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「特殊な市場」の価値をサイバーリンクに聞く

パソコンが売れていない唯一の先進国に、PCソフトメーカーが目を付ける理由

2008年02月16日 04時10分更新

文● 編集部

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デジタルの価値を高める提案は続ける


──  ネットワーク越しでの共有/再生を進めていく上では、コンテンツ提供側に対してセキュリティー強度の高さをアピールしていく必要性があると思うのですが。

尾藤 日本のメーカーがデジタルの新しいあり方を提案していく上で問題になっているのは「技術的な問題」というよりは「規制の問題」です。それを緩和したいという動きには足並みを合わせていきたいと考えています。違法コピーはいけないという立場は変わりませんが、それを回避できる技術的な提案は続けていきます。

──  昨年からパソコン向けのデジタル放送視聴ソフトの提供も開始されていますね。

尾藤 ソニーと共同で「TV Enhance」というソフトウェアの開発に取り組み、ボードPCの「VAIO Type L」に昨秋搭載しました。地上デジタル放送の規格であるISDB-Tは細かな仕様が定められていて、著作権保護や災害時のアナログ電波受信なども盛り込まなければならない。これをソフトウェアで実現するというのは難しい作業でした。

チャン TV Enhanceを実現する上では、セキュリティーチップやチューナーボードメーカーとの協業も行ないました。こういったソリューションをこれまで日本で提供できていたのはハードとソフトを一括して提供する1社だけでした。サイバーリンクはソフトウェアメーカーなので、ハードウェアはさまざまなメーカーから選べます。選択の自由度が高まる点はPCメーカーにとっても好ましいことです。イタリアでは「DT501HS」というHSDPAカードと一体化したデジタルテレビチューナーカードが商品化されています。Telecom Italia MobileやONDAとの提携によるもので、視聴には当社のTV Enhanceを使用します。

──  日本市場に対してはどのようにコミットしていきたいとお考えですか?

尾藤 パソコンが高機能化していく中、今後機能のディヴァージ(分岐)が進んでいくと思います。コンテンツを視聴するだけのパソコン、株取引だけのパソコン、メディアサーバーだけのパソコンといった感じに枝分かれします。ソフトウェアの差別化も重要になってきます。これまではこういった機能が欲しい。どこの製品の価格が安いかといった要求が多かったのですが、現在では企画段階から進める案件が増えています。サイバーリンクとしては、キーデバイスの生産ができるプレーヤーとこうした深い協業ができる立場を確立していきたいと考えています。

チャン 日本は技術の分野のパイオニアです。Blu-rayやHD DVD、新しい録画のフォーマットなど、新しい技術は日本からやってくる。今後もOEMベンダーと協力し合いながら、再生、編集、ネットワーク接続のためのソフトウェアを提供していきます。私たちはパソコンは「隔絶した島」ではないと考えています。パソコンは今後もいろいろなものとつながっていきます。そして新しいものを取り込んでいく上で最適なプラットフォームです。日本では、家電との接続性が重要になってきますが、これもすぐに世界へと広がっていくでしょう。

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