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オラクル、「Applications Unlimited」でEBSの新バージョンなど5製品を一斉発表

2007年02月01日 18時19分更新

文● アスキービジネス編集部

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米オラクルは、現地時間1月31日、製品発表会「Applications Unlimited」をニューヨークで開催し、「Oracle E-Bussiness Suite Release 12」(EBS 12)など計5製品を発表した。当日の模様は世界各国の会場に衛星中継され、2月1日午前に開かれた東京会場では、チャールズ・フィリップス社長らが中継で報道陣の質問に答えた。

継続利用を可能とする「Applicaitons Unlimited」をアピール

 今回の発表は、オラクルが昨年発表した「Applications Unlimited」戦略に基づくものだ。Applications Unlimitedとは、同社がここ数年、相次いで買収したさまざまなアプリケーション群を、今後も引き続き無期限に機能拡張して提供していくというもの。オラクルは2008年に「Oracle Fusion Applications」として、これらのアプリケーションを統合する計画だが、一方で既存の顧客に対しては、従来製品を継続して使い続けることも可能との方針を示している。

米オラクル社長 チャールズ・フィリップス氏(東京会場のビデオ映像から)

米オラクル社長 チャールズ・フィリップス氏(東京会場のビデオ映像から)

 講演の中で、米オラクル社長のチャールズ・フィリップス氏は、「Applications Unlimitedの意味するのは、『投資を守る』『付加価値を付ける』『進化させる』ということだ」と説明。Applicaitons Unlimitedによって、顧客は今使っているアプリケーションを希望するタイミングで、無料でアップデートできる。

「新しい技術が出てきても、必ずしも顧客が導入したいタイミングとは限らない。いつアップデートするか、あるいは完全に次世代のシステムに移行するか、それは自社の都合に合わせて選んで欲しい」(米オラクル アプリケーション開発担当シニアバイスプレジデント ジョン・ウーキー氏)

 さらに、今回の発表のように、機能拡張を継続して行なうことで付加価値を付け、「Fusion Middleware」への対応、SOA連携などの“進化”も進めていくという。


すべての製品が「Fusion Middleware」に対応

 「同時に5つものメジャーバージョンアップ版をリリースするのは極めて異例」(ウーキー氏)として発表されたのが、「E-Business Suite Release 12」をはじめとする5つの製品だ。

 これらの製品は、いずれもFusion Middlewareに対応し、業務・役割ごとの分析、包括的なアプリケーション管理/統合/検索/マスターデータ管理、XMLベースのレポートなどの共通機能が提供される。たとえば、「Oracle Portal」によって、統一されたUIを持つ画面から異なるアプリケーションのデータを表示する――といった使い方も可能になる。

 今回発表された製品とバージョンアップのポイントは下記のとおり。

・E-Business Suite Release 12
 18製品を追加し、2443カ所の機能強化を図った。グローバルにビジネスを展開する顧客向けに、地域ごとのさまざまな会計、税金、雇用関連の規制や基準に対応しながら、一貫した財務報告の手法を適用できるようにした。
・PeopleSoft Enterprise Release 9.0
 2つの新製品を用意し、1478カ所の機能強化を実施。主力製品である「PeopleSoft Enterprise Human Capital Management(HCM)」をバージョンアップ、全社的な人材管理機能を提供する。
・Siebel CRM 8
 10種類の新製品追加と366カ所の機能強化を図った。新しいタスクベースのインターフェイスを採用したことで生産性向上を実現。ビジネスプロセスのリアルタイムな変更に対応した。
・JD Edwards Worlds A9.1
 10年ぶりのメジャーバージョンアップ。4製品を追加し、1297カ所を機能強化。コンプライアンス、グローバル対応などを図った。
・JD Edwards EnterpriseOne 8.12
 
食品および飲料業界向けの新しい「Operational Sourcing」モジュールを含む5つの新製品と291カ所の機能強化を図った。

 さらに、今回、独立系のソフトウェアベンダ(ISV)への支援強化も発表された。ISVがFusion Middlewareを用いて自社のアプリケーションとOracle Applicaitonsと統合する場合に、オラクルがこれを積極的に支援していくという。

「Applications Unlimitedに終わりはない。無限に革新を続けていく」(ウーキー氏)

米オラクル アプリケーション開発担当シニアバイスプレジデント ジョン・ウーキー氏(東京会場のビデオから)

米オラクル アプリケーション開発担当シニアバイスプレジデント ジョン・ウーキー氏(東京会場のビデオから)


Fusion Applicaitonsは「2008年を楽しみにしてほしい」

 一方、Fusion Applicationsについては、「将来のある時点において、顧客にとっても次世代のアプリケーションの重要性が増すことになるだろう」(ウーキー氏)と述べたものの、「Web2.0」のコンセプトに基づき、「ミドルウェア」「標準技術」をベースに「SOA」で構築する――という大まかなシナリオがウーキー氏から示されるにとどまった。フィリップス氏は、Fusion Applicationsの進捗状況について「(2008年のリリースに向けて)努力している。来年を楽しみにしてほしい」と答え、計画に変更はないとした。

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