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“コンテンツ創造の場”を目指す

MySpaceからメジャーデビュー

2008年05月23日 16時00分更新

文● 高橋暁子 写真●吉田 武

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月刊アスキー 2008年6月号掲載記事

たむらぱんのプロフィールページ

楽曲を多数アップし、ファンのコメントに細かく返事をするなど、積極的な情報発信で多数のファンを獲得。コロムビアミュージックエンタテインメントのプロデューサーの目に留まり、2007年10月にメジャーデビューする。

 2006年に日本へ進出した世界最大のSNS「MySpace」。新たに日本法人の社長となった大蘿氏が「エンタメ系SNS」と呼ぶMySpaceの特徴は、音楽や動画が利用者間で流通することだ。会員登録する際に「アーティスト」と「ユーザー」からポジションを選び、アーティストとして登録すると、例えば楽曲をMP3形式で6曲まで公開できる。ユーザーはアーティストと直接「フレンド登録」して交流でき、またアーティストのページのコンテンツを簡単に自分のページに貼り付けられるので、クチコミ的な広がりが起きやすい。

 日本版の登録アーティスト数は、現在約5万組を突破。海外ではここからプロデビューしたケースも多数あり、日本版でも「たむらぱん」さんがデビュー第1号となった。彼女には最終的に1万人以上のファン(フレンド登録)がついた。「1万人のファンは、1万人で終わりではない。ネットでもリアルでもクチコミを広げてくれる、いわば1万のメディアだ」(大蘿氏)。

 再結成したX Japanなど、すでに数多くの著名アーティストもMySpace上で積極的に情報発信しているが、多くは日本語と英語の両方を記載する。英語で書くことで海外の利用者の目にも留まり、実際にPOLYSICSというバンドは全米デビューを果たした。

大蘿淳司氏

マイスペース株式会社 代表取締役社長 大蘿淳司氏 日本ではミクシィが強いが「そもそも友達の輪が1個ですむ人はいない。会社、趣味、同級生など、友達の輪の数だけSNSもあっていい」。

 そして3月末には、開発者向けのプラットフォーム「MySpace Developer Platform」(MDP)の提供を始めた。APIを公開して、MySpace上で動作するアプリケーションを第三者が構築できるようにしたのだ。制作したアプリケーションで収益を得た場合、それは原則として100%開発者のものになる。「よりよいものを作ろうというモチベーションになる」(大蘿氏)。音楽や映像だけでなく、アプリケーションも表現のひとつと捉えて、MySpaceを表現の場としてさらに活性化させるのがねらいだ。

 コンテンツのネットでの無断利用が問題だが、“ネット発”が増えれば、著作権に関する議論が逆転する可能性を大蘿氏は指摘する。コンテンツを流すだけの場ではなく、生み出す場になることを目指すというMySpaceの今後の日本での展開が楽しみだ。

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