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地デジを長~く録る NEC「VW790/LG」で“デジタル長時間モード”をチェック!!

2008年02月22日 10時00分更新

文● 伊藤裕也

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動きの少ないドラマやアニメに向いたデジタル長時間
BD-REへのムーブ時間も短縮できる


 まず、デジタル長時間モードで録画したニュースやドラマなどの番組については、一般的な傾向としてビデオビットレートの低下により映像にノイズが発生しやすく、デジタルダイレクトモードと比較して映像にやや粗さが見られる。とはいうものの、この違いは2mも離れれば分からなくなり、実際の視聴でノイズが目立つほどでない。また、映像の解像度はオリジナルから変更されないため、特に動きが少ないシーンや動きの少ないアニメではデジタルダイレクトモードと比較しても遜色ない品質が維持される。

デジタル長時間モード

【デジタル長時間モード】よく見ると野菜における細部の表現や容器のノイズなどで差はみられるが、ぱっと見た限りではそう違いはない。動いていれば気にならないレベルだ

デジタルダイレクトモード

【デジタルダイレクトモード】なお、左右で明るさが異なるのは液晶ディスプレーの輝度設定の違いによるものであり、その点はご了承いただきたい

サンプル1 動きがそれほど激しくないシーンのサンプル。食堂のサラダバーを動きながら撮影しているシーンを管面撮影した

デジタル長時間モードのアップ

【デジタル長時間モードのアップ】

デジタルダイレクトモードのアップ

【デジタルダイレクトモードのアップ】

サンプル1アップ 2つの画像をアップにしたところ。野菜の表現や容器のふちにあるノイズの違いがよく分かる

 ただしニュース番組でも、例えばフラッシュが一斉に光るような記者会見のシーン(輝度情報や色情報がフレーム間で大きく変わる)、ドラマであれば走ったり戦ったりといったアクションシーン、さらにサッカーやラグビーの中継といった画面全体が動きの激しい(フレーム間の情報差が大きい)シーンでは、情報量不足からブロックノイズが大量に発生して映像品質が大きく低下する。映像が崩れるのは特に激しく動いた瞬間のみではあるが、ニュース番組はともかくアクションがメインのドラマや映画、スポーツの録画(長期保存)にはハッキリいって不向きだ。このように番組の内容によって向かないものもあるが、アクションシーンの少ないドラマやアニメ、情報番組などの録画には“使える”録画モードといえる。

デジタル長時間モード

【デジタル長時間モード】サッカーやボクシングなどカメラや被写体が激しく動く映像ではこのように引いた状態でも、見てのとおり映像は粗くなる

デジタルダイレクトモード

【デジタルダイレクトモード】その崩れは映像として動いている状態でも認識できるほどだ

サンプル2 動きの激しいシーンのサンプルといえば、やはりスポーツ。サッカーでキッカーをカメラが追い、その後シュートが放たれたというフレーム間の差が非常に激しいシーン

デジタル長時間モードのアップ

【デジタル長時間モードのアップ】

デジタルダイレクトモードのアップ

【デジタルダイレクトモードのアップ】

サンプル2アップ 2つの映像をアップにしたところ。こうしてアップにして見ると分かるが、このように動きの激しいシーンでは一般に「映像が奇麗」と言われる地デジでもノイズが目立つ形で発生する。オリジナルでもそういう状態なのでデジタル長時間モードではなおのことであり、キッカーやディフェンダーといった動いているプレイヤーはもちろん、フィールド(背景)にまでブロックノイズが発生して崩れている

 本機であればHDDに記録した番組を劣化なしでそのままBD-REメディアにムーブ(移動)できるため、「そもそも、デジタル長時間モードって必要なの?」といった疑問もあるかもしれないが、BD-REメディアの価格は片面1層25GBで実売2000円弱とまだ割高感が強い。デジタル長時間モードを用いればファイルサイズをデジタルダイレクトモードの約半分にできるため、HDDだけでなくBD-REメディアに書き出す場合でも2倍の時間の番組を収録可能になる。HDDの空き状況や録画する番組の内容を考えて、上手に使い分けるのがいいだろう。

デジタル長時間モード

【デジタル長時間モード】このサンプルではデジタル長時間モードのほうがやや滑らかで、むしろ右のデジタルダイレクトモードの映像にざらついた感がある

デジタルダイレクトモード

【デジタルダイレクトモード】映像としては、左のデジタル長時間モードはややぼやけている状態で“もぞもぞ”と何かが動いているように見えるのに対し、デジタルダイレクトはノイズのためにざらつきがあるように感じる

サンプル3 やや変わったサンプルとして、夜の町並みを撮影したシーンも紹介しておく。このシーンではカメラが固定されており、映像の中で動く要素は「道を歩く人」程度なのだが、暗い場所を撮影したため映像に大量のノイズ(輝点)が入っている。これもMPEGフォーマットの圧縮が苦手とする映像だ

デジタル長時間モードのアップ

【デジタル長時間モードのアップ】

デジタルダイレクトモードのアップ

【デジタルダイレクトモードのアップ】

サンプル3アップ 拡大したところ。一見するとデジタル長時間モードがなめらかにも見えるが、これはノイズがつぶれているため。動いている状態で見ると劣化が分かる

 デジタル長時間モード使用時におけるCPU負荷は、タスク マネージャのモニターを確認する限りでは、デジタルダイレクトモードとほぼ同じで、デジタル長時間モードだからといってCPU負荷が特にかかったり、使用時のレスポンスが下がるといった差は感じなかった。

 録画した番組はWindows Media Center(SmartVision)での再生に加えて、BD-REへのムーブに対応。ムーブにかかる時間はデジタルダイレクトモードで記録した30分のハイビジョン番組が約11分かかるところ、デジタル長時間モードでは約7分に短縮された。なお、地デジ番組をSDビデオ品質にダウンコンバートしてDVDメディアにムーブする方法も、従来どおりサポートしている。



 NECが運営する直販サイト「NEC Direct」での価格は、PowerPointが付属しないOffice 2007 Personal付属モデルが33万4950円、PowerPoint付きは34万830円となっている。30万円を超える価格を考えると、受信できるテレビ信号が地上デジタル(および地上アナログ)のみでBS・CSデジタルの視聴・録画機能に対応していない点は残念なところだ。

 また、個人向けパソコンの用途のひとつに3Dゲームも考えられるが、VW790/LGが搭載する「GeForce 8400M GT」では最新の3Dゲームには力不足な感が否めない。GeForce 8400M GTの採用は3Dゲームというよりも、主に「PureVideo」によるビデオ再生支援機能を狙ったものだろうが、VALUESTAR Wシリーズの最上位モデルであるからには3Dゲームの用途も考慮して、より上位のGPUが選択できてもよかったのではなかろうか。

 こうした細かい不満はあるものの、地デジの視聴・録画・再生とひととおりのテレビ関連機能をごく簡単な操作で楽しめるのは魅力だ。しかも番組やBDのソフトを集中して楽しむ際に邪魔になる本体の駆動音は徹底した静音化設計によって大幅に抑えられており、コンテンツそのものの魅力を存分に満喫できる。地デジの録画についてはコピーワンスに替わる仕組みとして「ダビング10」といった案が現在話し合われているなど先の見通しが悪い部分もあるが、これについてNECではアップデーターによるダビング10対応予定を発表している。地デジの視聴・録画にBDへのムーブ、BDソフトの再生といったAV環境をまとめて入手して、長く楽しみたいという人にはVW790/LGは検討に値する選択肢となるはずだ。


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