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LinuxWorld Conference & EXPO New York レポート その4

2000年02月07日 19時36分更新

文● 宮原 徹

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日刊アスキー Linuxでコラム「ソフトウェアベンダーから見たLinux」を執筆中の宮原 徹氏に、LinuxWorld Conference & EXPO New Yorkをレポートしていただきました

2月4日(金曜日) 雪

 み。@NYです。とうとうLinuxWorld NYも最終日。今日も相変わらず雪が降っています。今日は午前中にLinux Internationalisation Initiative(LI18NUX)の記者会見に参加後、追い込みでまだ見ていないブースを一気に廻ってみました。

LI18NUX記者会見

 カンファレンススピーカーとしてLI18NUXのCo-Chair(共同代表者)である(写真左より)Chirs Simmons氏(独SuSE)、木戸氏(日本IBM)、樋浦氏(米Sun Microsystems)の3人が出席しました。

Chirs Simmons氏(独SuSE)、木戸氏(日本IBM)、樋浦氏(米Sun Microsystems)
左から、Chirs Simmons氏(独SuSE)、木戸氏(日本IBM)、樋浦氏(米Sun Microsystems)

 まず始めに現地化(Localization)と国際化(Internationalisation)の違いについての解説のあと、現在までに25カ国から、そして非常に多数の個人および企業からの参加があったことが報告されました。また今後のプランとして、3ヵ月に1回、Worldwideで実際にプロジェクトに携わるメンバーが集るface-to-face meetingを行なうこと、さらに今年の上半期中には基本的な、国際化されたLinuxのシステムアーキテクチャ(構造およびAPIの定義)、国際化された/すべきソフトウェアのカタログ(リスト)の作成を行ない、具体的な作業に入ることが報告されました。日本は国際化の必要性が高い国でもあります。また、国際化を実現するためには、実際の実装作業以上にテストが重要であり、またより多くのLinuxユーザーが貢献をしやすいのではないでしょうか? プレゼンテーションの予定表では5月にドイツで行われる予定だったミーティングが延期され、日本で開催されるLinuxWorldに合わせて東京で行なわれる可能性があるとのことなので、期待したい。

ディストリビューション花盛り

 やはり展示会場で多く目に付くのがディストリビューションベンダー。残念ながらすべてをフォローすることはできないので、主だったベンダーのブースを見て廻りましょう。

Caldera Systems

 相変わらずこの手の展示会のやり方が上手な印象を受けました。会場全体にプレゼンテーションの聴衆の「Open!!」という声が響いています。キャッチフレーズが「Linux for e-Business」と「e-」付きになっていました。いつのまに……。

Caldera Systemsブース
Caldera Systemsブース

Conectiva

 Red Hatベースでラテン語圏への対応をしっかりしていることで南米では大きなシェアを誇っている。ブラジル生まれのLinuxディストリビューション。Tシャツの背中のペンギンの手にはブラジル国旗が翻っています。噂には聞いていましたが、見るのは初めてのディストリビューション。黒を基調にしたパッケージなどはなかなか渋めですね。

Conectivaブース
Conectivaブース

Corel

 クライアント用ディストリビューションとして評価が高いCorel LINUX OSを、今回のLinuxWorldでは実際に製品パッケージとして見ることができました。果たしていつ日本に上陸してくるのか、そしてその評価がどうなるかが楽しみです。

Corelブース
Corelブース

Linux-Mandrake

 こちらは青い帽子のLinux-Mandrake。米国内では後発ながら多くの出荷本数を誇る快進撃を続けています。会場内のグッズ販売ブースでは最新版のLinux-Mandrake 7.0を売り出しているところが多数あり、人気の程を伺わせました。

MandrakeSoftブース
MandrakeSoftブース

Red Hat

 こちらは赤い帽子のRed Hat Linux。いつもながら地味目のブースです。説明員の中に、先日来日中にLI18NUX主催のセミナーの講師をつとめた、glibcの開発者でもあるUlrich Drepper氏がいたので、1枚記念撮影(写真左)。また最終日には会長であるBob Young氏の姿も見えました。今後の製品戦略としてはUpdate Agentを利用したネットワーク経由でのバージョンアップサポートや企業向けのバージョンなど、ユーザーサポート重視の方向性が見えました。

Red Hatブース
Red Hatブース

Stormix Technologies

 カナダのStormix TechnologiesはついにリリースされたStorm Linux 2000を出展。前回ブースでお会いした池田氏は残念ながらNYには来れませんでしたが、日本語版の開発コーディネーターである中嶋氏(写真中央右)にに色々と今後の予定をお聞きすることができました。日本語版のリリースについてはかなり積極的に考えていますが、出荷時期については今のところは未定とのこと。今のところ数が少ないDebianベースのディストリビューションがどうなるか注目したいですね。

Stormix TechnologiesブースStormix Technologiesブース

SuSE

 SuSE Linuxのラインナップで驚くのが、なんとCD-ROMではなくDVDで1500以上のソフトウェアを提供していること。しかも希望小売価格が通常版と同じ$49.95。また480ページのマニュアル付きということで、パッケージの重さが1キロを超えています。カタログにパッケージの重さの記載があるのです。ここまで丁寧な情報が提供されているパッケージは初めてみました。脱帽です。ところでブースの写真、よく見ると手前に写っているのは偶然にもLI18NUXのCo-ChairのChris Simmons氏ですね。PCで確認するまで気がつきませんでした。(笑)

SuSEブース
SuSEブース

TurboLinux

 こちらは日本でもおなじみのTurboLinuxのブース。イメージカラーを黄色で統一し、説明員の多さでは群を抜いていました。かける意気込みが感じられる出展でした。出展製品はパッケージも一新したTurboLinux 6.0にTurboCluster Serverなど、他者との差別化を意識していることを伺わせるものでした。

TurboLinuxブース
TurboLinuxブース

 これでとりあえず一部のメジャーどころを御紹介しましたが、これら以外にもSlackwareなどもありましたし、さらに多くの組み込み系のベンダーの展示が見られました。若干、ディストリビューションの過当競争ではないかと思わせる状況でもあり、各社とも差別化をいかにはかっていくかに苦慮しているように思われました。8月にSan Joseで行われる次のLinuxWorldでこの状況がどのように変化しているかがちょっと楽しみです。

FreeBSD

 Linuxのイベントながら毎回気を吐くFreeBSDのブース。会場内だけでなく、ここでもFreeBSDのマスコットガールとの記念撮影が大人気。なかなかNerd(オタク)の心をつかむマーケティングが上手なようです。これなら日本に比べてユーザーが少ないといわれる米国の状況を変えていくことができるかも?

FreeBSD
FreeBSD

ハードウェアベンダーも

 ディストリビューションベンダーだけでなくハードウェアベンダーも一気に紹介しましょう。

Cobalt Networks

 会場に巨大Cobalt Qube出現。今回はパートナーのソリューションを中心に展示を行なっていました。

Cobalt NetworksブースCobalt Networksブース

COMPAQ

 光るスーパーボールを求めて列を成す人々。いつもながら景品がなかなかもらえないブースです(笑)しかも景品担当のおばちゃん女性も確かいつもこの担当のような……。今回はあまり目新しい出展品はありませんでしたが、光るスーパーボールがもらえたので満足です。

COMPAQブース
COMPAQブース

IBM

 ジャーナリングファイルシステムのLinuxへの移植など、Linuxやオープンソースに対するサポートを強化するIBM。今回の展示会では中央に大きなスペースを確保して、さまざまなソリューションを展示。目を引いたのがLinuxを採用したシン・クライアント。ほかの製品と同じく、黒く薄い筐体にLinuxを利用してe-business戦略に組み込んでいくのでしょう。

IBMブース
IBMブース

SGI

 IBMと同じく、Linuxへの傾倒を強めつつあるSGI。今回もいくつものハードウェアとの組み合わせによる、特に企業向けのソリューションを展示していました。今回は2台に増えたリモコン・ロボットがブースに人を呼び寄せていました。

SGI
SGIブース
SGI
SGIブース

Sun Microsystems

 Calderaとの共同でLinux用のJava2環境をリリースするなど、徐々にLinuxのJava化を進めるSun。ただし、ボランティアでLinux用のJavaを支えていたBlackdownとの問題などが今後どのように影響するのかが気にかかります。また、先日買収したStarOfficeの評価用CD-ROMを至るところで配布していました。LI18NUXの樋浦氏によると、Windows版は日本語が通るらしいのですが、Linux版では残念ながら日本語は通らないとのこと。早く日本語が通るようになることを期待したいですね。

その他の会場の様子

Transmeta

 Linus Torvalds氏が所属していることで有名なTransmeta社の新型チップであるCrusoeの紹介をSybaseのブースで行なっていました。コードモーフィング技術を利用したIntel互換CPUのCrusoe。モバイル用と謳っていますが、どのように利用した製品が出てくるのか、楽しみです。

Transmetaブース
Transmetaブース

MaxSpeed

 この箱、何かというと1台のマシンを二人で使うための装置です。名前を「+One Station」といいます。マシン本体にPCIカードを挿し、この箱とケーブルで繋ぎます。この箱にはモニター、キーボード、マウスのポートが付いており、あたかもこの箱がもう1台のマシンのように振舞いますが、実際にはCPU、メモリ、HDDは本体のものを共有で使っており、いってみればコンソールをもう1つ追加する形になっています。もちろん2つ繋げれば同時に3人が使うことも可能。Xなどと違い、マシン自体は1つで済むという点でディスクレスワークステーションとは別のものですし、このサイズも魅力的です。それほど重い作業をしないのであれば、最近の性能のいいマシンを2人で共有した方がコストパフォーマンスが高い? まだ出荷されていないが、およそ150ドルを予定しているとのこと。

MaxSpeed
MaxSpeed

SCO

 ブース内のステージでシャウトしていました。3層アプリケーション構築のためのソフトウェア「Tarrantera」の紹介でした。

SCO
SCO

JAPAN Linux Pavillionの成果

 今回は米国で行なわれる展示会に日本から出展するというチャレンジ・プロジェクトを、色々と問題はあったものの、大きな事故もなく最後まで完了することができました。ご協力をいただいた各社・団体の皆様、お立ち寄りいただいた来場者の方々にこの場を借りてお礼を申し上げます。

 今回の出展で、今後の日本に留まらないLinuxビジネスの展開への筋道は一つ付けることができたと思いますし。そして、これに終わらず、次回のSan Jose開催では、よりパワーアップして出展をしようと考えております。興味のある企業の方は是非御連絡をいただければと思います(tmiyahar@blue.gr.jpまで)。

まとめ

 今回はブース出展というチャレンジと、展示会場には180以上のブースがあったため、全部を細かく廻り切るほどの時間がない、慌しい参加となりました。しかしそれが逆に米国内で急速にLinuxビジネスが発展していることをひしひしと感じさせてくれました。その際のキーワードは「Network」と「Embedded(組み込み)」、「Appliance(特定用途適用、とでも訳しましょうか)」です。私としては1つのLinuxのあるべき方向に進んでいるのではないかと思います。Windowsが何でもやれることを目指したことにより複雑化したのに対して、Linuxはその動きに対しての自然なアンチテーゼとして単純化する方向に走りつつあります。昨年のビジネスの最大関心事がディストリビューションだったことに対して、現在は飽和状態であり、これからは選別と淘汰が行なわれるのでしょう。

 Linuxでやりたいことや、やれることを見つけられる場所、それが「LinuxWorld」という、すでに一大イベントになったイベントだと思いますが、まだまだその内容には粗削りの部分も多くあるような気がします。ただし、そういった粗削りで自由な発想で入り込める余地があるところがLinuxの魅力でもあり、やはりLinuxの1つのあるべき方向へと進んでいることを確認させてくれるイベントであったと思います。次のSan Joseでの開催が楽しみです。

余談

 LinuxWorld、楽しみなんですけど、時期がよくないですね。2月のNYは寒すぎます。8月のSan Joseはお盆に真っ向からぶつかるので航空券が高くて、かつ飛行機が混み過ぎです。ちょっとずつずらしてくれるとありがたいんですけどね。会場費の問題などがあるんでしょうね。

宮原 徹

プロフィール

宮原氏の写真

1972年生まれ、神奈川県出身。中央大学法学部卒。現在、日本オラクル(株)Linux事業推進部に所属。日本国内でのビジネス用途でのLinux利用促進の為、日夜活動を行なっている。月刊アスキー・ネットワーク・プロにて、Linuxサーバ「blue grass」を扱った「小さくてもe-business」を連載中。

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