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勝つための10のポイント

中国オフショア開発、勝ち組の証言(中編)

2007年04月18日 17時00分更新

文● 松本佳代子

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ランチャオのオフィス

アジェンダのオフショア開発先である“浪潮(ランチャオ)世科信息技術”のオフィス

 ソフト開発メーカーの(株)アジェンダは、中国におけるオフショア開発を初めて利用し、Ajaxを利用したグループウェア『GRESSO』(グレッソ)を開発した。

 前編では日本のIT企業における人不足の問題や、アジェンダが中国進出する切っ掛けを紹介したが、今回は以下のようなオフショアで成功するための10のポイントを紹介する。

  1. 信頼できるPMを選ぶ
  2. 仕様書をきっちりと書く
  3. “請け負い”ではなく“ラボ”で契約
  4. 互いに緊張感を保つ
  5. コミュニケーションを積極的に
  6. 現場を把握する
  7. 通訳を介さない
  8. 人を大切にする
  9. 中国語の契約書は必要
  10. 成功している他社から学ぶ

早速、それぞれの詳細を見ていこう。



(1) 信頼できるPMを選ぶ 〜“話のワカル”PMが鍵〜


 日本側の要望を理解し開発を進めるには、プロジェクトマネージャー(PM)の能力が頼りとなる。能力のあるプログラマー(PG)を抱えていることも重要だが、そのPGたちを動かす“頭脳”であるPMが日本側と意思疎通をできないと、開発はうまくいかない。

 日本語でコミュニケーションを取れる、日本の文化を理解する、日本向けの開発経験がある、自分たちの会社のやり方に合わせてくれる──などの高い条件をクリアするPMを見つけることが、オフショア開発の成功を左右する。

 アジェンダ側でオフショア開発を推進したトラベルシステム開発部の千葉均氏は、「PMは日本人並みに日本語が上手ですし、能力も高い人です。下に就いているプロジェクトリーダー(PL)の方たちも日本語でコミュニケーションを取れます」と、100%信頼のおけるPM/PLを採用することができたと語る。

「PGは日本語が分かりませんが、エンジニア同士でしたら図やJava言語で意思は通じますが、業務仕様を教えるのにPMやPLの力が必要です」と、PMの重要さを強調する。



(2)相手に合わせた仕様書をきっちりと書く 〜「いい感じにやって」は通用しない〜


 PMが日本側を理解する人であっても、仕様書や契約書などの書類では、決してあいまいな表現をしてはいけない。

越川修氏

ビジネス・インフィニティ(株)の越川修氏

 特に日本では仕様書に書いてない事項も行間を読んで進めるサービス精神や文化があるが、日本人の“当たり前”は海外では通用しない。仕様書にない作業や工程には、そのつど追加費用が発生すると肝に銘じておこう。相手がどんなやり方をするのかを日本側でしっかりと理解をして、相手に合わせた書き方で仕様書を作り、必要な資料を用意することが大切なのだ。

 アジェンダのオフショア開発に協力したビジネス・インフィニティ(株)の越川修社長は、「プログラマーが、実は海や線路を見たことがない中国奥地の出身ということもあります。弊社では過去に地図上の線路が赤く塗られていたという経験をしました。日本では普通、線路は黒と白が交互に連なる線で表しますが、その人が見たこともない線路を書けと言われても無理なことですよね」と、過去の失敗を語る。

「機能的には目的を果たしているけど、日本ではそういった実装の仕方はありえない。そういう常識の違いを意識して、相手をコントロールできれば、オフショアはうまくやっていけると思います」と越川氏。まずは日本と相手の文化の違いを、理解し認めた上で主導権を握ることが大切だ。



(3)“請け負い契約”ではなく“ラボ契約”をする 〜丸投げは失敗する〜


 ソフトウェア開発の契約形態では大きく分けて、一定料金で業務を丸ごと任せる“請け負い”と、人材を時間で確保する“ラボ契約”がある。日本国内では、仕様書どおりのものができるまで一定料金で済む請負契約が普通だが、それは仕様書に不明確な部分があっても融通を効かせてもらえるという習慣があるからだ。

 海外の場合、仕様に書いてないことが発生したり変更があった場合には、再見積りを取って追加料金が発生する。再見積りしている間に業務がストップして、納期に間に合わないという失敗も起こる。

 その点、ラボ契約をすれば、何を追加しても一定のコストで行ける。「『この通りに作ってね』と丸投げするのではなく、一緒に作る感覚じゃないとオフショア開発はできない」と千葉氏。先の越川修社長は、今までの経験から「日本企業のオフショア開発で失敗ケースでは、たいがい請負で出している」と断言する。


(次ページに続く)

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