それでも『Photoshop』は不要にならない
ただし、不満点がまったくないというわけではない。例えば、LightroomのRAW現像エンジンである『Camera RAW』の標準設定には、カメラメーカー純正のソフトと比べると、Exifデータの読み込みの値と再現が多少食い違うというクセがある。
そのため、修正を余儀なくされるケースも出てくるが、この辺は汎用ソフト故の欠点でもあるし、今後の改善課題とも言える。とはいえ食い違いの傾向はほぼ同じなので、プリセットを作っておけば現状でも充分対応できる範囲だろう。
また、統合環境を提供することが、Lightroomの魅力ではあるが、これで写真家にPhotoshopが不要になるかと言えば、その答えは「ノー」である。
Lightroomは名前にPhotoshopと付くものの、あくまでも撮影から納品までのステップをまとめた製品で、フィルター機能を使って写真の印象を大きく変えたいときや、写真から人物部分を切り抜いて別に撮影した背景に合成するといった加工をしたい場合はPhotoshopが必要になる。
ある意味、撮影後、すぐにデータを納品したい場合に優れたツールがLightroomであり、じっくり仕上げてから納品するためのツールがPhotoshopなのだ。といってもLightroomのライブラリー上から直接Photoshopを呼び出せたり、同じメーカーの製品のためGUIの整合性も高いといった強みはある。
今年は写真家向けソフトの元年
出版、ビデオ、音楽などのクリエイティブ分野で作業のデジタル化が進化する中、今ひとつ遅れていた感のある写真撮影だった。
しかし、Lightroomのようなプロ写真家向けソフトの登場によって、写真家の作業効率は大きく改善されるだろう。さらにこれをデザイナーや編集者も使えば、RAWデータベースを利用した統合的なワークフローにも現実感が出てくる。
筆者のようにロケでの撮影が多い写真家にとって、こういったツールは必須である。個人的な感想になるが、写真家の皆さんには、「今からでも優秀なデジタルの“アシスタント”を取り入れて、少しはラクしましょうよ」と提案したい。