データベースLinux Java ServletによるWebサーバ構築編 |
発行(株)アスキー (http://www.ascii.co.jp/)
著者 加藤大受、田原孝 監修 インプライズ(株) ISBN 4-7561-3379-7 3800円(本体)、CD1枚
データベースをちょっと動かしてみようと思ったとき、安定性や価格、サポートされているデータベースの種類を考えると、OSはLinuxを選ぶことになるでしょう。SQLを利用するのは当然としても、アプリケーションで使っている言語から直接データベースを利用できれば、データベースを利用するためだけの特別な仕組みは不要になるので開発も楽になります。最近はJavaによるアプリケーション開発も増え、Javaで直接データベースを操作したいという要求は強くなっています。
本書の副題「Java ServletによるWebサーバ構築編」を見て、この本は今の時代にぴったりの本ではないかと思ってとりあえず読んでみました。副題から想像すると、本書はデータベースとしてInpriseのInterBaseを取りあげ、InterBaseの概説からApacheの説明、Servlet環境の説明と続き、それからJavaを使ってデータベースを操作する方法の説明が始まるのかと思いました。しかし実際はDelphiを使った説明が長々と続いてしまい、かなり裏切られた気分になってしまいます。
Delphiに関する説明に約半分のページ数が費されていて内容は充実しているかもしれませんが、私はDelphiを使ったことはないし、とくに興味もなかったので、この部分は読むのを省略しました。そのあとに、Delphiを使用したCGIをより柔軟なJava Servletに置き換えてみようという筋書きで、Javaについて50ページ程度の簡単な説明がありました。すらっと読めたけれども、非常に物足りなさを感じました。
Javaという言葉があったので、Java ServletだけでなくJDBCについての解説や、Javaアプリケーションからの利用例などもあると勝手な想像をしてしまって、過大な期待を胸に読んでしまったようです。付録のCD-ROMにはInprise製品の評価版が入っていて、実際に本書の内容を試せるようになっていましたが、なぜかマルチプラットフォームであるはずのJBuilderがWindows98版のみだったりして、Linuxで試したい人はかなりがっくりさせられます。
この本は、すでにInterBaseやデータベースについては知っていることが前提になっているので、この本の前に出版されている同じシリーズの「InterBase 4.0 For Linux」を読んでおく必要があるでしょう。
データベースLinux InterBase 4.0 For Linux |
発行(株)アスキー (http://www.ascii.co.jp/)
著者 下田雅彦 監修 インプライズ(株) ISBN 4-7561-2013-X 3800円(本体)、CD1枚
こちらも、データベースの入門書というより、データベースは知っているがLinuxやInterBaseに詳しくない人向けの書籍です。アプリケーションの作成例としてDelphi、Excel、CGI を使った例が1章ずつ設けられています。ここでCGIに使われているのはPerlではなくPythonです。Pythonがまだそれほどメジャーなスクリプト言葉でないために、より一般的な用語のCGIを章題にしたようでいて、なんだかちぐはぐな感じです。
Linux上でInterBaseを動かすための勉強、とくに各種ツール類に限れば、まずまずの詳しさで書かれている本ではないかと思います。本書と「Java ServletによるWebサーバ構築編」の2冊を合計すると700ページを超える厚さになりますが、図がかなり多く読み始めればかなりのペースで読めるでしょう。
Linux上でJavaを利用したデータベースを勉強しようと思えば、素直にJDBCをキーワードにして書籍探しをしたほうがよかったようです。
藤原博文
プロフィール
パズルを解くためにTK-80などに手を出したが、BASICの低速性が気に入らず、ついコンパイラを作ってしまった。それ以降はソフトウェアの世界から足抜けできなくなり、逆にパズルをする暇がなくてストレスが溜っている。UNIXはVAXの頃から使い始めすでに20年近く、Linuxは4年前より日常的に利用している。ホームページはhttp://www.pro.or.jp/~fuji/