大容量メモリーを生かした「スクラップブック」
T2は4GBものフラッシュメモリーを内蔵しているが、同じく大容量メモリーを搭載する「DSC-G1」(関連記事3)のように、フォトビューアー用に特別な再生画像専用フォルダーを内部に作るといった機能は搭載していない。
撮影画像は常に内蔵メモリーへ記録するようになっており、記録先をメモリースティックに指定することはできない。内蔵メモリーの空きがなくなったときのみ、メモリースティックへ記録することができる。かなり割り切った作りと言えるだろう(内蔵メモリーからメモリースティックへのコピー機能は用意されている)。
新機能として用意された再生機能が「スクラップブック」だ。背面の「SCRAPBOOK」ボタンを押すと、用意された背景パターンに撮影済み画像をはめ込んで表示するスライドショーが開始される。背景1つにつき1~3枚程度の画像がはめ込まれ、背景パターンは16種類が用意されている。画像に「お気に入り」チェックを入れておくと、お気に入り画像のみの表示も可能だ(チェックされた画像がない場合は、全画像が再生対象)。
また、従来からのスライドショー機能「音フォト」も用意されており、さまざまな特殊効果とBGM付きのスライドショーを表示できる。追加のBGMを同社サイトからダウンロードすることも可能だ。なお、最近のサイバーショットでは、オプションのクレードル「サイバーショットステーション CSS-HD1」を用いることで、フルHD解像度で画像をハイビジョンテレビに表示する機能がある。ところが残念なことに、T2のスクラップブックはハイビジョン再生に対応していない。
撮影サンプルから画質を確認してみる。撮影画像に関しては、いかにも“サイバーショットならでは”という、彩度が高く、くっきり鮮やかな発色が目を引く。細部描写の甘さや周辺部の画質劣化もあるものの、スナップ写真向けのコンパクト機としては十分だろう。
過去のシリーズの利点をうまくまとめた製品
大容量メモリーの搭載や独特のデザインなど、サイバーショットの中では異色なイメージのある本機だが、3インチ級の液晶ディスプレー搭載により大型化したモデルよりも、すっきりとまとまっていて好感が持てる。背面のすっきり感はタッチパネル搭載によるものだが、“全面タッチパネル”のようなインパクトの強さが先行したT200より、操作系のひとつとしてこなれた感じだ。
大容量内蔵メモリーによる“画像ストレージとしてのデジタルカメラ”という側面は、DSC-G1が先鞭を付けたものだ。しかしDSC-G1は、3.5インチの大型液晶ディスプレーや画像ビューワー用アルバム画像(VGAサイズ)作成、さらに無線LAN機能など、独特な機能を取り込んだ分だけ大型化と高価格化を招いてしまい、市場では受け入れられていないようだ。一方のT2は、お気に入りとスクラップブックというスライドショーを発展させたような機能を備え、なおかつボタン1つでそれを起動できるという気軽さが、大きなポイントとなっている。
薄型化や大型液晶ディスプレー、タッチパネル操作や大容量メモリーなど、ここ最近のサイバーショットは機能を盛り込みつつも、さまざまな方向性を模索している。T2はそれらの製品のいい部分をうまく取り込んで、まとめ上げた1台と言えるだろう。
DSC-T2のスペック | |
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製品名 | サイバーショット DSC-T2 |
撮像素子 | 1/2.5インチ 有効810万(総830万)画素CCD |
レンズ | 光学3倍ズーム、F値 F3.5-4.3 |
焦点距離 f=6.33~19mm(35mmフィルムカメラ換算時:38~114mm) | |
静止画撮影 | 最大3264×2448ドット |
ISO感度 | オート、ISO 80/100/200/400/800/1600/3200 |
動画撮影 | 最大640×480ドット、30fps、MPEG-1形式 |
ディスプレー | 2.7インチTFT(4:3、約23万画素) |
記録メディア | 内蔵 約4GBフラッシュメモリー、メモリースティックDuo/Pro Duo/Pro-HG Duo |
インターフェース | マルチ端子(USB、DC入力、AV出力) |
電源 | リチウムイオン充電池(NP-BD1) |
撮影可能枚数 | 約280枚 |
本体サイズ | 86.8(W)×20.2(D)×56.8(H)mm |
重さ | 約129g(本体のみ)/約156g(撮影時重量) |