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未来の検索エンジンは人の動きも対象に!?

【レポート】「Mozilla 24」のオープンな思想を具現化させた「マチスましーん」に密着

2007年09月19日 23時14分更新

文● 編集部 永水和久

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 有限責任中間法人Mozilla Japanは15日、15日の12時から翌16日の12時まで24時間連続で行なう開発者向けイベント「Mozilla 24-TWENTY FOUR~Worldwide Continuous Event~」(以下、Mozilla 24)を開催した。これは、今後のインターネットをよりエキサイティングなものにするアイデアについて考える場として開催するイベントだ。

 東京・三田の慶應義塾大学三田キャンパス東館と、九段下の住友不動産九段ビル内イベントホール「ベルサール九段」の2会場を主体に開催され、慶應義塾大学の模様は京都市の京都大学学術情報メディアセンターにも中継された。

ベルサール九段に中継された地球コンピュータの様子
ベルサール九段に中継された地球コンピュータの様子

 慶應義塾大学三田キャンパス東館では、米グーグル(Google)社の副社長兼チーフ インターネット エヴァンジェリストのヴィントン・G・サーフ(Vinton G. Cerf)氏や、米Mozilla CorporationのCEO(最高経営責任者)のMitchell Baker(ミッチェル・ベーカー)氏らによる、インターネットの今後のあり方を見つめ直すパネルディスカッション「地球コンピュータ」などが開催された。

 ベルサール九段では、システムアーティストの安斎利洋(あんざいとしひろ)氏と、アーティストの中村理恵子氏による子ども向けワークショップ「マチスましーん」(マチスの機械)などの体験型イベントが行なわれた。

少年ナイフによるライブの様子
少年ナイフによるライブの様子

 また、Mozilla 24の一環として、「少年ナイフ」や「MARS EURYTHMICS」などのロックバンドが出演する音楽ライブイベント「Firefox ROCKFESTIVAL'07」が、東京・渋谷のイベントホール「SHIBUYA BOXX」とSHIBUYA BOXXの併設カフェ「SHIBUYA@FUTURE」で開催された。

 ここでは、ベルサール九段で行なわれた体験型イベントを中心に紹介する。

インターネットの未来予想図だけでなく
現在抱える問題も考えさせられる内容


 初日の15日、ベルサール九段では12時から17時まで体験型イベントが開催された。開催されたイベントは、子ども向けの切り絵ワークショップ「マチスましーん」、Tシャツ作成ワークショップ「フォクすけで作るCシャツ・ワークショップ」、人のポーズを検索するシステム「MOGA」(モガ)、空間共有システム「dotSPACE」(ドットスペース)の計4つとなる。これらの詳細は以下のとおり。

ネットワークが持つ可能性を
考えさせられるゲーム

マチスましーんで作成されたカンブリアンの木
マチスましーんで作成されたカンブリアンの木

 「マチスましーん」は、特定非営利活動法人CANVASの協力を受け、システムアーティストの安斎利洋氏と、アーティストの中村理恵子氏が企画する子ども向けの切り絵ワークショップ。まず、最初の子どもが、色紙をはさみやのりで加工して、好みの切り絵を作成したあと、スキャナやデジタルカメラでパソコンを通して、ネットワーク上のツリー「カンブリアン」の木に画像を登録する。次の子どもは、既にカンブリアンの木に登録されている切り絵の中からひとつをパソコンで選択し、これを元に物語などを自由に連想して、同様の手順で切り絵を作成し、カンブリアンの木に登録する。この際、元の切り絵にツリー状につながって登録されていくのが特徴で、子どもたちが次々と参加していくことで、元になった切り絵同士がどんどんつながっていく。

元にする切り絵をカンブリアンの木から決める そのあとはマチスプールと新しい色紙から切り絵を作成する
元にする切り絵をカンブリアンの木から決めるそのあとはマチスプールと新しい色紙から切り絵を作成する

 また、一度登録した切り絵は、切りくずと共に「マチスプール」と呼ばれるビニールの入れ物に集められるのがルールで、これらはほかの子どもたちが切り絵を作成する際の素材として再利用される

マチスプール
マチスプール。切りくずや子どもたちが作成した切り絵が集められている

 そうやって子どもたちは、このワークショップ(ネットワーク)を参加し、切り絵(ソフトウェア)を、素材(ソースコード)とともにほかの作者に向けて公開することで、次の新しい作品の創造・発展に協力していくことになる。これは、ソフトウェアの設計をオープンソースとして広く一般に公開し、多くのユーザーとソフトウェアの発展を目指す米Mozilla Foundationのオープンな思想と通じるものであり、これを目の前に具現化したものである、と筆者は感じた。

安斎利洋氏と中村理恵子氏
安斎利洋氏と中村理恵子氏は、17年間共同でプロジェクトに取り組んできている。普段の何気ない会話の中でプロジェクトがまとまってくるという

 中村理恵子氏に、切り絵をマチスプールに戻す際、子どもたちは嫌がったりしないのですか、という質問を筆者がすると、「作り終えた切り絵を『マチスプール』に戻す際、泣き出しちゃう子もいるんです。でもね、次の子どもたちのために戻すんだよ、となぐさめてあげると素直に戻してくれるんですよ」と、参加した子どもたちについて述べた。

オンラインイベントとしてもカンブリアンゲームを展開
世界の散歩道を繋ぐ実験


 安斎利洋氏と中村理恵子氏は共同で、1992年からコラボレーションアート「連画」(linked image)を開始している。これは、CG作品をネットワークでもう一方に送り、相手の作品を引用したり直接手を加えることによって新しい作品を生み出し、またもう一方に送り返す、といったことを相互に繰り返すことで、作品を成長させていく創作システムである。この活動の一環として、2002年から開始しているネットワークを通したツリー構造の連想ゲームが「カンブリアン・ゲーム」で、マチスましーんはこれにのっとったもの。連画が主に特定のアーティスト同士によるセッション方式であるのに対し、カンブリアン・ゲームは参加者を広く一般から募集して行なっている、という違いがある。

接続する散歩道
接続する散歩道。右の写真が最初の写真

 今回Mozilla 24で安斎利洋氏と中村理恵子氏は、マチスましーんのほか、カンブリアン・ゲームとして、Mozilla 24公式サイトでオンラインイベント「接続する散歩道」も行なった。これは散歩道で出会った景色をテーマに、世界中で写真の連想ゲームを行なうもの。現在はMozilla 24の終了とともに募集を停止しているが、10月15日に再開する予定としている。

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