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【年始特別企画インテル編 Vol.3】そしてインテルとAMDの2つどもえの戦いが始まる

2000年01月11日 00時00分更新

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'99年は今までになく多くのプロセッサーが登場し、また急激な処理速度の向上が見られた年だった。x86互換プロセッサーの動向に詳しいフリーライターの後藤弘茂氏に、'99年のx86互換プロセッサー業界の総括と、2000年に登場が予想される製品についてのお話を伺った。第3回目はインテルとAMDの2000年の戦いについて。

Athlonは成功したか

編集部:「互換プロセッサーを作っていたメーカーは'99年前半にどんどん淘汰されてしまって、デスクトップPCに関しては事実上インテルとAMDの2社体制になってしまいました。AMDの立場から見て、インテルがCoppermineとIntel 820でつまずいているときにAthlonを発表できたというのは大成功といえるのでしょうか」

後藤:「ユーザーに対するイメージでいうなら大成功ですね。ただ、メジャーなパソコンメーカーがまだ出していませんから。メーカーにしてみれば、チップセットやプロセッサーの評価から始めないといけませんから、インテルが新しいチップセットやプロセッサーを出したのと同じようにはいかないということです。そこで時間がかかるのはしょうがないところです。

いずれにせよAthlonが本格的に採用されるとすれば、次世代のSpitfireやThunderbird*が出てきてからですね。それまではAthlonでフルラインアップ揃えるようなところはないでしょう。最初のAthlonの立ち上げが本当に成功したかどうかはまだ判断ができないところです。

AMDはAthlonを100万個出荷するといっていますが、100万個という数はいずれかのPCメーカーに採用されない限り出てこない数ですから、AMDのいうとおりなら、どこかのPCメーカーからAthlonマシンがかなりの数出荷されるはずです。Athlonの発表時にはIBMがAptivaシリーズの1モデル、コンパックがPresarioシリーズの1モデルとしてAthlonマシンを発表していますが、これらはほとんど限定生産に近いものです」

*
Thunderbird:2000年に投入される予定の、Athlonコアを使ったプロセッサー。2次キャッシュメモリーがオンダイとなり、現在のAthlonと同じSlot Aと、Socket Aの2種類のパッケージで供給されるとしている。

編集部:「そうすると、インテルがAMDに対してそれほど焦る必要はないように思えますが」


後藤:「それはAMDが、COMDEX/Fall'99直前に、アナリストミーティングで投資家に対して説明した、(SpitfireやThunderbirdなどの)ロードマップ通りに製品を出してきたら大変だと考えているからです。そのために対抗措置をとろうとしているわけです」

AMDの'99年後半から2000年にかけてのロードマップ
AMDの'99年後半から2000年にかけてのロードマップ



編集部:「ではインテルは今のAthlonに対してはあまり脅威を感じていない ?」

後藤:「いや、少なくともx86互換プロセッサー最速の称号を奪われるわけにはいかないと考えていることは確かです。そのことが、インテルの優位が失われたように受け取られるからです。何しろ、“AMDが最高速のプロセッサーを発表”などという見出しが、業界紙でもない朝日新聞に出てしまうわけですから。そういう意味で、AMDが大成功といえるのは“最速のx86互換プロセッサー”を出したということです。

インテルにとって今年後半の失態は、CoppermineやIntel 820が遅れたことによって、PCメーカーのインテルに対する信頼を揺らがせてしまったということ、これです。インテルにこのままくっついていって大丈夫なのか? という疑念を持たせてしまった。

いままでは、“デルのあの成功を見ろ! インテルにぴったりくっついて大成功している”とように思っていたのが、この遅れで“何だ、おかげでPC製品の出荷スケジュールがガタガタじゃないか。この3ヵ月インテルに振り回されたよ”ということになったわけです」

編集部:「失態を取り返すためにも新製品を投入し続ける必要が出てきたということでしょうか」

後藤:「結局、インテルの製品計画を、これほど前に前倒ししなくてはならなくなったのは、AMDがアナリストミーティングで示したロードマップのせいと言えますね。あれをAMDにそのまま実行されたり、あるいはいろいろな人たちが“ああ、AMDはこんなにすごいロードマップなのか、それに比べてインテルのはこの程度か”と思われてしまっては大変だということなのです。

あのアナリストミーティングでは、2次キャッシュメモリーのオンダイ化や、Socket Aの話、それからAthlon-900MHzのデモンストレーションや、1GHzへの見通し、そういったことを一気に公開した。それで、これはすごいことになるぞ、ということになって株価も上がりました」

編集部:「AMDの2000年以降のロードマップや生産計画についてお話しいただけますか」

後藤:「現在AMDは、テキサス州オースチンのFab25と呼ばれている工場で、“K75”と呼ばれている0.18μmプロセスのAthlonを製造しています。これが2000年の前半から中盤に掛けてSpitfireやThunderbirdに移行していきます。この2つはおそらく2次キャッシュメモリーの容量が異なり、ダイサイズも違うと思われます。Spitfireの2次キャッシュメモリーがいくらになるのかはわかりませんが、1次キャッシュメモリーが128KBですから、それよりは大きいだろうし、かといって1MB積んでくるとも思えない。まあ256KBあたりではないでしょうか。で、Thunderbirdは512KBかな、と。

また、AMDのロードマップに出てきたMustangはSpitfireとThunderbirdの後継、さらにモバイル版も含むプロセッサーファミリーです。銅配線技術に最適化したものになると言っています。2次キャッシュメモリーを1MBや2MB積んだ、サーバーやワークステーション向けバージョンもあるようですし。MustangはドイツのドレスデンにあるFab30と呼ばれる工場で、2000年後半から製造されることになるようです。

Athlonより下のグレードのプロセッサーでは、K6-2に128KBの2次キャッシュメモリーを統合した『K6-2+』が第1四半期にデスクトップPC用として、K6-2+と『K6-III+』がノートPC用としてやはり第1四半期に投入される予定です。これらはインテルがCoppermineのコアを使った128KBの2次キャッシュメモリーを積んだCeleron、いわゆる“Coppermine-128K”への対抗製品です」

後藤弘茂――国内外のコンピューター業界の動向、特にプロセッサーやメモリー関連の情報に詳しいフリーランスのライター。月刊ASCII DOS/V ISSUEほか、パソコン雑誌などに多数の連載を持つ
後藤弘茂――国内外のコンピューター業界の動向、特にプロセッサーやメモリー関連の情報に詳しいフリーランスのライター。月刊ASCII DOS/V ISSUEほか、パソコン雑誌などに多数の連載を持つ



編集部:「ノートPC用のプロセッサーがK6-2+とK6-III+の2種類なのはなぜでしょうか ?」

後藤:「それは簡単にいえば、インテルがモバイルCeleronとモバイルPentium IIIの2種類のラインアップになっているからです。それぞれK6-2+とK6-III+を対抗製品とするわけです。2000年後半にはAthlonコアのノート用プロセッサーが登場するでしょうけれども。また同じく2000年の後半には、インテルのノート用プロセッサー技術である“SpeedStep”*と同じ機能を持つ技術(コードネームは“Gemini”)を実装したノート用のプロセッサーが出てくるはずです。

*SpeedStep:高低2種類の電圧によってプロセッサーを駆動する技術。バッテリー使用時には低電圧かつ低いクロックで動作させ、AC電源使用時には高い電圧の高いクロックで動作させるというもの。インテルでは、2000年第1四半期にこの技術を搭載したモバイルプロセッサーを発表するとしている。

Athlonのクロックも、第1四半期には800MHz、第2四半期に850MHz、900MHz、そしておそらく第4四半期には1GHzになってくるでしょう。これはインテルの製品と相前後する形で発表されていくと思われます。まあ、発表するのと製品が出てくるのは違った話になりますが。

以前はインテルは、かなり製品の量を用意してから発表を行なっていました。高クロック製品についてもたくさん製造できるようになってから発表していたのです。ところが、今は(以前に比べて)生産できる量が少ないうちから発表しています。これはインテルの方針が変わったということでしょう。そうすれば1四半期ずつ前倒しできるからだと考えられます。

'99年末に発表されたPentium III-800MHzはまさにこのケースで、当初は高クロック品がもっとたくさん取れるようになってから発表予定だったものでしょう。このパターンで、866MHzや933MHzも1四半期ずつ前倒しされると考えられます。そして、第3四半期の終わりから第4四半期のはじめには1GHzプロセッサーが発表されることになるでしょう。ただ、発表の時期はAMDの同クラスプロセッサーの発表時期をにらんで、ということになるでしょう。

クリックすると拡大されます
2000年の各社プロセッサーロードマップ予想図


「*画像をクリックすると鮮明な画像を参照できます」

インテルもAMDも高クロック化に関しては、ぎりぎりの戦争を始めたわけですから、どちらもどこでつまずくようなことになっても不思議はないですね。インテルにしても、1GHzになるのはCoppermineのさらに次のWillametteになってからとされていたのが、Pentium III-1GHzが登場しそうな可能性がすごく高くなってきたわけですから」

編集部:「年末のPentium III-800MHz発表の際に、750MHzまでのFC-PGAパッケージ版もあわせてリリースされましたが、インテルは今後、Pentium IIIのFC-PGAパッケージ化を図っていくということでしょうか」

後藤:「既存のSlot1マザーボードはたくさんありますし、メーカーからの要求もすぐになくなることはないでしょうから、当分の間従来のSECCパッケージのものも生産するでしょう。しかし、インテルとしては、FC-PGAパッケージに移行したいと考えているのは事実です。

これはSECCパッケージのものより、FC-PGAパッケージのほうが製造コストが安いという事情によります。プロセッサー関連の専門誌である“Microprocessor Report”の試算によれば、およそ14ドル(約1450円)安くできるとされているのです」

編集部:「Celeronの今後の動きはどうでしょう? 以前はFSBを100MHzにする話もありましたが。インターネット・ストリーミングSIMD拡張命令についてはサポートされるでしょうか」

後藤:「FSBを100MHzにする話はなくなりました。CeleronユーザーはFSBを気にしないということが明らかになったためです。それからインターネット・ストリーミングSIMD拡張命令は、Celeronが0.18μmプロセス製品に移行した時点でサポートされます。コアはCoppermineと同じになりますから。いわゆるCoppermine-128Kですね」

編集部:「インテルのモバイル系プロセッサーについてはどうでしょう?」

後藤:「これははっきりしていて、モバイルCeleronはSpeedStep技術は実装されず、(発熱で)熱くなるけど速い、モバイルPentium IIIはSpeedStep技術を実装して、熱くて速いモードとあまり熱くなくてそこそこ速いモードの、2つのモードを持つ、というものです。なお、モバイルCeleronも2000年の前半にはCoppermineコアのものに移行しますから、以前のCeleronよりは発熱は減ります。デスクトップからノートまですべてのラインアップでCoppermineコアが採用されることになりますね。

それから、チップセットとプロセッサー、グラフィックアクセラレーターを統合した、いわゆる統合チップである“Timna”はおそらく第3四半期の終わりから第4四半期の頭に発表されるでしょう。動作クロックはその時点でのCeleronの最低クロックにあわせてくるでしょうね。VIAが計画している同様の統合チップ“Samuel”はこれとぶつかることになるでしょう」

編集部:「統合チップのお話までしていただいたところで、お開きにしたいと思います。ありがとうございました」

(了)

【関連記事】 【年始特別企画インテル編 Vol.1】'99年前半はインテルのCeleron攻勢により、互換プロセッサーメーカーが淘汰された
 http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/2000/0105/
topi03.html

【年始特別企画インテル編 Vol.2】インテルがつまずき、AMDがAthlonを登場させた'99年後半
 http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/2000/
0106/topi04.html

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