キーワードは「High Air Flow」
クーラーマスターからゲーマー向けPCケース「HAF 932(型番:RC-932-KKN1-GP)」(以下、HAF 932)がリリースされた。オーソドックスなアルミ製押し出しヒートシンク製造からスタートした同社だが、コンシューマ向け製品に注力して約15年。日本市場ではCPUクーラーなどの冷却関連製品だけでなく、ロングセラー「Centurionシリーズ」や「COSMOS」といったPCケースでの知名度は高く、新作「HAF 932」も非常に期待され中での市場投入となった。
さて、ここで改めて「ゲーマー向けPCケース」という定義はなにか、について少し考えたい。一世代前は派手なカラーリングやLEDファン、または標準よりやや高速なファンを搭載しただけで「ゲーマー向けPCケース」のカテゴリに分類したが、いつまでもユーザーにそんな誤魔化しが効くわけではない。そもそもゲームユーザーはソフトが要求する描画能力の高いビデオカードを搭載し、処理能力の速いCPUをチョイス、そしてHDDも複数搭載する事によってケース内部温度は上昇するばかりだ。そしてPCの長時間安定稼働を約束するには、自ずと“高エアフロー”へと行き着き、今や「ゲーマー向けPCケース」の大前提となった。
「HAF 932」は、230mm大口径ファンを前面、側面、上面の3ヵ所に配し、ネーミングに込められた通り「High Air Flow」(HAF)が最大のコンセプトであり、“大前提”をクリアしつつ「ゲーマー向けPCケース」たる所以であるデザイン面をも考慮、これまでの同社ラインナップには無いアグレッシブな印象を前面に押し出した仕上がりとなった。
前置きが長くなったが、その細部を見て行くことにする。
要所のポイントを押さえた完成度の高さ
「HAF 932」
「HAF 932」のサイズは243(W)×564(D)560(H)mm。同社フラッグシップモデル「COSMOS」と比べ、それぞれ幅がマイナス23mm、奥行がマイナス64mm、高さがマイナス38mmと数字上では一回り小さい。奥行、高さに比べ、幅のサイズダウン値が低い理由は、やはり最大のウリである230mmファンを搭載させるためのもの。一見無骨な全体イメージからサイズ以上の存在感を醸し出す仕上がりのスチール製ミドルタワーケースだ。
なお対応マザーボードは、E-ATX(Extended ATX)/ATX/Micro-ATXとなる。シャドウベイから拡張スロットまでのスペースは320mm(メーカー公称値)と、サイズの長いビデオカード装着でも十分な余裕がある。
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