民間調査会社の(株)矢野経済研究所は10月1日、パソコンの出荷状況の調査結果を発表した。これは、同社が国内パソコンメーカー20社およびそのほかの関係各社に、'99年5月~7月に取材したもの。
同調査結果によれば、'99年度('99年4月1日~2000年3月31日)のパソコンの総出荷台数は約945万台(前年度の実績は約831万台)で、前年度比13.7パーセント増となる見込み。これは、'98年度からソニー(株)の『VAIO』やアップルコンピュータ(株)の『iMac』などの人気商品に牽引される形で個人消費が回復し、'99年度もその勢いを持続しているため。
同調査結果の'99年度のパソコン出荷台数見込みのメーカー別シェアは、日本電気(株)(NEC)が22.8パーセント(前年度シェア比2.5パーセント減)で1位のシェアを維持しているものの、2位の富士通(株)は20.1パーセント(前年度シェア比0.7パーセント減)で、その差は1.7パーセントとなっている。3位以下は、日本アイ・ビー・エム(株)、アップルコンピュータ、(株)東芝、(株)日立製作所、その他の順。1位のNECから6位の日立製作所まで各メーカーともに前年度の出荷台数を上回っているが、いずれのメーカーもシェアは前年度より落としている。この原因は、その他のメーカーの比率が大幅に拡大したためで、ソニーの急成長以外に、デルコンピュータ(株)やゲートウェイ(株)の通販勢力、低価格パソコンを販売した(株)ソーテックの躍進などが寄与したためだとしている。
同調査結果のパソコン形状別の出荷構成では、'97年度は22万台の市場だった省スペース型パソコンが急成長し、'99年度は180万台(前年度比125.8パーセント増)の見込みとなっている。これは、省スペース型の需要の増加や液晶ディスプレーの低価格化のためだという。
同社が調査したユーザーの構成比率によると、個人ユーザーの比率は'96年度が39パーセントで、'97年度には31パーセントに急落したが、'98年度は37パーセントまで回復した。さらに、'99年度は40パーセントに上昇する見込みとなっている。一方、法人ユーザーでは、'97年度と'98年度の実数ベースではほぼ横ばいだが、その比率は66パーセントから60パーセントに低下。同社は、これらの調査からパソコン市場の回復の要因は、個人消費の回復によるものだとしている。