キーマンに聞く ネットは政治に何をもたらすのか
無党派層の取り込みには、各政党とも苦労している。IT分野に詳しい河野太郎衆議院議員と、鈴木寛参議院議員にネットがどのように政治を変えるのかについて聞いた。
自民党・衆議院議員 河野太郎氏に聞く政治に興味を持ってもらうことが第一歩
―― 自由民主党がなぜ、動画共有サイトYouTubeに政党チャンネル「LDP channel」を立ち上げたのでしょうか。
私たちの伝えたい情報量が多く、テレビでは全てを語り尽くせないという現状がありました。そこで、自民党が自前のメディアを持ち、メッセージを発信していきたいと思ったことがLDP channel開設のきっかけです。そして、お金が掛からず、すぐに始められるのは何か、と考えたとき、最初に思い浮かんだのがYouTubeでした。
―― 党公式サイトとの違いは。
公式サイトとの違いは“ここは政治のサイト”という切り口でアプローチをしていないことです。私たちはLDP channelのほか、エンタメサイト「SiteB」も開設しています。SiteBでは『理解すれば政治は面白い。』というメッセージを送っています。若者や無党派層の政治への関心を高めることが目的であり、そのための取り組みなのです。
―― ITは政治を変えますか。
まだまだ時間が掛かると思います。まずは、興味を持ってもらうことが第一歩です。そのためにもまずは、政治家や政党が情報発信ツールとして、インターネットを有効的に活用すべきだと思います。
民主党・参議院議員 鈴木 寛氏に聞く
ネット選挙は政治の質を劇的に変える
―― セカンドライフ内に日本初の国会議員事務所を設立しましたが、昨年7月には一時閉鎖されました。その理由は。
公職選挙法では、選挙公示以後のウェブの更新を禁じています。同法を厳格に解釈すると、セカンドライフ内の選挙事務所に人が入ってくれば、サーバ内の画像データは変わってしまいますので、ウェブ更新に該当してしまう可能性があります。そのため公選法違反の懸念から、やむを得ず閉鎖いたしました。閉鎖した「すずきかんセカンドライフ事務所」の看板をご覧になって驚かれた方も多いかも知れませんが、ネチズンの皆さんに公選法の不備を訴えたかった。
―― 法律整備が追いついていないのでしょうか。
そうですね。例えば、公選法では、『選挙後のあいさつ』をも禁じています。しかし、“選挙後”がいつまでなのか明確な定義がないので、いつからホームページ更新を再開していいのかあいまいです。議員は、法律違反のリスクを抱えながら、恐る恐る再開しています。
―― ネット選挙が解禁された場合、無党派層を取り込む自信は。
自信は、あります。だからこそ、旧勢力は、ネット選挙解禁に反対なのです。ネット導入で無党派層をめざめさせたくないのです。私は“政治の質”“政治家の質”“政策の質”を劇的に上げたい。ネット選挙解禁はそのきっかけになると思います。