マイクロソフトは26日、Windows VistaのService Pack 2(SP2)のRC(Release Candidate:製品候補)版を、MSDNやTechnetなど開発者・テスター向けサービスで公開した。
さらに3月5日には、SP2 RC版の一般向け公開も開始された。オンラインセットアップ版(Windows Update Experience Kit)とDVD ISOイメージ版2種類(5言語版と全言語版)の3種類が公開されている。Vistaだけでなく、Windows Server 2008 SP2もセットになっている。
早速Vista SP2のRC版をインストールしてみた。Vista SP2をインストールするには、Windows VistaがSP1でなければならない。SP2にはSP1のモジュールは含まれていない。テスト環境では、SP2スタンドアロン版のインストールは20分ほどで終了した。
SP2での主な機能追加や修正点に関しては、β版時点の記事を参照のこと。ここでは、β版から変更された点について解説する。
Vista SP2 RC版の一般公開開始を受けて、記事を修正いたしました。(2009年3月5日)
SP1との互換性向上を重視
SP2 RC版では、アプリケーションの互換性向上が図られている。VistaからVista SP1にアップデートした際に起こったアプリケーションの互換性問題を、SP2ではできるだけ起こさないようにということだ。
特に、β版で互換性に問題があったアンチウイルスソフトの「ZoneAlarm」や、スパイウェア検出ソフトの「Spy Sweeper」などが、RC版では正常動作するようにSP2側が修正された。
また今回のRC版では、企業ユーザー向けの機能として「Service Pack Cleanup Tool」が提供されている。
通常のSPは、新しいSPをインストールした後でも以前の状態に戻せるように、インストール前の状態をバックアップしている。これ自体は信頼性を確保するのに役立つが、そのたびにバックアップが保存されるため、SPをインストールするごとにHDDが消費される。
企業内のパソコンはHDDの容量が少ない場合も少なくない。Cleanup ToolではSPによるバックアップを削除して、インストール前に戻せなくなる代わりに、HDDの空き容量を増やせる。
コンシューマー向けの機能としては、「Windows Media Center」上でコンテンツプロテクションがかかったテレビ番組の表示が改善されたという。
ネットワーク関連でも、いくつかの改良が施されている。ネットワークに接続できないときに使用する自動修復機能で、SP2で拡張されたTCP/IPの各種パラメーターが調整される。例えばTCPコネクションの最大値が増やされて、ネットワークを使うプログラムをより多く同時実行できるようになる。
正式版リリースは4~5月頃か
気になる正式版のリリース時期だが、当然ながらマイクロソフトは明言していない。しかし、順調にいけば4月~5月頃にはリリースされるだろう。β版からRC版の変更点を見ても、それほど大きな変更はない。今回リリースされたRC版がほぼ最終版といってもいいくらいだ。あるいは「Internet Explorer 8」のリリースと同時に、SP2もリリースということも考えられる。
今までの例からいえば、Vista SP2は、リリース直後はWindows Updateで推奨されるアップデートとして提供され、3~4ヵ月後には、自動アップデートの対象として配布される。同時に企業ユーザー向けには、“SP2への自動アップデートをしない”ようにするモジュールも提供される。