
【作例】タイ国鉄が運用する唯一のミカド型蒸気機関車SRT953番。かつてカンチャナブリーでボクの前に突然に現れ、その後のボクの運命を変えてしまったのはコイツである。2006年12月撮影。使用機材:「EOS 5D」+「EF70-200mm F2.8 USM」(F4.5 1/2000秒 ISO 200 AWB 焦点距離は35mmフィルム換算で175mm相当)
タイに到着してもうすぐ1ヵ月。そろそろビザなしで滞在できる限界の30日に到達する。つまり、出国の時が近付いて来たということだ。バンコク近郊でばかり撮影していた都合で、大好きな寝台夜行列車にも乗れなかったし、食堂車での豪華タイ・ディナーも味わえなかった。やれやれだ。しかし、ボヤくことはない。真打ちがやってくるのは最後と決まっているからだ!
実は明日、日本製の蒸気機関車がタイの大地を走る。首都バンコクと古都アユッタヤーを往復する記念列車を、蒸気機関車が牽引するのだ。実は、これこそがボクの来タイの一番の目的だったりする。
タイ国鉄では、すでに無煙化を達成して久しいが、観光用の保存蒸気機関車を5両保有している。それらは、鉄道記念日(3月23日)、チュラロンコーン大王(ラマ5世)誕生記念日(10月23日)、プミポン・アドゥンヤデート国王陛下誕生日(12月5日)を祝う記念列車を牽引するという栄誉を授かっている。つまり、1年に3回の定期運行が行われているのだ。
すべての記念列車は、蒸気機関車が風情あるノン・エアコン三等車客車を牽引する。運行はクルンテープ駅(バンコク中央駅)~アユッタヤー駅間の一往復。往路は午前8時に出発して午前10時10分に到着し、復路は午後5時25分に出発して午後7時20分に到着する。列車番号は901/902番なので、ティアオ・ビン(観光列車)扱いとなり、乗車料金は120バーツ(約430円)となる。読者の皆様も次回の12月5日には間に合う。来タイすれば、エキサイティングな瞬間が味わえるのは間違いない。

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