富士フイルム(株)の「FinePix S8100fd」は、光学18倍ズームレンズを搭載するロングズーム機だ。従来機「FinePix S8000fd」(800万画素、関連記事1)からレンズやボディーはそのままに、新たに1000万画素の撮像素子を搭載したモデルだ。同社のロングズームモデルにはほかに「FinePix S100FS」(関連記事2)があるが、「FS」の名前が示す“フィルムシミュレーションモード”は本製品では搭載しておらず、ワイドダイナミックレンジ撮影機能も持たないため、従来どおりの顔検出機能付きを示す「fd」型番となっている。
高画素撮像素子を
デジタルズームで徹底的に活用!!
基本構造はいわゆるロングズームタイプのデジタルカメラそのもので、広角27mmからの光学18倍ズームレンズを収める極太の鏡胴部と大きなグリップを備える本体部、大きなスイッチによる使いやすい操作部など、ボディーデザインもS8000fdと共通だ。撮像素子が1000万画素に高画素化された以外の機能強化点としては、高速連写モード時の撮影枚数・記録画素数が強化された。高速連写は“約0.14秒間隔”(毎秒約6.8枚)と“約0.07秒間隔”(毎秒約13.5枚)の2つのモードがあり、連写速度自体は従来機と同様だが、記録画素数は従来機の場合、前者が400万画素相当、後者が200万画素相当だったのに対して、S8100fdはそれぞれ500万画素相当と300万画素相当となった。撮影可能枚数も、両モードとも従来最大15コマだったが、最大33コマに倍増した。ただし、最高記録画素数で撮影できる通常の連写機能は毎秒約1.1枚で連続3枚までと、従来機から変わりない。
今回の目新しい機能としては、デジタルズームを活用した「ねらい撮りズーム」が挙げられる。これはデジタルズーム撮影時に“実際に撮影する部分”よりも広い画角の画像を液晶ディスプレーに表示し、実際に撮影(記録)するのは液晶ディスプレーに表示された撮影フレームの内側のみにするというもの。ねらい撮りズーム使用時にカーソルの上を押せばデジタルズーム倍率や横位置/縦位置の変更ができ、カメラを横位置に持ったまま縦位置撮影ができるというのもなかなか快適だ。似た機能としては、カシオ計算機の「EXILIM ZOOM」に搭載されている「オートフレーミング」(関連記事)があるが、オートフレーミングがカメラ(レンズ)の向きをやや変えた際にも被写体にフレームが追従するのに対して、ねらい撮りズームはあくまでもデジタルズーム撮影時に周辺も確認できるようにしたものという違いがある。
もうひとつのデジタルズーム活用法が「ズームアップ3枚撮り」で、画面上にフレームを2つ表示させて画面いっぱいの等倍画像および1.4倍デジタルズーム、2倍デジタルズームの3枚をワンシャッターで撮影(記録)するというもの。等倍画像が1000万画素ならば、1.4倍ズームは500万画素、2倍ズームは300万画素相当のデータになる。ねらい撮りズームと同様に横位置/縦位置の選択も可能なほか、顔検出をONにしていれば自動的に顔と人物に向かってデジタルズーム位置が移動する。倍率の関係から全身/バストアップ/顔アップを一度に撮り分けられるとはいかないが、うまく使えばポートレート撮影などの際に威力を発揮しそうだ。レリーズは1回、シャッターも1回のみだが、撮影後の処理に約10秒かかるため、テンポよく連続撮影ができないのはやや残念。
このほかのスペックはほぼS8000fdと同様で、アルカリ乾電池での撮影枚数は約350枚から約300枚に減少した程度(ニッケル水素充電池の場合は約500枚で従来どおり)だが、いずれにしても単3形電池×4本による長時間の動作が可能なので、丸1日持ち歩いても問題ないだろう。