幕張メッセで11日から開催されている“Interop Tokyo 2007”。13日からは展示会や基調講演も始まった。今年の基調講演の先陣を切ったのが、あの古川享氏だ。
お詫びと訂正:掲載当初、古川 享氏のお名前を誤って古川 亨氏と記載しておりました。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2011年6月29日)
古川氏は、米マイクロソフト社の日本法人マイクロソフト(株)を立ち上げた人物。日本にMS-DOSやWindowsを根付かせた立役者であるだけでなく、IT全般に対する広い視野を持ち、時に厳しく時にユーモラスに、業界に向けた提言を行なってきた人物でもある。その古川氏が2005年に米マイクロソフト社を退職して以来、公の場で講演を行なうのは今回が初めて。“IP Network 新時代”と題した講演で、古川氏は何を語ったのだろうか。
デジタルネットワーク家電の意外なルーツ
古川氏の講演を大雑把にまとめると、映像や音楽の制作から配信に関わるさまざまな分野に「IPネットワーク化が進展している」ということ。古川氏はまず、IPネットワークには付きものと思われている“遅延”が許されない音楽制作やテレビ放送といった世界にも、専用線に加えてIPネットワークが利用されている現状を紹介した。
古川氏は、IPネットワークが広く利用されるようになった基盤技術の1例として、NTT西日本とタカラ(現タカラトミー)が2001年に開発した、インターネット経由で遠隔操作できるロボット玩具『フレッツ・ロボ』(関連記事)を取り上げた。
「なぜこんなおもちゃを古川氏が取り上げたのか」 疑問に思う読者もいるかもしれない。実は、このロボットのために、NTTの技術者がTCP/IPのスタックを作り直したことがポイントである。
軽量化されたスタックによって、非力な組み込みCPUでも30Mbpsのスループットをたたき出すことが可能になった。その技術が外部にもライセンスされることで、ネットワークに接続可能なデジタル家電が飛躍的に増えた。今では国内のHDDレコーダーやIP TVなどのインターネット対応デジタル家電の8割で利用されているという。