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Opera Softwareの標準技術担当者に聞く

いい標準化と悪い標準化

2007年07月24日 00時00分更新

文● 編集部

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動画の置かれる状況はトリッキー


 一方でマルチメディア、ことに動画に関しては「特許の関係で、ややトリッキーな状況にある」とマクシネビル氏は話す。

 動画の配信形式として現在利用されているものは、マイクロソフトのWMV形式や、アドビシステムズのFlashなど、ソフトウェアメーカーのライセンスによる技術が主流。ただし、OperaがHTML 5で最適と考えているビデオコーデックは、オープンソースの“OggTheora”だという。

OggTheoraの普及に関しては、ユーザー側の要求しだいといったところ。 Operaとしては、ロイヤリティーフリーという部分に注目している。Wikipediaで採用されており、広く利用されはじめているという認識。

 オープンソースということで、動画の品質の改善や編集ツールの選択肢などの可能性もあるという考えのようだ。

プレゼンテーションの資料から。Webform 2は、ウェブサイト上のフォームにさらなるバリエーションを持たせるのが狙い(左)。また、クリップボードやファイルアップロードなどのAPIを共通化することで、利便性とコーディングの容易さを高めるといったことも考えているという(右)

 また、Webform 2に関しては、例えば容量に制限のある携帯電話機向けのソリューションでも有効に機能すると話した。例えば、同社が携帯電話向けに提供している『Opera mini』(プロキシを介して、パソコン用のウェブサイトを携帯電話に適したサイズに変換して提供するサービス)などで、コードサイズを抑えることができる。

 いずれにしても、現在普及しているHTMLの仕様への下位互換性を確保することで、開発者のコスト的な負担を最小限に抑えながら、スムーズな移行が可能な点がHTML 5の魅力と言えそうだ。



ウィジェットも標準化できる


 セミナーの中で、マクシネビル氏が提案していたものの中にウィジェット(Widget)の標準化があった。

 ウィジェットは、デスクトップやウェブアプリケーションの上で動作する軽量なアプリケーションのこと。Mac OS XのDashboard、Windows Vistaのサイドバー上で動作するSidebar Gadget、Operaブラウザー上で動作するOpera Widgetや、GoogleやYahoo!といったポータルサイト上に組み込めるGoogle GadgetやYahoo! Widgetといったものがある。

Opera Widget

Opera Widget

 これらは、作成するためのツールや仕様などが若干異なっているが、基本的にHTMLやCSS、JavaScriptといったウェブで標準的に用いられている技術が用いられているのは共通だ。つまり、基本的な要素に関しては、大きな相違はなく、仕様を共通化できる可能性があるということである。

 マクシネビル氏は、ウィジェットの相互運用性と標準化に関しては「直接答えることはできない」としたが、「たいていのWidgetエンジンは、非常によく似ており、標準化の可能性を探っていくべきだ」とした。

 インターネットを介して、リッチなインターフェースを提供しようとする試みに関しては、アドビのAIR(旧Apollo)やマイクロソフトのWPF(Windows Presentation Foundation)など、専用クライアントを利用したものののほか、プラグイン技術の“Flash”や“Microsoft Silverlight”といったものもある。これらに対しては

少数のベンダーがプラットフォームをコントロールしようとしている現状があるとは思う。危険なゲームとも言える。

と批判的な立場を示していた。



日本の技術者には世界を見てほしい


 最後にインタビューの中で、マクシネビル氏が日本の技術者に対して残してくれた、以下のコメントを引用しておこう。

世界を広く見てほしい。日本のマーケットはそれ自体で大きいが、そこに安住してはいけない。世界の中の他のプレーヤーと協力しながら、新しいものを生み出していってほしい。

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