日本は先進国でパソコンが売れない唯一の国
── 14日に行なわれた記者会見では、日本市場の特殊性について触れられており、印象に残りました。
尾藤 先進7カ国の中で、2000年以降個人向けパソコンの売上が伸びていないのは日本だけです。これは非常に面白いことです。一方で情報家電の市場はものすごく伸びている。いずれ世界で起こることが日本で先に起こっていると感じています。
── テレビやケータイもすでにパソコンに近いものになっています。インターネットにつながって、コンテンツの再生さえできれば実はプラットフォームもデバイスも関係なくなる。そういう状況が世界に先駆けて表れていると言えるのかもしれませんね。
尾藤 日本は一種の「実験場」です。情報家電の販売台数はそれほど多くはありませんが、そのうちのいくつかは海外でも流行し、世界に出て行くでしょう。日本のメーカーは世界一品質保証体制が厳しい。今後パソコンから家電の世界に乗り出していく上で、一番の「壁」は品質感の違いになると思います。その点当社は開発をアウトソースせず自社で行なっているため品質のコントロールがしやすい。難しい要求にも応えられるのが強みです。
── サイバーリンクはPCのフィールドを得意としてきたと思いますが、家電の世界に本格的に乗り出すという理解でよろしいですか?
チャン これまでPCにフォーカスしてきたのは、接続性(コネクティビティー)の面で有利だったためです。しかし現在では家電もネットワークにつながり、PCと連携することが求められています。現在一番のフォーカスを当てているのがここです。加えて2年ほど前からスマートフォンの分野への取り組みを始めました。スマートフォンはコネクティビティーを持ち、テレビ視聴のニーズも高い。日本でもワンセグが普及し、成熟の途上にあります。
開発チームは、LinuxやWindows CE、Windows Mobileといったさまざまな組み込みOS向けの製品に取り組んでいます。われわれは技術、アプリケーション、サポートの分野でナンバーワンになれる可能性がある。モバイルフォンは大変大きな市場で、さまざまなアプリケーションが求められている。その中でもとりわけ重視しているのがテレビとなります。