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7万人のSEのパワーを世界展開するウィプロ

ドアは日本企業だが部屋の中はインドだった

2007年10月24日 00時00分更新

文● 中西祥智(編集部) 写真●曽根田 元

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月刊アスキー 2007年12月号掲載記事

インド・バンガロール

インド屈指のITベンダーであるウィプロ・テクノロジーズ(以下ウィプロ)。バンガロールにある同社の開発センターの一角には、日本の著名なIT企業13社の名前の書かれたドアが並んでいるという。

ドアの内側はそれぞれの会社のルールが支配する空間で、各社のインドにおける開発拠点という位置付けになっている。だが、そこで実際に働いているのは、世界中から集まったウィプロのエンジニアたちだ。

インドでのオフショア開発というと、ソフトウェアの一部の開発を安価に発注でき、開発コストを削減できるというイメージが一般的かもしれない。

同社も日本に進出した'97年ごろは、システムのメンテナンス業務のアウトソースを受けていた。だが10年経ったいま、ウィプロはハード・ソフトの両方を含めた製品の設計、eビジネス全体を見据えたコンサルティング、さらには企業の研究開発をも担うまでになっている。

メイン業種は製品工学サービス(IT関連のソフトウェアの開発)だが、金融、製造、小売りなど、幅広い分野に展開。

今年の売上高は35億5200万ドル(約4100億円)。インドではTCS、インフォシスに次ぐ巨大かつ著名なITベンダーだ。

日本法人のアリイ・ヒロシ社長は、同社の強みは「7万人のエンジニアのパワー」だと語る。日本にはプログラマ/システムエンジニアが約35万人いるが、その5分の1にあたる人数を、ウィプロは1社で抱えていることになる。その圧倒的なパワーを、日本企業にもっと活用してほしいとアリイ氏は説く。

アリイ・ヒロシ氏

ウィプロ・テクノロジーズ日本法人 代表取締役社長 アリイ・ヒロシ氏 1963年神奈川県生まれ(米国籍)。米国の大学を卒業後、米国ホンダ勤務等を経て、2000年に日本BEAシステムズに入社、2004年12月から同社社長。そして今年3月に現職に就任。日本・中国オフィスの代表も兼任する。

実際、ウィプロの地域別の売上げ比率は65%がアメリカ、30%がヨーロッパであり、日本は中国と合わせても5%でしかない。

日本企業がウィプロと協業する利点は、例えば海外展開が考えられる。日本のIT企業が海外に進出する場合、各国ごとの言語や習慣、法体系等に合わせてシステムをカスタマイズする必要がある。

それを自社で行うには、体制の整備やコストなど、多くの課題を克服しなければならない。だが、すでにグローバルに展開していて、各国でのノウハウを蓄積している同社と協業すれば、スムーズな海外展開を期待できる。

日本にいるとなかなか実感できないインドのパワー。日本人は「インドを見るべき」で、実際に見て、感じたそのパワーを同社を介して活用することが、「国際競争の中で、日本がリーダーシップをとるため」には非常に重要だと、アリイ氏は強く語る。

ウィプロ・テクノロジーズ
本社:インド・バンガロール州
創業:1945年
代表者:アジム・H・プレムジ会長
資本金:28.5億インドルピー(約83億円)
従業員数:7万8000名(2007年7月現在)

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