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中国オフショア開発、勝ち組の証言(前編)

2007年04月13日 22時00分更新

文● 松本佳代子

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美人秀才なプロジェクトマネージャーとの出会い


 視察後、話はすぐに中国でオフショア開発をやる方向に進み、千葉氏は2006年4月、オフショア開発を担当する技術者を連れて、中国側の責任者となるプロジェクトマネージャー(PM)の面接を行なった。

 数社のPMの方と会いましたが、特に素晴らしい人と会えました。中国の大学を卒業後、日本の国立大学を出て、日本、カナダで仕事をされてきた人です。


 中国語はもちろん、日本語、英語に堪能で、それぞれの文化にも詳しい。そいういう方がいるかいないかが、一番重要です。


 もちろん他の会社のPMも優秀な方たちばかりで、弊社の技術者にもそれがよく分かったため、帰国してから負けまいと必死になって勉強していました(千葉氏)。

 アジェンダが選んだPMは、中国のIT系大企業グループの子会社である“浪潮(ランチャオ)世科信息技術”の上海オフィスに所属していた。ランチャオは米マイクロソフト社のグローバル戦略パートナーとして、世界各国向けの“Microsoft Update”のテストを行っている企業だ。

ランチャオのオフィス

浪潮世科信息技術のオフィス。黄色い服の女性がPMの謝さんだ



中国エンジニアのピラミッド構造


 ところで、千葉氏が「優秀な方たちばかり」と語り、日本のエンジニアも一目置くといったように、中国のPMがベタ褒めされている状況に今ひとつピンとこない人がいるかもしれない。

日本と中国の構造比較

日本では企業規模ごとにPM/SE/PGと役割が分担されているが、中国ではトップの企業がPM/SE/PGを抱えるという構造になっている

 なぜ中国のPMは優秀なのか? その答えのひとつは、PMが過酷な競争を勝ち抜いてきたという点にある。

 中国のプログラマー(PG)の一般的な形は、大学でコンピュータ系を専攻し、3年間みっちりと勉強したうえ、4年生で企業のインターンを経験して、即戦力の状態で企業に雇われる。そのPGの中で優秀な人だけがシステムエンジニア(SE)となり、さらにプロジェクトリーダー(PL)を経て、ひと握りの人材だけがPMへと昇格できる。

 日本では、入社してからプログラミングを覚えるSEや、プログラミングの経験が乏しいままPMを担当するというケースも珍しくないが、中国では見事にバランスのいいピラミッド構造を作りあげているのだ。



日本の半額の月給でも一般人の3倍


 もちろん日本にも、過酷な競争を勝ち抜いてきた優秀な人材は数多くいるが、そこで人件費での差が出てくる。

 ビジネス・インフィニティの越川氏によれば、北京や上海といった中国の都市部にあるIT企業で、月に1人雇おうとすると、PGが20〜30万円、PMが60万円くらいが相場という。

 これに対して、日本ではPGが60〜80万円、PMは120〜150万円と倍近くになる。巨大システムとなるとPMに月300万円払うこともあるという。

 給料は日本の半額といっても、中国都市部の一般企業における月収は2〜3万円ほど。中国側企業に支払う20〜30万円のうち、PGが受け取る金額は8〜12万円だが、それでも一般人の3〜4倍以上は稼ぐ“エリート”なのだ。

 千葉氏によれば、アジェンダもGRESSOのオフショア開発でコストを3割削減できたという。千葉氏は「これほどレベルの高い企業と仕事ができて、しかもコストダウンを実現できた」と喜ぶ。


 優秀な人材が揃っていて、コストも抑えられる。そんな“言うことなし”に思える中国オフショア開発において、なぜ成功する企業と失敗する企業が出てくるのか。その勝ち負けを分けるポイントは、10の要素に集約できる。


(中編に続く)


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