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ITジャーナリスト3人が未来を予測

Apple TV & YouTubeがもたらすもの

2007年06月01日 19時00分更新

文● 編集部

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 アップルのネットワークメディアプレーヤー『Apple TV』が、動画共有サービス“YouTube”に対応する(参考記事)。この世紀のコラボレーションは、IT業界にどんなインパクトもたらすだろうか。本誌で連載中の林信行氏に加え、AV関係に造詣の深い本田雅一氏と小寺信良氏の両名にも話を聞いた。



「Apple TVの本質は進化にあり」――林信行氏

 2001年末に発売された最初のiPodは、容量が5GBで音楽再生以外の機能は一切なかった。しかし、翌年には10GBの大容量版が発売され、アドレス帳なども扱えるようになった。


 Apple TVもそれと同じ道をたどろうとしている。


 最初のApple TVの魅力は、何といっても、シンプルで分かりやすかったということ。これは初代iPodにも共通している。最初のiPodは、音楽再生の機能しか備えていなかった。Apple TVはそれに比べると機能は多いが、例えば他社のネットワーク家電製品などと比べると極めてシンプルなモデルを提示している。


 他社の製品/サービスでは、コンテンツの供給元が、ネット経由だったりディスク経由だったり、放送経由だったりと、メーカーの思惑によりばらばらだ。


 ネットワークを経由し、AV機器やパソコンでコンテンツをやりとりするためにDLNAという規格が用意されているが、これはいろいろな機器の連携できる一方で、対応製品を渡されたユーザーはどこから手を付けたらいいのか、どう使っていいのか分からないという取っ付きにくさもある。


 これに対してApple TVのモデルは極めてシンプル。iPodユーザーが慣れ親しんだ、コンテンツをiTunes Storeで買って、iPodのように同期するという流れになる。


 これは製品の外観だけでなく、使われ方、さらにはコンテンツ業界のありかたまで含めたグラウンド・デザインを行なっているアップルだからこそできる製品設計のアプローチだろう。


 もっとも、初代Apple TVも一段落したことで、アップルは次の段階に入ろうとしている。YouTubeだ。これはiPod同様、AppleTVも進化し続けるプラットフォームであることを示す最初の証拠になるだろう。


 iPodとAppleTVの最大の違いはネットワークに常時接続していること。現在はまだYouTubeだけだが、今後はJoostなど、他のサービスとの連携もはかっていくはずだ。


 ユーザーに、アナログ放送からデジタル放送への煩雑な移行を押し付けようとしている放送業界に変わって、未来の映像コンテンツ配信の基盤そのものを奪ってしまおうという壮大な目論みもあるのかもしれない。スティーブ・ジョブズなら十分考えていそうなことだ。

(次ページに続く)

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