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DNP、中国政府系出版機関 文物出版社と提携--中国書画の大規模なデジタルアーカイブ事業を展開

1999年11月09日 00時00分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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中国政府系出版機関である中国法人 文物出版社と大日本印刷(株)(DNP)は9日、デジタルアーカイブ事業に関して提携関係を結んだと都内で発表した。これは、10月14日に北京での調印を受けてのもの。文物出版社は、日本の文化庁にあたる中国の政府機関 国家文物局管轄の団体で、図録や学術書の印刷・出版事業のほか、中国国家文物局が進めている美術品の整理・保管・保存および、版権管理の窓口業務も行なっている。

中国国家文物局の外事処処長 王立梅氏(左)と、DNP専務取締役の高橋平氏
中国国家文物局の外事処処長 王立梅氏(左)と、DNP専務取締役の高橋平氏



業務提携の内容は以下の2つ。

(1)“文物出版社中国文物図像数据出版中心(中国文物データセンター)”を、中国国家文物局や国家版権局の指導の元で、共同で設立・運営する。

中国文物データセンターは、文物出版社が所蔵する書画の写真に対し、デジタルデータ化を行ない、データベースを構築するための組織で、文物出版社内(北京市)に設ける予定。資料の使用許諾、貸与といった版権管理も事業の1つとして行なう。

また、書籍や複製画の新規出版、中国の書画を扱うCD-ROMの制作や、デジタルデータを用いたカレンダーや皿などグッズの制作、各種オンラインサービスなども企画しているという。

なお、文物出版社が現在所蔵している写真は、正確な数字は定かではないが、10万点以上と言われている。

(2)文物出版社が所蔵する著作物のデジタルデータに関して、日本国内における仲介・販売業務をDNPが行なう。中国文物データセンターの日本での窓口を、(株)ディー・エヌ・ピー・アーカイブ・コム*が担当する予定。

企業の、文物出版社が所蔵する書画の写真、静止画、動画、音楽データに対する資料の使用許諾、新規撮影の委託といった要望に対し、権利処理業務を代行する。このサービスは、日本通貨での決済も可能にする予定。

*DNPは10月1日、グループ内のアートに関するコンテンツを扱う部門を統合して、デジタルアーカイブ事業を推進する新会社“株式会社ディー・エヌ・ピー・アーカイブ・コム”を設立した。資本金は2億円

今回発表された新規事業について、著作権保護技術など技術的な内容や、事業の資金分担となど詳細は未定となっている。今後1年後をめどに、システム構築の準備や試験事業を展開する予定。

文物出版社が政府系出版機関ということもあり、同社が保有する著作物のデジタルデータ化と国内における権利処理代行については、DNPの独占的な契約ではない。しかし、こうした契約を文物出版社と結んだのはDNPがはじめて。

今回業務協力先としてDNPを選んだ理由について、中華人民共和国国家文物局の外事処処長 王立梅氏は、「DNPとは、中国上海博物館でのグラフィックスの作成やデータベースシステムの構築に関して共同事業を行なっており、そのときの技術力を高く評価している」と語った。

祝賀会にはDNPの北島義俊社長も出席。DNPにとって今回の発表は、'98年4月のフランス国立美術館連合(RMN)に続き、2件目の海外企業・団体とのデジタルアーカイブに関する業務提携となる。ちなみにRMNとのデジタルアーカイブ事業について国内で名乗りをあげた企業は、DNPと、凸版印刷(株)の関連会社(株)イメージモールジャパン
祝賀会にはDNPの北島義俊社長も出席。DNPにとって今回の発表は、'98年4月のフランス国立美術館連合(RMN)に続き、2件目の海外企業・団体とのデジタルアーカイブに関する業務提携となる。ちなみにRMNとのデジタルアーカイブ事業について国内で名乗りをあげた企業は、DNPと、凸版印刷(株)の関連会社(株)イメージモールジャパン



「貴重な文化遺産を子々孫々に伝えたい」

記者会見で来日した文物出版社 渉外業務部で副主任を務める趙力華氏に、文物出版社から見た今回の業務提携の背景を伺った。

文物出版社 渉外業務部 副主任の趙力華氏
文物出版社 渉外業務部 副主任の趙力華氏



--中国の美術出版業界において、文物出版社の占める位置を教えてほしい

「中国には、10~20の美術系出版社が存在する。文物出版社は、その最大手の1つである」

「他の美術系出版社との最大の違いは、政府系出版社という立場だ。国家文物局の分化遺産の保護活動と密接な連携をはかりながら、図書の編集を行なうことができる。文物局と共に書画の鑑定作業から行ない、8年かかって出版した図鑑もある」

出版物の一例
出版物の一例



--なぜ今デジタルアーカイブ構想が出てきたのか、教えてほしい

「文物出版社は、10万点以上の書画の写真を所蔵している。中には、災害で美術品本体が破損してしまったような、歴史的価値の高いものもある。このままプリントやフィルムの状態で保存をしていたのでは、年々いたみや色あせが進む一方である。デジタルデータとして管理・保存することで、貴重な文化遺産を子々孫々に伝えることができるだろう」

--デジタルアーカイブ事業を行なう技術力を持った中国企業もあるのではないか?
「北京、上海、精華といった大学はもちろん、技術を持った私企業はたくさんある。もちろん、DNP以外の企業からも、共同事業に関する提案が数件あった。DNPは、その技術力で評価している」

--今回はDNPと独占的な契約ではないということだが、今後、別の企業とデジタルアーカイブ事業を行なうことも可能性としてあるのか?

「もちろんそうだ。しかし、まずはDNPとの事業を軌道に乗せたいと思っている」

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