「状況終わり!」
夜間演習の終了を知らせるアナウンスが場内に鳴り響いた。
照明機の光に浮かび上がったシルエットは幻想的にも見えた。当然のことだが出動する現場が常に晴れとは限らない、雨だろうと雪だろうと任務を遂行するプロフェッショナルなのだ。
隊員「まだまだ。こんなもの大したことないですよ」
土砂降りの中で毅然として立つ隊員たちが頼もしく思えた。
長かった一日の終焉
我々取材班は機材を担いで、体温低下と疲労でやや重い足取りのもと、駐車場まで撤収した。
Y戦車部長「とりあえず画像ソースが揃ったので、もう大丈夫」
もうネタもないし、終わりかな。
そうでもなかった。
取材班の乗るH15年式FITが駐車場でスタックしたのである。他社はメガクルーザーなど4駆だったので軽々脱出したが、FF車の我々だけが取り残されてしまった。
筆者「降りましょう」
Y車長「車体を軽くしよう」
Y車長と筆者が表に出て、押すことになった。
筆者「アフリカの記念に一枚!」
疲労やらなんやらで過去の冒険記憶が蘇ったのか、わけのわからないことを口走りながらシャッターを切った。
それどころではない車を押さなければ。
二人がかりで押して何とか轍を突破、あとは隊員の誘導と藤吉カメラマンのハンドル捌きのおかげで無事に駐車場を脱出した。
素材は揃ったことと、風邪をひいたことを理由にY戦車部長と筆者は翌日帰投を決定
藤吉カメラマンは雨の中、一人一般公開日の撮影に向かった。
戦い済んで日が暮れて……
後日になって、取材陣全員が体調を崩していたことが判明した。
・人的損害
Y戦車部長:最終日から極度の疲労と発熱に襲われた。
藤吉カメラマン:取材後に筆者宅に荷物を届けるため、濡れた体のまま車を走らせた。その優しさが仇となり全治一週間の体調不良。
筆者:取材前日の不調がそのまま悪化。執筆している現在も微熱に悩まされる。
・物的損害
Y戦車部長:防水防滴機能を持たないEOS Kiss Degital Nが数日間合焦せず不調
藤吉カメラマン:防水性能の完全ではなかったレインフードを廃棄処分
筆者:冠水したビデオカメラはY戦車部長提供の簡易ドライボックス(ビニール袋にシリカゲルを入れたもの)で何とか再生機能のみ復活した。
総合火力演習・東富士演習場のレポート「状況・終わり」
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