FMV-BIBLO製造の現場に潜入!
報道関係者向けに行なわれた工場見学では、2棟ある工場のA棟側が公開された。工場はいずれも2階建てで、A棟1階ではプリント基板(以下基板)の組み立てが、2階では各部品を集めてノートパソコン自体を組み立てる作業が行なわれている。操業は24時間体制とのことだ。
この工場では、輸送されてきた各部品の組み立てが行なわれている。CPUなどは当然のこと、部品取り付け前の基板や液晶パネルなどは別会社で製造され、この工場に納品される。ちなみにバッテリーは、ケースに収められた完成品の状態まで製造されたうえで納品されるそうだ。
前述のとおり、A棟1階では基板の製造が行なわれている。基板上に実装される各部品、CPUやチップセット、コンデンサーといった細かい部品は、すべて自動の製造装置で実装される。マークとなるバーコードの基板上への印刷、基板への部品設置とクリームはんだの塗布、オーブンのような装置内で加熱してのはんだ付け、その後の光学的な検査までが完全に自動化されている。昨今のノートパソコンは、携帯電話機並みに小さな部品を高密度で実装しているため、人手ではとてもやっていられない。
機械による光学検査の次には、人の目による検査も行なわれる。機械による検査では、部品を実装した基板を真上から照らして、その反射光によって検査を行なうのだが、例えば背の高い部品の近くにあるものは、十分な反射光が得られない場合もある。そのため人の目による検査が必要になるわけだ。
機械検査の時点で怪しい部分があれば、その後に控える人の目による検査の際にその場所を特定しやすいように、アームに付いた拡大鏡を該当部分に自動で動かすという仕組みも用意されている。人の目での検査とはいえ、それを支援する仕組みを用意することで検査精度と生産性を向上させているのだ。これらのプロセスが基板の表裏でそれぞれ行なわれて、基板は完成する。
A棟2階では、1階で製造された基板のほか、各種部品(各種ドライブや子基板、液晶ディスプレー部など)を集めた最終組み立てが行なわれている。ベルトコンベアー上を組み立て中のパソコンが流れていくのを、従業員が割り当てパートごとに手作業で組み立てていくわけだ。昨今はパソコンの品種が多く、場合によってはB.T.O.などで細かい仕様の異なる製品を製造する必要があるので、組み立てラインまでも完全自動化するのは非現実的だろう。
この工場の組み立てラインではコンシューマー向けの店頭販売モデルの場合、基本的に10台分単位で製造が行なわれる(企業向けは1台単位)。10台の部品がラインに配置されて、流れ作業で組み立てられる。ただし、5台分ごとに“区切り”が用意されている(ラインは流れたまま)。5台作ると“部品が余っていないか”が確認され、“5個減るはずの部品が4個しか減っていない”なんてことがあれば、5台のうちのどこかで取り付けミスがあると分かるわけだ。
流れ作業での製造は非常に時間がシビアで、ラインが一時的に止まった総時間が時計でカウントされている。作業の滞っている部分があると、回転灯とブザーで警告が流れ、ライン付きの熟練作業員が手助けを行なうようになっている。
非常に効率的で正確さも要求される部分だが、まだまだ効率化は模索中のようだ。同社ではトヨタ自動車グループの製造手法「カンバン方式」を採用しているが、効率化という点ではまだトヨタには及ばないとのこと。さらなる効率化の努力は、常に続けられているようだ。