フリーなTrueTypeラスタライザ「FreeType」を開発している「FreeTypeプロジェクト」は、FreeTypeで使われている手法に関連した、Appleの持つ特許を発見したと警告した。同プロジェクトでは、これが直ちに特許侵害にあたるかは分からないが、FreeTypeを使うことがアメリカや日本などで違法である可能性もあるとしている。現存のところ、Appleの法律部門にメールを送り、その返事を待っているところだという。
TrueTypeラスタライザとは、ベクトルデータであるTrueTypeフォントを、実際に表示される形式のビットマップデータに変換するもの。FreeTypeはX-TTやVFlibなどに使われている。
FreeTypeが侵害している可能性がある特許は、
- US5155805: Method and apparatus for moving control points in displaying digital typeface on raster output devices
- US5159668: Method and apparatus for manipulating outlines in improving digital typeface on raster output devices
- US5325479: Method and apparatus for moving control points in displaying digital typeface on raster output devices
の3つ。
もしこれらが特許侵害にあたれば、別のアルゴリズムを使ってTrueTypeのラスタライジングをするようにFreeTypeを書き直すことがありうるという。しかし、そのためにラスタライザの質が落ちる可能性がある。
Appleの特許に限らず、フリーソフトウェアとソフトウェア特許とは相容れない部分が多い。フリーソフトウェアでは特許使用料を払うことができないし、何人が使っているのかさえ把握できないからだ。
代表的なソフトウェア特許は、米Unisysのもつ「LZW」圧縮アルゴリズムや、米RSAのもつ暗号化アルゴリズム「RSA」などだ。LZW圧縮アルゴリズムはGIF画像フォーマットで使われており、ほぼ全世界で特許が成立しているため、フリーソフトウェアに対する影響が非常に大きい。また、暗号化アルゴリズムRSAはアメリカで特許が成立しており、RSAを使用している暗号化・電子署名ソフトウェア「PGP」をアメリカで使うことは違法だった(現在はRSA社のライブラリを使っているので、合法になっている。なお、もともと日本ではRSAの特許そのものが成立していない)。
ソフトウェア特許がなければ開発者がむくわれないという意見の一方、Richard Stallmanのように「ソフトウェア特許があるとフリーソフト開発が不可能になる」として、ソフトウェア特許に反対する人も多い。