松下電器産業(株)のDMC-FZシリーズは、コンパクトなボディーに光学式手ぶれ補正機能付きの高倍率ズームを備えた、使い勝手の良さが魅力のモデルだ。2002年登場の『DMC-FZ1』以来、同シリーズは高画素化やマニュアル露出モードの搭載などが行なわれてきたが、レンズは光学12倍ズームのままだった。
それが今回の『DMC-FZ18』では、新たに光学18倍ズームレンズを搭載し、最大焦点距離は504mm相当の超望遠撮影が可能になった(従来機は望遠側432mm)。さらに、広角側も従来の36mmから28mmへと広がり、望遠だけでなく広角まで幅広く撮影できるのが大きな特徴となっている。
高倍率でもコンパクトは従来から継承
ボディーデザインは従来機種『DMC-FZ8』を継承しており、大きめのグリップやなだらかな上面軍艦部(フラッシュおよびEVFを内蔵)などの形状はほぼ同一だ。レンズが変更されたこともあって、本体サイズは幅、奥行き、高さともそれぞれ数mm大きくなっており、重量も約50g重くなっている。高倍率ズーム機といえば太くて長い鏡胴部を備えた、一眼レフカメラのような外観のものが多いが、元々のFZシリーズが高倍率ズーム機としてはコンパクトなこともあり、FZ18は大きめの手の人ならばボディーがすっぽり両手の中に納まるほどだ。
撮影時には付属の花形フードを装着できるようになっているのも、FZシリーズの伝統である。さすがにフードを装着するとかなり大柄な印象を受けるものの、未使用時は取り外しておけるので携帯しやすい。
操作性に関しても従来からのFZシリーズとほぼ同様で、十字配置の操作キーの上にある“ジョイスティック”によって、ホワイトバランスの選択やISO感度といったモード選択のほか、シャッター速度や絞り値、AEエリアなどの指定が行なえる。そのため撮影時には、十字配置のキーは露出補正やフラッシュ光量設定などの操作を手早く行なうのに使われる。
FZ8からの相違点としては、本体の大型化とともに背面上側にあった電源スイッチが天面に移動し、その代わり“AF/AEロックボタン”が新設された点と、上面のモードダイヤルが大型化した点が挙げられる。従来機ではモードダイヤルで“シーンプログラム”ポジションを選択したのちに、メニューからシーン選択を行なっていたのに対し、FZ18ではモードダイヤル上に“ポートレート/風景/スポーツ/夜景”といった専用のポジションが追加された。さらに、本機の新機能である“インテリジェントオート”(以下iA)も1つのポジションとして用意されている。
iAは、顔の有無、露出や距離などの情報から、シーンモードを自動選択するというモードだ。顔認識(ポートレート)/顔&夜景(夜景ポートレート)/風景/動き認識/接写の5つのシーンが用意されている。
明るさや距離などの情報によってカメラが適切なシーンプログラムを自動認識するという機能自体は、ペンタックス(株)の“オートピクチャー”やコニカミノルタフォトイメージング(株)の“フルオートシーンセレクター”などがあり、目新しいものではない。しかし、近年普及した顔認識機能との組み合わせにより、ポートレートと風景をきちんと分けることができるようになったので、実用性は大幅にアップしている。なお、iAでの“動き認識”は画面内の被写体の動きによって自動的に感度がアップするもので、従来から装備する“インテリジェントISO感度”モードと同等である。
インテリジェントオートモードではISO感度設定は行なえない。一般的なプログラムオートや絞り優先/シャッター速度優先/各種シーンプログラムなどでは、従来どおりISO感度のマニュアル指定やオート指定、インテリジェントISO感度のON/OFFがメニューから選択できる(ISO感度の上限を400/800/1600から選択可能)。
このほかにも、従来からのAF点を画面上の11点から選択できる“スポットAF”や、合焦距離のバーや被写界深度の範囲が表示される“マニュアル操作モード”を搭載する。