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HPからも仮想化に最適なブレードサーバーが出た!

2008年09月26日 00時12分更新

文● 新 淳一/ASCII.jp

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BL495c G5

HP ProLiant BL495c Generation 5

 今や、ブレードと仮想化は切っても切れない関係にある。日本ヒューレット・パッカードが9月25日に発表したブレードサーバー「HP ProLiant BL495c Generation 5」は、「仮想環境に最適化したサーバー」をうたう。そういえば先日、デルが出した製品も同様のコンセプトを持っていたが(関連記事)、決して偶然ではないだろう。

 日本HP ISSビジネス本部 ビジネスプランニング部 マネージャの宮本義敬氏は、2008年、仮想化案件でいっしょに検討されたサーバーのタイプを比べたところ、「仮想化の案件に限って見ると、ラック型やタワー型を抑え、62%という圧倒的な比率をブレードサーバーが占めている」ことを明かした。

 では、なぜブレードと仮想化なのだろうか? 宮本氏によると、現在、日本HPのサーバービジネスのうち、新規と更改の比率は3対7程度。そして、ユーザーがサーバーの更改のときに必ず検討するのが「IT統合」なのだという。ユーザーはIT統合によって、設置スペースコストや消費電力コストの削減、あるいはシステム変更の迅速化や管理の効率化といった点を期待するそうだ。

 ブレードは、高密度実装、電力効率化実装ということでコスト削減を図れる。また、システム変更の迅速化という点では、追加増設が簡単だ。管理の効率化についても、HPのブレードであれば、遠隔感知を実現するiLO 2 Standard Blade Editionやインサイトディスプレイといった、最先端のサーバー管理機能が提供されている。一方、仮想化では、OSを物理サーバー1台に複数載せられるので、設置スペースや省電力コストの削減ができ、サーバー能力のさらなる有効活用を実現できる。また、OSやアプリケーションをカプセル化して、より迅速にバックアップやリカバリーができるため、ライフサイクル管理の効率化も実現可能だ。ブレードも仮想化も「IT統合」にとってこれだけ有用なんだから、あわせて利用しない手はないでしょ! ということになる。

仮想化専用ブレードサーバーの実力

 仮想化専用ブレードサーバーをうたうBL495c G5の特徴で目立つのは、やはりメモリースロットだろう。16のDIMMスロットをもち、最大128GBのメモリーを搭載できる。デルの新製品は24スロットだったような気が……、と思うかもしれないが(関連記事)、実はブレードのサイズが異なる。BL495c G5はハーフハイトサイズなので、10Uのエンクロージャー(c7000)に最大で16台搭載できるのだ。CPUはAMD Opteron 2300番台を1または2基。つまり、10Uのエンクロージャーに32基のクアッドコアCPUが載って、メモリーの合計は2048GBになるのだから、その集積密度は恐るべしだ。

木村氏

メモリー16枚がぎっしり搭載されたBL495c G5を持つ日本HP ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部の木村 剛氏

 とはいえ、メモリーを128GB(8GB×16枚)積むことはまれだろう。8GBのメモリーは非常に高価でもある(2GBや4GBのメモリーに比べギガバイト単価が高い)。日本HP ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部の木村 剛氏は「仮想化するには豊富なメモリーがいるが、もちろん安いほうがいい」と語る。16のメモリースロットがあると、たとえば64GBのメモリーを搭載したい場合に、4GBメモリー×16枚という構成ができるので、8GB×8枚という選択しかできないマシンに対して大きくコスト削減を図れるという。64GB搭載時で試算すると、ブレード1台あたり約80万円安くなるので、c7000エンクロージャーあたり1200万円以上のコスト削減ができるそうだ。

 BL495c G5は、I/O関連も充実している。まず、10ギガビットイーサネットNICを2ポート標準装備。さらにメザニンスロット(マザーボードに差した拡張カードにさらに装着して使用するもの)×2で最大6ポートまで10ギガビットイーサネットNICを増設可能だ(計8ポート)。多数の仮想化マシンを運用した際に増大するI/Oトラフィックにも対応できるとしている。

 その他、安定した高速なOSストレージとして、32GBまたは64GBのSSDを採用した点も大きな特徴だ。HPではSSDを採用したブレードは初だという。低騒音、高速読み取り性能、2ワット未満という省電力(2.5インチ、15000rpm SASで9ワット)、平均故障率の25%低減を実現している。

 また、日本HPは、BL495c G5の発表とあわせ、Citrix XenServerのOEM販売も開始する。「HP ProLiant iVirtualization by Citrix XenServer」として、BL495c G5をはじめとするHP ProLiantサーバー内部のUSBメモリーに組み込まれたオプションの形態で出荷される。ユーザーは簡単な初期設定だけで、Citrix XenServerで仮想化された環境を使用できるというわけだ。HPの仮想化環境管理ツール「HP ProLiant Essentials Virtual Machine Management Pack」は、XenServerによる仮想化環境に対応し、システム管理ソフト「HP Systems Insight Manager」からも、Citrix XenServerの管理が可能になる。

 BL495c G5の価格は32万9700円から。10月下旬より出荷される。HP ProLiant iVirtualization by Citrix XenServerは、Select Edition(基本機能のみを提供)が2万3100円、Enterprise Edition(付加価値機能を含む)が58万8000円。11月初旬より出荷される。

 前出の宮本氏は「世の中の仮想化の流れは止められない」という。今後、HPのブレード製品ラインアップ内においても、仮想化専用ブレードを広げていく予定なのだそうだ。他社も含め、ますます「仮想化のためのブレードサーバー」を強く打ち出した製品が増殖していくことは間違いない。

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