「品川ラーニングセンター」のある「品川インターシティB棟」外観。1998年末に竣工した新しいビルで、同センターはその12階にある。品川駅から通路で直接つながっているので、交通の便もよい |
今回は、Linux関連コースを実際に受講し、その模様をお伝えする。
「Linux基礎」は、同社の研修センターである「品川ラーニングセンター」で行なわれた。同コースは、ある程度UNIXの知識(具体的には同社で提供している「UNIX入門」コースを履修した程度の知識)はあるが、Linuxにふれるのは初めてという人を対象にしたコースで、目標として、
- Linuxの概要を説明できること
- Linuxの基本的なコマンドを習得すること
- Linuxのシェルの機能を利用した、コマンドの効率的な使用
- X Window Systemの基本的な操作と環境設定が可能になること
などが挙げられている。メニューについては、図1「Linux基礎」コースの流れをご覧いただきたい。
1日目 | 2日目 | ||
---|---|---|---|
9:40 | 1時限 Linuxの歴史、用途 |
9:30 | 1時限 Muleのキー操作と設定 |
10:50 | 2時限 Linuxの基本操作 |
10:50 | 2時限 実習 Muleによる日本語入力 Linuxの基本コマンド |
12:00 | 昼食 | 12:00 | 昼食 |
13:10 | 3時限 実習 Linuxの起動 |
13:10 | 3時限 X Window System |
14:30 | 4時限 vi、Mule、Emacs |
14:30 | 4時限 XFree86の環境設定 |
15:40 | 5時限 実習 Muleでファイル作成 |
15:40 | 5時限 Shell環境 RPMコマンド |
16:30 | 終了 | 17:00 | 終了 |
学習環境は、Pentium-133MHz、メモリ16MBというスペックのマシン「FMV-5133 D5」に、「日本語redhat Linux 5.2」をインストールしたものを使用した。しかし、より快適な学習環境を提供するために、Celeron-466MHz、メモリ128MBというスペックのマシン「GRANPOWER5000 ES200」に、「Caldera OpenLinux eServer2.3日本語版」をインストールしたものへの変更が、2000年の4月に予定されているという。
それでは、体験レポートをお届けしよう。初日、2日目とも、授業開始は9時半から(初日は電車の遅れで9時40分開始というアクシデントがあったが)。
2日間お世話になる佐藤講師の挨拶、出席確認が終わると、挙手による簡単なアンケートが取られた。アンケートは、UNIXに触ったことがあるかどうか、Linuxをインストールしているかどうかといった簡単なもので、受講者全23名中の結果は
- UNIXに触ったことがある 10名
- Linuxをインストールしている 1名
といった感じであった。
受講者は全部で23名 |
上記したように、このコースは、「ある程度のUNIXの知識を前提」としているが、今回の講習会では約半数がUNIXに触ったことがないという結果になっている。2日間は、設定された前提知識に縛られることなく、リサーチした全員のスキルにあわせて進められた。今後受講者増えてスキルに幅が出てくるようであれば、コースの増設、内容変更もありうるという(「Linux基礎」講師インタビュー参照)。
授業がとどこおりなく進むなか、熱心な受講生の質問も飛び交った。たとえば、「shutdown -h now」(システムをシャットダウンするときのコマンド)の説明がされたときのこと、質問の時間になった途端、ラフな恰好をした熟年男性が、すかさず、「リブートはできないんですか?」という質問をしていた。この方は、どうやらノートPCでLinuxとWindowsをデュアルブートしたいらしく、積極的に質問をくり返していた。「使いたいから、学ぶのだ」という、Linuxらしいどん欲さを感じ、非常に印象深かった。
また、“触って覚えていく”という姿勢も随所に見られた。たとえば、いったんコマンドラインをすべて打ち込んでもらったのちに、「bash」のファイル名補完を説明し、その便利さを受講者に実感させる、といった方法である。「Linux基礎」のテキストでは、「bash」のファイル名補完は、2日目の内容なのだが、特にテキストにこだわらず、講習中もっとも効果的なところで、「bash」の機能を説明して行なったわけだ。
このプロジェクター画面に講師が操作するPCの画面が映し出され、操作の手本として非常にわかりやすかった |
このような教え方によって、さまざまなコマンドを効率的に組み合わせて使うUNIXの雰囲気を効果的に伝える、佐藤講師のプロフェッショナルな姿勢を感じた。
熱心な質問に対して丁寧に答えてゆくこの講習会は、“最近よく聞くLinuxって何?”、“Linuxって業務で使えるのか?”といった疑問を持った人が、Linuxの概要と基本的な使い方を効果的に学ぶことのできる、「Linux基礎」という名にふさわしい講習会といえよう。