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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第22回

ゴルゴ13、京大にも来ていた──伝説の「折田先生像」

2008年04月14日 09時00分更新

文● 古田雄介

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てんどんまん

2008年2月に登場した「てんどんまん」風の折田先生像

 学生時代の武勇伝は、社会に出てから振り返って、その下らなさに苦笑しながら懐かしむもの。雑誌や新聞などにも取り上げられて有名な、京都大学にある「折田先生像」の落書きやハリボテも、そんな学生ノリの成せるワザだ。

 折田先生像は、元々は学内に設置された普通の銅像だった。その後、学生運動が盛んだった1986年に赤いペンキで塗られたのを皮切りに、「ヤキソバン」や「花嫁」など、ひと目見たら忘れられないほどインパクトのある姿に変装させられた。

 銅像自体は大学によって1997年に撤去されたが、翌年、何者かによって台座ごと作成した「力石徹像」のハリボテが登場。2001年以降、毎年入試シーズンになると、アニメのキャラクターに扮した「折田先生像」が出現している。今年は「それいけ!あんぱんまん」の「てんどんまん」で、京都新聞ITmediaが取り上げた。

 その折田先生像の歴史を詳細にレポートするサイトが「折田先生を讃える会」だ。管理人の「える会長」は、京大で教官として働いており、その学生ノリを毎日肌で感じている。第22回は、折田先生像を通して、何かと叩かれることの多い学生ノリの功罪について考えていきたい。

折田先生を讃える会

 折田先生像における歴史を網羅したサイト。普段は1日200アクセス前後だが、ハリボテが現れる大学の2次試験頃になると、突然1日2〜3万アクセスに跳ね上がるという。ちなみに折田先生は、本名を折田彦市氏といい、京都大学の前身のひとつである第三高等学校の初代校長を務めた人物だ。



同窓会気分のサイトが、春先の季節モノに


── サイトを始めたきっかけを教えてください。

える会長 やはり、折田先生像との出会いが始まりですね。10年ほど前、僕は京大の大学院に入ったんですが、その頃に「ヤキソバン」になった折田先生像を見て強烈な印象を受けました。公立特有の汚さを超えた汚さと、京大の学生自治をすごく大切にする校風を見事に反映していて、「京大はこれだ!」と思ったんです。

 でも、院を卒業したあとは銅像のことをすっかり忘れていました。サイトを始めたのは、数年経って教官として京大に戻ってきたときです。すでに銅像は撤去されていましたが、その代わりに、折田先生像の体裁を真似たナウシカ風の像が建っていたんです。偶然見つけたとき、嬉しさからくる興奮で寒気がしましたよ(笑)。学生ノリの伝統が受け継がれているというのもありますが、細部まで作り込んだ渾身の出来映えが衝撃的で。その感動をウェブで伝えたいと思って、ね。

える会長

「いつかは折田先生で本を出したいと思っています。銅像のことじゃなくてね」と語る、える会長氏


── 多くの人と感動を共有したいという?

える会長 いえ、最初は同窓会気分でした。大学の卒業生が懐かしく思ってくれればいいやって程度で。でも、1年くらい経った頃に、どこかのニュースサイトで紹介されたらしく、急にアクセス数が増えたんです。それでちゃんとやろうって気になって、ネットで皆の協力を得ながら年表を作ったりしました。


── その後は、新作が出るたびに更新しているわけですか。

える会長 そうです。僕にとっては嬉しいことに、ハリボテがナウシカで終わらないで、翌年以降も続いたんですよね。体裁が完成した後は、ハリボテが登場する2月に1回更新するペースです。皆もそれが分かっているようで、2次試験頃に急激にアクセス数が上がる。まあ、桜と一緒で春先だけ注目される季節モノみたいな感じですね(笑)。

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