最初の木に刻まれた「DNA」
もっとも、初代iPodから見えた未来もある。
初代Macを見て、パソコンの未来はマウス操作かもしれないと多くの人が感じたように、初代iPodを見て、その後の音楽プレーヤーのあるべき姿を感じた人も多いはずだ。
「あの製品の存在を知った以上、もうかつての状態には戻れなくなってしまった」──アップルはいつの時代になっても、まさにそんな製品を作り続ける会社だ。
初代iPodにも「もう前の時代には戻れない」と感じさせるいくつかの要素があった。例えば、洗練されたメニュー構成とホイール操作を採用し、内蔵HDDに入れた数百曲の楽曲から目的のタイトルをさっと見つけられるようにまとめたという点が挙げられる。
iTunesと通じる一貫した操作画面、可動パーツを極力廃したシンプルな工業デザイン、最小限のポート、オートシンクを使った手間いらずの同期なども、iPodをiPodたらしめているDNAだろう。
1月に発表された初代iPhoneを見て、5年後に生い茂っている森の姿を想像するのは難しい。しかし、初代iPod同様、これを見て、森をつくる木々にどんな特徴があるのかを想像することは可能なはずだ。