撮影サンプル
コンパクトな本体を実際に手に取ってみると予想以上に軽く、カメラを「つかむ」というよりも「つまむ」といった印象だ。撮影時重量で125gというのは従来モデルのZ5(148g)よりもさらに軽く、キヤノン(株)の「IXY DIGITAL 10」(関連記事2)と同程度。IXY DIGITAL 10が四角いボディと沈胴レンズなのに対して、本機が屈曲光学系スリムボディーということもあって、さらに軽い印象を受ける。レンズカバーをスライドさせて電源ONし、撮影後にはすぐにレンズカバーを閉められるという軽快さも使っていて大変気持ちがいい。スリム機ではホールド性が難点だが、レンズカバー右端の突起部が従来機以上に指掛かりがよく、親指を押し当てやすい背面の円形部もあって、使っていると思いのほか持ちやすいことが分かる。
撮影サンプル1 広角側で撮影。もう少しシャープな印象があってもいいとは思うものの、コンパクト機としては十分だろう。マニュアルモード(露出オート)、1/170秒、F8、ISO 64。元画像は3072×2304ドットで、800×600ドットにリサイズした全体画像およびトリミングした原寸画像を掲載した
撮影画像は屈曲光学系レンズとしては良好で、画像処理もあってか偽色の発生が少なくシャープなものとなっている。やや人工的な色味もあるものの、同社ならではの鮮やかな色調はケレン味こそあるもののそれほど悪い印象はない。しかし、ハニカムCCDを使っていないこともあってか、ISO感度が上がるとややノイズが増え、高感度域ではかなりノイズが載ってしまう。画像処理によって輝点こそ目立たないものの、輪郭のシャープさが失われてしまうのは残念だ。
撮影サンプル3 十分な明るさがあるとしっかりとした描写となり、同社ならではの彩度が高く濃いめの発色もあって使っていてなかなか気持ちいい。マニュアルモード、1/240秒、F4.2、ISO 64、露出補正+0.3
撮影サンプル4 小サイズ撮像素子は階調性が足りないとよく言われるが、白とびしそうな画像であってもぎりぎり階調を残しつつ全体的に適正露出とするなど、AEと電子的画像処理はうまく連携して動いているようだ。マニュアルモード、1/170秒、F8、ISO 64
撮影機能以外でも、液晶ディスプレーが15万画素で、視野角も広いとは言えないものを搭載しているのは、いまどきのコンパクトデジカメとしてはやや非力と言わざるを得ない。価格を抑えた普及機とはいえ、液晶ディスプレーの視認性やプレビュー/再生画像の奇麗さはデジカメを見比べたときに、高級感を大きく左右する要素だけに非常に惜しく思える。
撮影サンプル5 高感度モードで撮影。かなりノイズが載っているほか、ノイズを補正するための画像処理によって輪郭がガタついているが、細かいディテールは残すような画像処理となってているが分かる。マニュアルモード、1/4秒、F3.7、ISO 1600
Zシリーズの上位機Z100fdに対して普及機寄りとした本機ながら、単に手ぶれ補正などを省いて価格を抑えただけではなく、従来のZシリーズよりもひとまわり小型・軽量化し、新しいインターフェイスをデザインに取り入れつつもうまく処理しているのは高く評価したい。光学式手ぶれ補正の搭載など、高機能化を追求するのがコンパクト機の流行ではあるが、さらに小型・薄型化しつつ機能を凝縮し、楽しんで持ち歩けるコンパクト機の需要は確かに存在する。従来のFinePixよりもさらにカジュアルな雰囲気を演出した本機は、スリムコンパクトとして正統派の1台と言えるだろう。
FinePix Z10fdの主なスペック | |
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製品名 | FinePix Z10fd |
撮像素子 | 1/2.5インチ有効724万画素CCD |
レンズ | 光学3倍ズーム、f=6.3~18.9mm(35mmフィルムカメラ換算時:38~114mm相当)、F3.7~4.2 |
静止画撮影 | 最大3072×2304ドット |
ISO感度 | AUTO、ISO 64/100/200/400/800/1600 |
動画撮影 | 640×480ドット、30fps、MotionJPEG圧縮AVI形式 |
液晶ディスプレー | 2.5インチTFT、約15万画素 |
記録メディア | 内蔵フラッシュメモリー54MB&SDメモリーカード(SDHC対応)/xDピクチャーカード |
インターフェース | マルチ端子(USB/AV出力)、赤外線(IrSimple/IrSS/FIR) |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(NP-45) |
撮影可能枚数 | 約200枚 |
本体サイズ | 幅91.2×奥行き18.8(最薄部20.6)×高さ56.6mm |
重さ | 約110g(本体のみ)/約125g(装備重量) |
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