このページの本文へ

SAP、オラクルに次ぐ企業向けソフトベンダーの日本戦略は?

「買収による不安を安心に変えていく」――インフォア日本法人社長に就任した村上 智氏

2007年04月24日 22時41分更新

文● アスキービジネス編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本インフォア・グローバル・ソリューションズは、4月24日、東京都内で新社長就任に伴う記者会見を開いた。相次ぐ買収で急成長を遂げるインフォア日本法人の新社長に就任した村上智氏が日本における戦略を語った。


注力業界を選定、パートナービジネスへの転換を図る


「日本では買収といえばマイナスイメージの方が強い。私は買収する側、買収される側双方の気持ちが分かる立場。何よりも顧客の不安を取り除き、安心感を与えたい」。

日本インフォア・グローバル・ソリューションズ代表取締役社長に就任した村上 智氏

日本インフォア・グローバル・ソリューションズ代表取締役社長に就任した村上 智氏

 日本インフォア・グローバル・ソリューションズ代表取締役社長の村上智氏はこのように話す。同社の親会社である米インフォア・グローバル・ソリューションズは日本ではまだ知名度が低い会社だが、2002年の設立以来、SSAグローバルなどを次々と買収して急成長。設立からわずか5年で年商21億ドル、顧客数は7万社(うち日本は1000社以上)と、SAP、オラクルに次ぐ企業向けソフトウェアベンダーに位置している(関連記事)。

 そのインフォアの日本法人社長に村上氏が就任したのは今年3月16日のこと。村上氏はかつて日本オラクルインフォメーションシステムズ(旧日本ピープルソフト)の代表を務めていた人物であり、自身も買収による企業統合の経験を持つ。村上氏はこうした経験をもとに、「インフォアの強固な財務基盤による安心感と、既存の顧客にとっては新しい製品の選択肢が広がることをアピールしたい」と話す。

 この日の会見で村上氏が明らかにした日本法人の具体的な戦略は、注力する業種の選定とパートナー戦略強化の2点だ。

 まず業種に関しては、ハイテク、産業機械、自動車部品製造、CPG(一般消費財)、流通、小売、3PL(3rd party logistics)を日本における注力業界と定め、業界別のソリューションを展開していく。「社内には製造業一筋20年の大ベテランもいる」(村上氏)というように、買収元の企業にはもともと、古くからの各業界に精通した人材も多い。この強みを生かし、業界にフィットした製品やサービスを提供していくのが1つ目の戦略となる。

 また、「特に日本におけるクリティカル・マス(製品が急速に広がるための一定の普及率)の拡大には、パートナー戦略への転換が欠かせない」と村上氏が話すように、日本のソフトウェアビジネスではほとんどがパートナー販売。加えて「販売ライセンスの数は製品を扱えるコンサルの数にロックオンされる」(村上氏)ため、日本法人ではパートナー販売を徹底していく。

 現在はIBMや富士通など100社程度のパートナー企業があるが、「闇雲に増やすのではなく、ビジネスプランに合意していけるパートナーを業種別に整えたい」(村上氏)という。パートナー向けには、製品情報やトレーニングの提供、共同イベントの開催、営業・導入段階における支援や情報共有などを強化していく。また、併せて「パートナー戦略重視のために自社の組織体制を作り変えていく」とも話した。

「インフォアは現在も買収を続けているが、買収戦略を考えるのは私の仕事ではなく、何も目新しいことをするつもりはない。自分の仕事はむしろ、“整合性を取ること”と、“認知度向上”だと思っている」。村上氏は今回発表した戦略をもとに、2つの課題に挑む。

カテゴリートップへ