FinePixコンパクト機の最高峰を謳うだけあって、スーパーCCDハニカム VIII HRと新設計光学5倍ズームレンズ、360度対応の顔検出機能やワイドダイナミックレンジなど、同社最新のスペックでずらりと固めおり、新デザインのナローシェイプボディーも薄さとホールド性、高級感をうまく両立させている。きびきびとした動作や素早い顔検出などもかなり完成度が高くて、所有したときの満足感は高い。
撮影画像に関してもかなりクオリティーは高く、広角側では周辺部で描写が甘くなるものの目立つ画質低下は少なく、ややシャープネスの強い画像処理もFinePixシリーズならではの鮮やかな発色と合わせて、非常にくっきりすっきりとした絵作りとなっている。
ワイドダイナミックレンジに関しては、普段使いで目立つ機能ではないものの撮り比べてみれば明らかに暗部や暗部の階調再現に一定の効果が得られるので、普段からAUTOにしておいていいだろう。ただし、ダイナミックレンジ400%を使用するにはISO 400にする必要があることから、極端に明暗の差が激しいシーンなどではS100fsと同様にシャッター速度と絞りの限界値まで上がってしまい、ダイナミックレンジ400%を利用できないケースがあるほか、やはりISO感度アップとともに若干ノイズが増えてしまうのは残念なところだ。
一方で、FinePixシリーズとしては新機能であるダイヤル操作に関してはやや気になった。MENUボタンを押せばダイヤル状のアイコンが表示され、ダイヤルを回してシーンや各種設定を選択するのだが、モードにはAUTOや動画、セットアップなどに加えてシーンモード(全16種)が入っていてトータルで20項目もある。ダイヤルなのでクルクルと回しているうちに行きすぎてもすぐに戻れるのは確かだが、やはり20個もアイコンがあると目的の項目を呼び出すまでやや手間がかかる。普通のモードダイヤルと同じようにシーンプログラムは単独のポジションとして用意しておいて、各シーンはその中から選択したほうが使いやすいだろう。さらに、MENUボタンで呼び出すこの20種類の項目のひとつに「MENU」(カメラの設定)が用意されているのだが、その項目の中に露出補正が入っている。せっかくダイヤルという手軽なインターフェースがあるのに、露出補正を呼び出すのにいちいちワンアクションがかかって気軽には使いづらい。もちろん本機は絞り優先/シャッター速度優先などの機能を持たないプログラムオート中心の撮影スタイルが基本の製品であって、マニュアル露出機能を持つFinePixに搭載されれば機能もそれに応じたものに変更されるのだろうが、現在のところはダイヤルの利便性をうまく生かしているとは言い難いところがある。
ボディーの質感や画質、撮影機能などいずれも高い品質できっちりとした作りとなっていて好感が持てるが、新機能であるダイヤル操作がしっくりきていないのが何とも惜しまれた。今後のFinePixコンパクトではダイヤルを生かした製品作りを期待したい。
FinePix F100fdの主なスペック | |
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製品名 | FinePix F100fd |
撮像素子 | 1/1.6インチ有効1200万画素スーパーCCDハニカム VIII HR |
レンズ | 光学5倍ズーム、f=6.4~32mm(35mmフィルムカメラ換算時:28~140mm)、F3.3~5.1 |
静止画撮影 | 最大最大4000×3000ドット |
ISO感度 | オート、ISO 100/200/400/800/1600/3200、ISO 6400/12800(約300万画素記録) |
動画撮影 | 640×480ドット、30fps、MotionJPEG圧縮AVI形式 |
液晶ディスプレー | 2.7インチTFT、約23万画素 |
記録メディア | 内蔵約57MBフラッシュメモリー&SDカード(SDHC対応)、xDピクチャーカード |
インターフェース | USB 2.0(Hi-Speed)、AV出力、DC入力、赤外線通信(IrSimple、IrSS/FIR) |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(NP-50) |
撮影可能枚数 | 約230枚 |
本体サイズ | 幅97.7×奥行き23.4×高さ58.9mm |
重さ | 約170g(本体のみ)/約190g(装備重量) |