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「ボーイングのような長期利用できるSOAを」――SOAへのアプローチ、インフォアの場合

2008年01月25日 23時39分更新

文● アスキービジネス編集部

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日本インフォア・グローバル・ソリューションズは、1月24日、同社のSOA戦略に関する記者説明会を開いた。説明会には、来日した米インフォアのCTOであるブルース・ゴードン氏が登壇し、同社が提唱する「Infor Open SOA」について説明した。


年内にも出揃うOpne SOAのコンポーネント


「ボーイングのような長期利 用できるSOAを」――SOAへのア...

米インフォア CTO ブルース・ゴードン氏

 「航空機業界では、30年前に作られた『747』をベースにした『747-8』が開発されている。ソフトウェアでもボーイング社と同じようなことができればと考えてきた」――。米インフォアのCTOを務めるブルース・ゴードン氏はこのように語る。ゴードン氏が言う「ボーイングのような」とは、「長期に渡ってステップアップしながら継続的に使える仕組み」を意味する。

 同氏によると、ボーイング社が747-8を開発できた背景には、「コンポーネント化」があるという。機体を構成するパーツを一定の機能ごとにまとめあげてコンポーネント化し、コンポーネント単位でアップデートすることで「すべてを丸ごと変える必要がない」(同氏)というわけだ。

「ボーイングのような長期利 用できるSOAを」――SOAへのア...

Infor Open SOAとこれまでのSOAの違い

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Infor Open SOAを構成するコンポーネント

 インフォアの「Infor Open SOA」は、こうした“コンポーネント化”によってSOA(サービス指向アーキテクチャ)を実現するアプローチを取っている。Open SOAでは、アプリケーションを一般的なSOAで用いられる「ビジネス・サービス」ではなく、よりまとまった単位である「モジュール」と呼ばれるコンポーネントに分解する。

 モジュールは、「需要予測」「資産管理」「業績管理」といった業務プロセスの単位で構成され、モジュール内でその業務フローが完結するようになっている。各モジュールは、XMLベースのドキュメントである「BOD(ビジネス・オブジェクト・ドキュメント)」を発行。そのイベントを受けて、他のモジュールは次のプロセスを実行していく。モジュール間の流れは、「イベント・オーケストレーション」で定義する。同社はこうした仕組みから、Open SOAの特徴を「イベント駆動型のSOA」と表現する。

 インフォアでは、買収によって収めた既存のアプリケーションのSOA対応を図ると同時に、新たなビジネスモジュールの開発も進めている。他のモジュールとの連携性が高いマッシュアップ関連のモジュールを充実させていく予定。具体的には、各国の会計基準に対応する「複数元帳」、商品の価格情報や割引率などを管理する「価格・プロモーション・契約管理」といったモジュールを12月にリリースする計画だ。

「ボーイングのような長期利 用できるSOAを」――SOAへのア...

Infor Open SOA上に各役割毎に設定されるロールベース・ホームページ

 さらに、BODでやり取りされる情報をとりまとめる「ビジネス・インフォメーション・サービス」や、それをグラフィカルに表示するWebベースのUIの開発を進めている。このUIは、ユーザーの役割に応じて複数システムのデータを一元的に表示するとともに、データの元となるアプリケーションへリンクし、データへの変更を加えるなどの実際の業務にドリルダウンすることができる。

 米インフォアでは、今回説明したSOA実現に必要な追加コンポーネントを年内にも整備し、同社のアプリケーションを利用する顧客に対してほぼ無償で提供する予定。こうした戦略で、顧客企業のニーズであるシステムの“長期利用”と“変化対応”を両立させる狙いだ。ゴードン氏は、「既存のソリューションと共存できるシステムが求められている。一方で、競争力を高めるロードマップを持つことで、顧客の今後20年間にわたる競争力を担保したい」と話している。

 なお、日本インフォア・グローバル・ソリューションズ エンタープライズソリューション・ビジネスコンサルティング本部長 執行役員の笹 俊文氏によると、「日本におけるOpen SOAの本格的な展開は2009年以降になる見込み」という。

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