、トレーニングなど、各種のパートナーシップが必要になります」

――本社を移転するという話は具体的に決まりましたか?

リッパー「7月下旬か8月上旬に、東京・神谷町に移転します。どこへでも行ける便利な場所ということで選びました」

「大阪事務所については、支店長となる人が決まり次第、稼動させます。東京にニーズがあれば、関西にもニーズがあります。はやく関西のアクセスを作りたいと思います」

――ありがとうございました

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